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 ある沖縄女性をめぐる経験の歴史学〈あいだ〉に生きる

〈あいだ〉に生きる ある沖縄女性をめぐる経験の歴史学

A5判 328ページ 上製
定価:5,500円+税
ISBN978-4-87259-635-9 C3022
奥付の初版発行年月:2019年03月 / 発売日:2019年03月下旬

内容紹介

第二次世界大戦を挟む激動の20世紀に翻弄されながら、沖縄と台湾を舞台に生き抜いた女性・宮城菊。彼女が記したノートと聞き取り、周囲の関係者へのインタビューから菊の半生を辿ることで、台湾・沖縄・朝鮮・日本の関係史を描きなおし、ひとが「生きる」こと、「生きたこと」の証を捉えなおす。国、言葉、貧困、戦争、信仰――さまざまな〈境界〉のなかで生きる人びとから見える、新たな歴史像。

著者プロフィール

冨永 悠介(トミナガ ユウスケ)

大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、タイ王国チェンマイ大学人文学部東洋言語学科日本語専攻講師。
主な論文として「『琉僑管理案』に見る沖縄出身者の歴史経験―その経験のゆくえと場の関係性を中心に―」(杉原達編著『戦後日本の<帝国>経験―断裂し重なり合う歴史と対峙する』青弓社、2018年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 軌跡を辿り、歴史を開く―経験の歴史学に向けて
第一節 問題意識―写真に刻まれた出会い
第二節 先行研究
(1)移動―地域間関係の枠組み
(2)場―関係性としての地域
(3)経験―出会いのゆくえ
第三節 研究方法
(1)「生存」の歴史学とエゴ・ドキュメント研究
(2)「経験を語る声」と「菊さんノート」
第四節 本書の構成

第一章 沖縄から台湾へ―経験のゆくえと生存のかたち1
第一節 経験の束としての語り―西新町と社寮島
第二節 西新町の暮らし、辻への身売り
第三節 琉球舞踊と読み書き
コラム①〈シジダカサン〉と〈呪いの金〉

第二章 植民地台湾での暮らし―経験のゆくえと生存のかたち2
第一節 日本軍と観光が同居する真砂町
第二節 琉球舞踊と琉球人差別
第三節 旅館女中という経験
第四節 鄭用錫との出会い
コラム②〈あほー〉の響き

第三章 基隆「水産」地域の形成と発展―国際港湾都市・基隆としての面目
第一節 国際部落としての「水産」地域
第二節 衛生と都市の「体面」
第三節 三沙湾漁港移転をめぐる言説―コレラ・美観・貧困
第四節 「水産」地域の両義的側面―「基隆市営漁民住宅」設置の理由から
第五節 内地と外地を繋ぐ「水産」地域
第六節 国際港湾都市・基隆と「水産」地域
コラム③国司浩助と戸畑港

第四章 『無言の丘』の歴史叙述―経験・場・東アジア
第一節 台湾ニューシネマと『無言の丘』
第二節 『無言の丘』の登場人物―経験の未決定性
第三節 呉念真にとっての「無縁」
第四節 『無言の丘』が開く歴史―もう一つの「水産」地域として
第五節 韓服女性と「無縁の墓」
コラム④菊さんの歴史は、どこの歴史だろう?

第五章 顕現する東アジア―経験のゆくえと生存のかたち3
第一節 「鄭菊(정국)」
第二節 「水産」地域の戦後空間
(1)地区再編と政治的教化
(2)密貿易と二・二八事件
(3)〈死んだ琉球人〉
第三節 出会いのゆくえ―戦後「水産」地域の帝国日本
第四節 心の「不安」と琉球舞踊
コラム⑤〈アチャアチャ〉のシメは水産餃子

第六章 喜友名嗣正が見た沖縄/日本
第一節 琉球独立運動と「琉球人民協会」
第二節 琉球独立運動の特徴
第三節 二つの変革論と棄民の強制
(1)「ニッポン変革論」と「沖縄変革論」
(2) 「宮古島多良間出身の一青年」
第四節 「琉球人民協会」の結成とその活動
第五節 喜友名は「生活支援者」だったのか?
(1)中華民国政府と琉僑の狭間で
(2)琉僑とは誰か
第六節 霧社を訪ねて―「空白」の意味
コラム⑥二・二八事件訴訟と日本の戦争責任

第七章 菊のキリスト教実践―経験のゆくえと生存のかたち4
第一節 キリスト教との出会い
第二節 「菊さんノート」の史料的性格
第三節 戦後台湾での信仰
(1)「ココロガオモタイ」
(2)「ココロノオゴリ」
第四節 沖縄での信仰
(1)過去・現在・未来の連環
(2)「石嶺バプテスト教会」という場
第五節 経験を「書く」「読む」「語る」「聞く」
コラム⑦キムチが繋いでくれた出会い

終章 「菊」から「私たち」の物語へ
第一節 「水産」地域の現在
第二節 「宮城菊姉を偲ぶ会」に参加して
第三節 「生存」の同時代的企て


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