大学出版部協会

 

現代中国の宗教変動とアジアのキリスト教

現代宗教文化研究叢書7
現代中国の宗教変動とアジアのキリスト教

A5判 490ページ 上製
定価:7,500円+税
ISBN978-4-8329-6832-5 C3014
奥付の初版発行年月:2017年03月 / 発売日:2017年04月中旬

内容紹介

現代の中国における宗教変動と、アジア各国の宗教の動き、特にキリスト教の躍動を描き出す。
東アジアの近現代においては政治が宗教を統制してきたが、近年では社会内部のダイナミックな宗教運動とトランスナショナルな宗教がもたらすインパクトによって、政治的統制や文化的圧力の網の目をくぐり抜けて宗教的空間が存在することが確認される。これらの宗教の制度分析を軸に、階層分化や社会的排除などポスト・グローバル時代の社会問題に宗教はどのように応えるのかという問題意識をもって、東アジアの宗教動態を変動の局面で把握する。

第Ⅰ部「東アジアの社会と宗教」では、東アジアの宗教文化の構成と変動をみる視点を提示する。
第Ⅱ部「アジアのキリスト教」は、日韓中台に加えて、香港、モンゴル、タイのキリスト教の現況を報告し、それぞれの地域において教会が直面している課題を浮き彫りにする。第Ⅲ部「中国の宗教復興」は、仏教と道教、チベット仏教と回族のイスラーム、さらにチベット文化圏の仏教ナショナリズムに関して概況と事例研究を報告する。

著者プロフィール

櫻井 義秀(サクライ ヨシヒデ)

1961年 山形県生まれ
1987年 北海道大学大学院文学研究科博士課程中退
現  在:北海道大学大学院文学研究科教授
単・共著:『東北タイの開発と文化再編』北海道大学図書刊行会,2005
     『東北タイの開発僧』梓出版社,2008
     『統一教会』〈共著〉,北海道大学出版会,2010
     『死者の結婚』北海道大学出版会,2010
     『カルト問題と公共性』北海道大学出版会,2014など。
編  著:『社会貢献する宗教』〈共編〉世界思想社,2009
     『現代タイの社会的排除』〈共編〉梓出版社,2010
     『越境する日韓宗教文化』〈共編〉北海道大学出版会,2011
     『日本に生きる移民たちの宗教生活』〈共編〉ミネルヴァ書房
      2012
     『アジアの宗教とソーシャル・キャピタル』〈共編〉明石書店
      2012
     『アジアの社会参加仏教』〈共編〉北海道大学出版会,2015
     『人口減少社会と寺院』〈共編〉法藏館,2016など。

郭莉莉(カク リリ)

生年:1987年
現在:河北経貿大学外国語学院 専任講師
主著:「都市の少子化と子育て支援ネットワークに関する日中比較研究─札
   幌・北京調査を事例に」『現代社会学研究』第27巻、1-18頁、2014
   年(単著)。
   「中国農村高齢者の養老問題─都市近郊の『失地農民』に焦点を当て
   て」『21世紀東アジア社会学』第7号、146-163頁、2015年(単著)

金昌震(キム チャンジン)

生年:1974年
現在:北海道科学大学 非常勤講師
主著:「ネットワーク論的観点から見た育児支援」『日本文化研究』
   第50輯、2016年(共著)。
   「少子化原因の背景に関する日韓比較」『北海道大学大学院文学研究
   科研究論集』第14号、2014年(単著)。

寺沢 重法(テラザワ シゲノリ)

生年:1982年
元 北海道大学大学院文学研究科 助教
主著:「慈済会所属者の族群と社会階層は多様化しているのか?─TSCS-
   1999/2004/2009の分析」『宗教と社会貢献』第5巻第2号、27-42
   頁、2015年(単著)。
   「現代台湾において日本統治時代を肯定的に評価しているのは誰か?
   ─「台湾社会変遷基本調査」の探索的分析」『日本台湾学会報』
   第17号、226-240頁、2015年(単著)。

羅欣寧(ラ キンネイ)

生年:1991年
現在:北海道大学大学院文学研究科修士課程
主著:「中国における計量宗教社会学とその課題─Spiritual Life Study of
   Chinese Residents, Study of Mysticism in Chinese Buddhist
   Monks and Nuns,中国総合社会調査を事例に」『日中社会学研
   究』24号、45-56頁、2016年(共著)。

