‘本を見る・探す’ カテゴリーのアーカイブ


『ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー』

2012年11月20日 火曜日

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[2012年11月20日公開]

ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー (武蔵野美術大学出版局刊)

白石 美雪

価格●3,520円 (消費税 320円)

ISBN978-4-901631-89-1 C3070

A5判 / 320ページ / 仮フランス装

奥付の発行年月●2009年09月

発売日●2009年09月下旬

 今年2012年はジョン・ケージ生誕100年にあたり、ケージにちなむ数々のコン
サートや催しが開かれています。そこで、今回お勧めするのは第20回吉田秀和賞
受賞『ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー』です。
 たとえば、ケージはどんな方法で沈黙の『4分33秒』を「作曲」したのか?
 なぜピアノの弦に異物を挟んだ「プリペアドピアノ」を考案したのか?
 易経の8×8のチャートを作曲に反映させた『易の音楽』とはどんな曲なのか?
 図形楽譜はどういう代物で、どう読み解くのか? そして難解とも奇妙ともいわ
れる彼の音楽理論は?
 緻密な論証によって、ケージにまつわる数々の謎を詳細に読み解いてゆくスリ
ルと醍醐味は格別ですが、同時に、なぜケージはそのように音楽と向き合ったの
か、ケージはなぜそのように生きたのかを論ずる丁寧な筆運びは、音楽学者であ
る著者のケージへの人間的共感に溢れています。
 「ともすると、音楽の鳴り響きとは別のところに存在意義があったとされるケ
ージだが、彼はなぜ、ほかならぬ音楽に身を捧げたのか、なぜ、音楽でなければ
ならなかったのか」読み終わった時こうした疑問が氷解するように論じたいとい
う著者の目的は達成されたようで、音楽に対し真摯に、かつユーモアの精神とと
ともに生きた1人の青年の姿が、そして年老いて静かに飄々と音楽への愛ととも
にその生涯を終える〈親愛なるジョン・ケージ〉の姿が浮かび上がります。是非、
あなただけの知られざるジョン・ケージを見つけてください。

『芸術と服飾 あやなす景色』

2012年11月14日 水曜日

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[2012年11月14日公開]

芸術と服飾 あやなす景色 (関東学院大学出版会刊)

価格●4,180円 (消費税 380円)

ISBN978-4-901734-28-8 C3070

四六 / 368ページ / 上製

奥付の発行年月●2009年12月

発売日●2009年12月中旬

 議論の大筋からは一見、取るに足らぬ単調なあらわれのようでいて、ときとし
て服飾描写が陰翳深い相貌をあらわすことがある。作品を読み、そこにすっくと
立ち上がってきた服飾を歴史的、社会的、文化的、美的(感性的)文脈において
とらえてみる。本書で示そうとしたのは、ある時代、ある社会に生きた人びとの
喜びや悲しみ、快楽や苦痛、欲望や虚栄など、さまざまな心情と結びついて細や
かな景色を紡ぐ服飾の、問題の深さや面白さである。
 本書は序と結び、六つの章で構成される。
 序「ユルスナールの靴」はほかでもない須賀敦子氏の著作から、その「きっち
り足に合った靴」に執筆の所為に代え服飾の機微や肌理がたどられる。
 つづく六章では、西洋近世から近代において女性を魅了し、それゆえその描写
にもなんらかの意味が認められた真珠、マフ、扇の三つの装身具ごとにそれぞれ
二章ずつ、三つの切り口からアプローチする。
 その一「寓意の主題」、第一章「光の粒」では、真珠の画家ヨハネス・フェル
メールの作品をきっかけにヴァニタスについて再考し、第二章「真珠ものがたり」
では、貴くも妖しい真珠がいかに時代を越え興味深いテーマであったのか。
 その二「エロスとの対話」、第三章「毛皮のポエジー」ではヴェンツェル・ホ
ラーやトマス・ゲインズバラが描くマフに漂う文化的シナリオを、第四章「ボエ
ームのマフ」では冷たい手を温めるマフにこめられた愛の表現をみる。
 その三「メディアの技法」、第五章「たわむれの行方」では彫版扇の流行と
《娼婦一代記》の模倣が扇絵にもおよぶほど人気画家であったウィリアム・ホガ
ースの扇への知られざる関心、第六章「仮面扇の真相」では異形の扇に《乞食オ
ペラ》にまつわる意外な事実の追跡、などなど。芸術の位相における服飾の様態
や人間のこころに映るさまを観察する。

『刻された書と石の記憶』

2012年9月4日 火曜日

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[2012年9月4日公開]

刻された書と石の記憶 (武蔵野大学出版会刊)

価格●2,200円 (消費税 200円)

ISBN978-4-903281-20-9 C1076

A5判 / 0ページ / 並製

奥付の発行年月●2012年01月

発売日●2012年01月中旬

 公園、史跡などのそこかしこにある石碑に、あなたはどのくらい注意を払って
いるだろうか? 待ち合わせの目印、毎朝のウォーキングの距離の目標、台座に
腰掛けて弁当を食べる場所……、こんな程度にしか思われていない石碑も多いこ
とだろう。
 いつでもそこにある石のカタマリでしかなかった石碑。そんな石碑が、実は奥
深い面白さを抱えていることを、本書は気づかせてくれる。
 石碑を見るときの着目ポイントは、碑の形式、そこに書かれた碑文の書と内容、
書を石の面に再現する刻、刻の味を決める石の素材などである。本書では武蔵野
にある3つの異なるタイプの碑を例にとる。それらは国木田独歩、太宰治にもゆか
りがあり、石碑調査は武蔵野文学散歩の趣から始まる。
 しかし、舟雲という号を持つ書家であり、書道・書道史の研究者でもある著者
の石碑探求は単なる文学散歩では終わらない。拓本を採り、碑の形式、揮毫、刻
のルーツを分析する。畳1畳大の採拓をものともせず、石切場まで車を駆る一方で、
拓本の1文字ずつの筆法を分析する。石のカタマリにここまで情熱を注ぐ著者に、
読者は圧倒されるだろう。そして、気がつくと自らも石のカタマリをおもしろい
と思い始めている。本書の豊富な写真、図版もぜひ楽しんでいただきたい。

