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 モラル・マシーンロボットに倫理を教える

ロボットに倫理を教える モラル・マシーン Moral Machines: Teaching Robots Right from Wrong

A5判 388ページ 上製
定価:4,500円+税
ISBN978-4-8158-0927-0 C3010
奥付の初版発行年月:2019年01月 / 発売日:2019年01月上旬

内容紹介

AIやロボットは、果たして道徳的になれるのか? 間近に迫る倫理的な機械の必要性を、哲学的背景も含めて明確に提示。実現に向けた種々の工学的アプローチを概観し、困難ではあるが避けがたい取り組みのこれからを展望する。エンジニアと哲学者を架橋する待望の書。

前書きなど

マサチューセッツ工科大学のアフェクティブ・コンピューティング研究所では、人間の情動を読み取ることのできるコンピュータを科学者たちが設計している。金融機関は、毎分何百万回もの取引を評価して、その取引を承認あるいは拒絶する世界規模のコンピュータ・ネットワークを実装している。日本やヨーロッパやアメリカのロボット工学者たちは、高齢者や障害者のケアを担うサービス・ロボットを開発している。さらに日本の科学者は、人間と見分けがつかないアンドロイドを作ろうとしている。韓国政府は二〇二〇年までに各家庭にロボットを導入するという目標を発表し、さらに北朝鮮との国境を警備する一助となるよう武装ロボットをサムスンと共同で開発している。その一方で人間の活動は、自動車からゴミ箱まで日々のありふれた機器の中のコンピュータチップによって、またネットサーフィンからオンラインショッピングまでのありとあらゆる仮想環境の中のソフトウェア「ボット」によって、手助けされ、モニターされ、分析されている。こうした(ロ)ボット――物理的なロボットとソフトウェア・エージェントの双方を含む言葉として用いる――によって集められたデータは、商用目的、統治目的、医療目的のために使われている。

こうした発展のすべてが、人間による直接的な監督から独立して、人間の幸福に影響を与える可能性をもつ……

(「序章」冒頭より)

著者プロフィール

ウェンデル・ウォラック(ウェンデル ウォラック)

Wendell Wallach イェール大学生命倫理学学際センター「テクノロジーと倫理」部会長(2018年10月現在)。専門はテクノロジーの倫理。主な業績に、先端テクノロジーに関する倫理問題を包括的に扱ったA Dangerous Master: How to Keep Technology from Slipping Beyond Our Control, Basic Books, 2015〔大槻敦子訳『人間VSテクノロジー:人は先端科学の暴走を止められるのか』原書房、2016年〕等がある。

コリン・アレン(コリン アレン)

Colin Allen ピッツバーグ大学科学史・科学哲学部特別教授(2018年10月現在)。心の哲学や認知科学の哲学の業績で知られる。生物学者のマーク・ベコフ(Marc Bekoff)との共著書Species of Mind: the Philosophy and Biology of Cognitive Ethology, MIT Press, 1997をはじめ、多数の編著がある。

岡本 慎平(オカモト シンペイ)

1986年生まれ
2015年 広島大学大学院文学研究科博士後期課程修了
現 在 広島大学大学院文学研究科助教、博士(文学)
著訳書 『少子超高齢社会の「幸福」と「正義」』
    (共著、日本看護協会出版会、2016年)
    D・アーミテイジ『思想のグローバルヒストリー』
    (共訳、法政大学出版局、2015年)他

久木田 水生(クキタ ミナオ)

1973年生まれ
2005年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了
現 在 名古屋大学大学院情報学研究科准教授、博士(文学)
著訳書 『ロボットからの倫理学入門』
    (共著、名古屋大学出版会、2017年)
    A・クラーク『生まれながらのサイボーグ』
    (共訳、春秋社、2015年)他

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章

第1章 なぜ機械道徳なのか?
路面電車の運転手とロボットのエンジニア
倫理的な殺人機械?
差し迫った危険

第2章 道徳の工学
それはエンジニアの義務なのか?
ムーアによる倫理的エージェントの分類

第3章 人類はコンピュータに道徳的意思決定をしてほしいのか?
恐れと魅力
意思決定の責任をコンピュータに丸投げする
羊の皮を被る
兵士、性玩具、奴隷
テクノロジーのリスクを適切に評価できるのか?
未 来

第4章 (ロ)ボットは本当に道徳的になりうるのか?
配慮すべきテクノロジー
人工知能――そのアイディアの核心
(ロ)ボットは本当の道徳的行為者になりうるのか?
決定論的システムの倫理学
理解力と意識
AMAには未だ何ができないか
AMAを評価する

第5章 哲学者、エンジニア、AMAの設計
2つのシナリオ
共同作業を基礎づける
誰の道徳? どんな道徳?
トップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチ

第6章 トップダウンの道徳
道徳理論を働かせる
全知のコンピュータは必要か?
ロボットのための規則
上位規則の計算
トップからボトムへ

第7章 ボトムアップで発達的なアプローチ
有機的な道徳
人工生命と社会的価値観の創発
学習機械
モジュールを組み合わせる
ボトムからトップへ

第8章 トップダウンとボトムアップを融合させる
ハイブリッドな道徳的(ロ)ボット
ヴァーチャルな徳
徳に対するトップダウン・アプローチ
コネクショニズムの徳
ハイブリッドな徳倫理

第9章 ベーパーウェアを超えて?
最初のステップ
論理的には道徳的
事例を明示化する
事例から暗黙裡に学習する
マルチボット
不服従ロボット
SophoLab
ベーパーウェアを超えて?

第10章 理性を超えて
なぜスポックよりもカーク船長なのか
道徳的意思決定のための合理性以外の能力の重要性
情動的知能
認知説あるいは身体説にとっての計算上の課題
感覚システムから情動へ
アフェクティブ・コンピューティング(1)――情動を検知する
アフェクティブ・コンピューティング(2)――情動をモデル化し使用する
人間とロボットの相互作用――Cogとキスメットを超えて
他者の心と共感
心の理論と共感
マルチエージェント環境
ロボットはどのように身体化されなければならないのか?

第11章 もっと人間に似たAMA
あるものみな集めたら何が手に入る?
LIDAモデル
人間の道徳的意思決定とLIDA
ボトムアップの傾向・価値観・学習
規則を含んだ道徳的熟慮
計画立案と想像力の実装
解決、評価、さらなる学習
もっと先に進む

第12章 危険、権利、責任
明日の見出し
未来学
責任、法的責任、行為者性、権利、義務
歓迎か、拒絶か、それとも規制か?

エピローグ (ロ)ボットの心と人間の倫理

謝 辞
訳者解説

参考文献
索 引

関連書

久木田水生/神崎宣次/佐々木拓著『ロボットからの倫理学入門』

関連リンク

『ロボットからの倫理学入門』


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