伍嘉誠(ゴ カセイ)

生年:1984年
現在:北海道大学文学研究科 専門研究員
主著:‘Demographic Changes and Religion in Japan: A Case Study of
   Soka Gakkai in Hokkaido’. In Nagy, S. R. ed., Japan’s
   Demographic Revival: Rethinking Migration, Identity and
   Sociocultural Norms. Singapore: World Scientific Publishing Co.,
   2016, pp.145-178(単著).
   「香港社会における高齢化とキリスト教団体による高齢者福祉─ソー
   シャル・キャピタルの視点から」『日中社会学研究』第23号、
   107-122頁、2015(単著)。

李賢京(イ ヒョンギョン)

生年:1979年
現在:東海大学文学部 特任講師
主著:「在韓日本人コミュニティの形成と宗教─日本人教会を中心に」『比
   較日本学』第34集、2015年(単著)。
   『アジアの社会参加仏教』北海道大学出版会、2015年(分担執筆)。

佐藤 千歳(サトウ チトセ)

生年:1974年
現在 北海商科大学 准教授
主著:「教会破壊に乗り出した習近平政権」『文藝春秋』2014年7月号、
   130-138頁(単著)。
   「変容する中国の宗教─21世紀におけるキリスト教の復活」『善隣』
   436号、2-10頁、2013年(単著)。

徐琼(ジョ ケイ)

生年:1963年
現在:上海応用技術大学人文学院 副教授
主著:『図們江地域における開発と社会変容1990-2005』一粒書房、
   2012年(単著)。
   「中国のキリスト教団体及び活動の特徴について─上海朝鮮族の「家
   庭教会」を事例に」『評論・社会科学』118号、47-69頁、2016年
   (単著)。

藤野 陽平(フジノ ヨウヘイ)

生年:1978年
現在:北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 准教授
主著:『台湾における民衆キリスト教の人類学─社会的文脈と癒しの実践』
   風響社、2013年(単著)。
   「台湾における「日本語」によるキリスト教的高齢者ケア─社団法人
   台北市松年福祉会玉蘭荘の機関誌分析より」三尾裕子、遠藤央、植野
   弘子編『帝国日本の記憶─台湾・旧南洋群島における外来政権の重層
   化と脱植民地化』慶応義塾大学出版会、2016年(分担執筆)。

ダーライブヤン・ビャンバジャワ()

生年:1979年
現在:クイーンズランド大学 特別研究員
主著:“The Struggles of River Movements,”Social Movement Studies,
   No 4, 2015(単著).
   “Mobilizing against Dispossession: Gold Mining and a Local
   Resistance Movement in Mongolia,”北方人文研究、第5号、13-32
   頁、2012年(単著)。

稲本 琢仙(イナモト タクセン)

生年:1992年
現在:北海道大学大学院文学研究科修士課程

ティラポン・クルプラントン()

生年:1971年
現在:フリーランス研究者・翻訳・通訳者
主著:『日本に生きる移民たちの宗教生活─ニューカマーのもたらす宗教多
   元化』ミネルヴァ書房、2012年(分担執筆)。
   『タイ上座仏教と社会的包摂―ソーシャル・キャピタルとしての宗
   教』明石書店、2013年(分担執筆)。

シリヌット・クーチャルーンパイブーン()

生年:1980年
現在:北海道大学大学院文学研究科博士課程
主著:「一九七〇年代におけるタイ学生運動の動態─イベント分析による考
   察」『年報タイ研究』第15号、37-57頁、2015年(単著)。
   「タイの民主化と反日運動─「野口キック・ボクシング・ジム事件」
   と「日本製品不買運動」を事例に」『現代社会学研究』第28巻、
   1-19頁、2015年(単著)。

中村 則弘(ナカムラ ノリヒロ)

生年:1957年
現在:長崎大学多文化社会学部 教授
主著:『台頭する私営企業主と変動する中国社会』ミネルヴァ書房、
   2005年(単著)。
   『脱オリエンタリズムと中国文化─新たな社会の構想を求めて』明石
   書店、2008年(編著)。

川田 進(カワタ ススム)