75●こころと身体の関係を見つめ直す

2012年9月3日 月曜日

(さらに…)

74●20世紀の歴史

2012年9月3日 月曜日

(さらに…)

73●めくるめく論理と数学の世界

2012年9月3日 月曜日

(さらに…)

『時間の前で──美術史とイメージのアナクロニズム』

2012年7月17日 火曜日

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[2012年7月17日公開]

叢書・ウニベルシタス 975
時間の前で 美術史とイメージのアナクロニズム (法政大学出版局刊)

ジョルジュ・ディディ=ユベルマン

価格●4,180円 (消費税 380円)

ISBN978-4-588-00975-4 C1310

四六判 / 352ページ / 上製

奥付の発行年月●2012年06月

発売日●2012年06月下旬

 近年、そのめざましい執筆活動によって、美術史学の分野を超えて世界的に注
目されるディディ=ユベルマンの画期作。二十世紀前半、二度の大戦という〈歴
史〉の破局のなかで、ユダヤ系知識人を中心に出現した知の星座──ヴァルター
・ベンヤミン、カール・アインシュタイン、アビ・ヴァールブルク等々──が思
想にもたらした革新とはどのようなものだったのか? この系譜の相続人たる著
者は、既成の学問によって整合的なパースペクティブへと押し込められた芸術の
歴史をいったん解体し、時間を流動化させ、まなざしを真の意味で弁証法化しよ
うと試みる。アナクロニズムと批判される危険を恐れず、むしろ時間の渦巻きと
再構成のなかでしか捉えられない歴史の「徴候」「モンタージュ」「残存」のリ
アリティを認めようとする。──プリニウスの古代ローマからバーネット・ニュ
ーマンのモダニズムまでを往還し、旧来の美術史の前提をゆるがす「イメージの
人類学」を実践する本書は、歴史がいま・ここの日常にもたらすさまざまなしる
しを読み解くための有効な手段を提供してくれます。小局既刊『イメージの前で』
の姉妹編であり、ディディ=ユベルマン入門としても最適の一冊です。

『メディアは大震災・原発事故をどう語ったか    ──報道・ネット・ドキュメンタリーを検証する』

2012年6月19日 火曜日

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[2012年6月19日公開]

メディアは大震災・原発事故をどう語ったか 報道・ネット・ドキュメンタリーを検証する (東京電機大学出版局刊)

遠藤 薫

価格●2,750円 (消費税 250円)

ISBN978-4-501-62750-8 C3036

A5判 / 312ページ / 上製

奥付の発行年月●2012年03月

発売日●2012年03月上旬

 大地震・津波・原発事故により広範囲にわたって被害がもたらされ、メディア
自体も被災した状況で、未曽有の災害はどう報じられたかを検証する。時間経過
による報道内容の変化、メディアによる情報の違い、テレビ・新聞等の既存メデ
ィアとネット・ソーシャルメディアとの連携、被災者自身による情報発信、ドキ
ュメンタリーによる事実の検証、原発事故報道のあり方、報道が世論・選挙にも
たらす影響、世界での報道と国内での反応などを論考。
 著者が震災前から録画した首都圏すべてのテレビ録画映像分析や世論調査によ
るデータも交え、詳細に分析する。

『僕は絶対あきらめない──車いすテニスに夢をかけた22歳の生と死』

2012年6月16日 土曜日
978-4-89205-605-5に該当する書籍データが登録されていません
 著者は、平成16年、高校2年生の時に、骨のガンの一種である骨肉腫を発症、
担当医から「5年生存率20%」と告げられます。その後、肺への転移が見つか
ります。
 16歳の少年は、当然のように、恐怖と不安にさいなまれます。絶望の淵から
立ち上がり、「死」と向き合い、遂に倒れるまで(平成22年10月)の7年間
をどのように生きたか。ミクシーに公開されていた「闘病日記」、日経新聞に連
載されたコラム、講演記録で構成したのが本書です。
 ごく普通の青春を謳歌するはずだった一人の青年が、苛酷な運命に抗し、苦難
を克服し、心をとぎすまし、いかに明るく、前向きに生きることができたか。そ
の記録です。
著者は、次のような言葉を遺しています。「諦めてしまうことの怖さに比べれば、
諦めないことがどれだけ楽か!」「大切なものが芯にあれば、心は強く、折れな
い。私の場合は、車いすテニスがそれだ。」
 学術書を中心に出版活動を行なう「大学出版会」としては、異色の出版となり
ました。
 著者が本学の学生であったことが発刊の後押しをしたのも事実ですが、それよ
りも、「死」をしかと見据えて、如何に「生」きるかの答えを求めて、現代の若
者と等身大の青年が、悲観に陥ることなく、ここまでの高みに達し得た記録を、
特に若い世代の読者に読んでいただきたいと考えたからです。

72●好奇心をくすぐる

2012年6月1日 金曜日

(さらに…)