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 宗属関係から大韓帝国へ朝鮮外交の近代

朝鮮外交の近代 宗属関係から大韓帝国へ

A5判 360ページ 上製
定価:5,400円+税
ISBN978-4-8158-0883-9 C3022
奥付の初版発行年月:2017年08月 / 発売日:2017年08月上旬

内容紹介

第35回(2019年度)「大平正芳記念賞」

朝鮮はなぜ、東アジア政治の焦点となるのか。中華と近代の結節点に位置し、摩擦のなかから生み出されていった外交の論理をその起源から解明。外政機構の形成から大韓帝国の成立までを一貫した視座でとらえ、激動の東アジア国際関係史のなかで決定的な位置を占めた姿を浮かび上がらせる。

前書きなど

はじめに

ハロルド・ニコルソンは著書『外交』の中で、「政策」と「交渉」を区別して、外交は立法的側面の政策と執行的側面の交渉から成るとし、そのうち職業外交官が担う交渉の重要性を指摘している。またアーネスト・サトウは、外交とは独立した国(ときに属国も含む)の政府間の公式関係を指揮するための知性と機転の利用であると定義する。これら「外交」を論じる古典的研究では、外交は主権をもつ国家が、国外に使節を派遣し、そこで行われる交渉によって、国家間関係を形成していく過程と理解される。このような外交が展開される場に、条約や国際法といった西洋近代の価値基準に基づいた規範があったことはいうまでもない。

しかし、本書が取り上げる一九世紀末の朝鮮は、そのような近代的世界に足を踏み入れつつも、東アジア在来の中国を中心とする秩序の価値基準も有していた。宗主国と属国という清朝との対等ではない関係、すなわち宗属関係がその代表であった。宗属関係とは、中国を中心とする華夷秩序に基づく世界観を共有し、中国皇帝から国王として冊封を受け、また皇帝に正朔を奉じて朝貢することによって結びつけられる関係で、上下関係を前提としてい……

[「序章 朝鮮外交形成の論理」冒頭より/注は省略]

著者プロフィール

森 万佑子(モリ マユコ)

1983年 愛知県に生まれる
2008年 東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了
2012年 ソウル大学校大学院人文大学博士課程修了
2015年 東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了
現 在 日本学術振興会特別研究員(PD)、博士(学術)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 朝鮮外交形成の論理
はじめに
1 これまでの朝鮮近代史研究
2 本書の課題
3 本書の構成

第Ⅰ部 宗属関係の変容
 ―二元的中華の時代―

第1章 宗属関係の中の条約関係
 ―領選使から駐津大員へ(1883~86年)―
はじめに
1 駐津大員の位置づけ
2 駐津大員の活動
おわりに

第2章 宗属関係と条約関係の交錯
 ―駐津大員から駐津督理へ(1886~94年)―
はじめに
1 駐津大員から駐津督理へ
2 『駐津督理公署章程底稿』の分析
3 駐津督理の活動
おわりに

第3章 対外実務の条約関係への対応
 ―統理交渉通商事務衙門の形成―
はじめに
1 『続章程』の内容の再検討――『章程』との違いを中心に
2 主事の勤務実態
3 『続章程』以後の外衙門の運営実態
おわりに

第4章 宗属関係の可視化と朝鮮政府
 ―神貞王后逝去をめぐって―
はじめに
1 神貞王后の逝去前の情勢
2 神貞王后の逝去
3 神貞王后の葬礼――アメリカ兵による霊輿の班送
4 勅使の迎接
おわりに

第Ⅱ部 大韓帝国の成立
 ―一元的中華の時代―

第5章 朝鮮からみた日清開戦過程
はじめに
1 宗属関係における交渉
2 近代国際関係における交渉
おわりに

第6章 対外実務の条約関係への特化
 ―宗属関係の終焉―
はじめに
1 日清開戦過程の統理交渉通商事務衙門
2 外政機構の改編
3 主事の勤務実態
おわりに

第7章 大韓帝国の成立と中華
 ―一元化の帰結―
はじめに
1 高宗皇帝即位に至る日韓関係
2 宗属関係廃棄後の対清関係
おわりに

附 章 朝鮮政治・外交の変容と朴定陽
はじめに
1 「開化」政策の基礎固め――二度の暗行御史
2 近代外交の出発――駐米全権大臣
3 甲午改革への参与――内閣総理大臣
4 大韓帝国と独立協会のはざまで
おわりに

終 章 中華のゆくえと朝鮮近代


あとがき
文献一覧
図表一覧
索 引


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