生年:1962年
現在:大阪工業大学工学部 教授
主著:『中国のプロパガンダ芸術』岩波書店、2000年(共著)。
   『東チベットの宗教空間』北海道大学出版会、2015年(単著)。

首藤 明和(シュトウ トシカズ)

生年:1970年
現在:長崎大学多文化社会学部 教授
主著:『中国の人治社会』日本経済評論社、2003年(単著)。
   『中日家族研究』浙江大学出版社、2013年(共編著)。

宮坂 清(ミヤサカ キヨシ)

生年:1971年
現在:名古屋学院大学法学部 専任講師
主著:「神々に贈られるバター─ラダックの遊牧民による乳加工と信仰」
   鈴木正崇編『森羅万象のささやき─民俗宗教研究の諸相』風響社、
   2015年(分担執筆)。
   「科学と呪術のあいだ─雪男学術探検隊、林寿郎がみた雪男」
   江川純一・久保田浩編『「呪術」の呪縛 上巻』(宗教史学論叢19)
   リトン、2015年(分担執筆)。

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吉喜潔(キツ キケツ)
生年:1986年
現在:石屋商事株式会社


韓舒(ハン ショ)
生年:1988年
現在:中国陝西旅遊出版社


趙可佳(チョウ カカ)
生年:1990年
現在:北京首都博物館研究員


保薇(ホ ビ)
生年:1989年
現在:株式会社ビックカメラ


栄畳飄(ロン ディエヒョウ)
生年:1991年
現在:北海道大学大学院文学研究科修士課程


李鑫(リ キン)
生年:1991年
現在:北海道大学大学院文学研究科修士課程

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第Ⅰ部 東アジアの社会と宗教

第一章 現代東アジアの宗教………櫻井義秀
 一 東アジア宗教を見る視点
 二 中国の宗教と政教関係
 三 東アジアにおける宗教の特徴
 四 むすび―宗教と公共空間

第二章 東アジアの福祉と家族………郭莉莉・金昌震
 一 東アジアの少子高齢化と福祉
 二 各国の社会保障と社会福祉

第三章 中国における計量的宗教社会学とその課題
                     ………寺沢重法・羅欣寧
 一 問題設定
 二 宗教調査データの概要
 三 宗教調査データを用いた知見の整理
 四 おわりに―中国宗教の今後の計量研究に向けて

第Ⅱ部 アジアのキリスト教

第四章 アジアのキリスト教会
    ―日本、韓国、中国、タイ、モンゴルの比較調査
                     ………櫻井義秀・伍嘉誠
 一 はじめに
 二 アジアのキリスト教を比較する視角
 三 五カ国のキリスト教を比較する視点
 四 五カ国のキリスト教比較
 五 おわりに

第五章 本国と日本における韓国カトリック教会と信者たち………李賢京
 一 問題提起と背景
 二 韓国カトリック教会の概況
 三 調査の概要
 四 調査結果―単純集計からみる信者たちの特徴
 五 むすびに代えて

第六章 社会参加する中国の家庭教会………佐藤千歳
 一 はじめに
 二 中国のプロテスタント教会
 三 北京の「維権教会」
 四 「公民社会」への展望

第七章 朝鮮族キリスト教の実態について
    ―中国延辺朝鮮族自治州の事例          ………徐琼
 一 はじめに
 二 キリスト教研究に関する中国語文献
 三 延吉キリスト教会の現状と運営
 四 キリスト教の公認体制と延吉の経験
 五 延吉のカルト問題
 六 神学者の育成
 七 おわりに

第八章 台湾の政教関係にとっての台湾語教会という存在
    ―長老教会と台湾独立派の友好関係      ………藤野陽平
 一 はじめに─台湾のキリスト教と族群
 二 日本人教会が去ったら、国語教会が来た
    ―戦後の混乱期のキリスト教
 三 台湾の民主化運動と台湾語教会
 四 近年の動向(1)─ひまわり学生運動
 五 近年の動向(2)─二〇一六総統選挙
 六 おわりに─比較対象としての国語教会

第九章 香港におけるキリスト教と社会福祉
    ―その過去、現在、未来            ………伍嘉誠
 一 はじめに
 二 香港社会の変遷と社会福祉
 三 社会福祉を行う宗教団体
 四 比較のまとめ
 五 おわりに

第十章 ポスト社会主義時代のモンゴルにおけるキリスト教
         ………ダーライブヤン・ビャンバジャワ/稲本琢仙訳
 一 はじめに
 二 ポスト社会主義時代のモンゴルにおけるスピリチュアルと社会混乱
 三 モンゴルにおけるキリスト教宣教師の動向
 四 キリスト教改宗の概念化
 五 調査
 六 考察と結果

第十一章 現代タイにおけるカトリック・キリスト教会の実態と社会活動
     ―ラーチャブリー教区を事例として
            ………ティラポン・クルプラントン
               シリヌット・クーチャルーンパイブーン
               ジュタティップ・スチャリクル
 一 はじめに
 二 タイのカトリック
 三 カトリックの組織構成と管区
 四 司祭と修道士の養成
 五 キリスト教の学校
 六 カトリックの社会活動と運営資金
 七 考察

第Ⅲ部 中国の宗教復興

第十二章 中国にみる多神教世界の社会的ダイナミズムと可能性
     ―価値意識における両義性と流動性に着目して………中村則弘
 一 はじめに
 二 価値前提と世界観をめぐって
 三 地域活動の担い手からみる中国の価値意識
 四 流動する世界について
 五 両義性・流動性および渾沌に基づく世界の危機
 六 結びにかえて

第十三章 明暗を分けたチベット仏教の高僧
     ―中国共産党の宗教政策と権利擁護の主張  ………川田 進
 一 はじめに
 二 中国共産党の宗教政策─鄧小平から習近平まで
 三 ケンポ・ソダジの弘法活動と仏教ブーム
 四 カルマ・カギュ派の高僧ケンポ・カルツェの挫折

第十四章 雲南保山回族にとっての国家
     ―記憶と予期に裏づけられたシンボル的な存在として
                          ………首藤明和
 一 問題の所在と作業仮説
 二 唯一神と天子の絶対矛盾的自己同一としての「二元忠貞」
    ―後の「愛国愛教」へ
 三 保山回族の記憶と〈同時的〉な〈場所〉
    ―内的世界と外的世界の絶対矛盾的自己同一を支える〈場所〉
     として
 四 保山回族の記憶と〈共在的〉な〈場所〉
    ―他者からの暴力に対する感覚や情動を呼び覚ます〈場所〉
     として
 五 保山回族の予期と備え
 六 保山回族にとっての国家─記憶と予期に裏づけられたシンボル的な
   存在として

第十五章 愛国的宗教指導者の悲哀
     ―二〇一三年新疆ウイグル自治区イスラーム調査
                          ………川田 進
 一 はじめに 
 二 インギサル県デルワザモスクと「二つの“五好”」運動
 三 ヘイトガーフモスクの愛国イマーム殺害事件
 四 天安門車両炎上事件に見る新疆政策への不満
 五 新疆宗教調査をめぐる問題

第十六章 五台山の寺院復興と聖地観光………吉喜潔・櫻井義秀
 一 聖地観光という視点
 二 五台山の歴史と寺院の現状
 三 五台山の観光とツーリスト
 四 おわりに

第十七章 西安市の仏教寺院と信徒活動………韓舒・櫻井義秀
 一 宗教文化と社会倫理
 二 西安市の仏教寺院
 三 西安における仏教徒の宗教意識
 四 おわりに

第十八章 北京市の道教と道観………趙可佳・櫻井義秀
 一 はじめに
 二 中国の道教史
 三 北京市の道観
 四 道士と道教信者の宗教意識
 五 おわりに

第十九章 雲南省・江蘇省・甘粛省における宗教団体の社会活動
                ………保薇・栄畳飄・李鑫・櫻井義秀
 一 はじめに
 二 雲南省の茨中カトリック教会
 三 江蘇省の仏教安養院
 四 甘粛省の回族女学

第二十章 インド、ラダックにおける仏教ナショナリズムの始まり
     ―カシミール近代仏教徒運動との出会い   ………宮坂 清
 一 ラダックにおける仏教とナショナリズム
 二 グランシー委員会への意見書
 三 意見書の内容と意義
 四 カシミール近代仏教運動と仏教徒ラダック人の出会い
 五 ナショナリズムからコミュナリズムへ

おわりに
索引
執筆者紹介


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