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 中世形成期における絵画の思想的深層肖像画の時代

肖像画の時代 中世形成期における絵画の思想的深層

A5判 450ページ 上製
定価:6,600円+税
ISBN978-4-8158-0682-8 C3071
奥付の初版発行年月:2011年12月

内容紹介

肖像画とは、見たままの対象の描写なのか。院政期に雰囲気を一変させる絵巻物との連続性から、似絵や 「明恵上人樹上坐禅像」 など鎌倉時代の肖像画をとらえることで、その深層に形成された思想の言葉の次元を明るみに出す。中世へと向けて大きく転換していく社会にあって、絵画は何を語り出そうとしたのか。


目次

はじめに —— 鎌倉時代肖像画研究序説
   はじめに
   1 「明恵上人樹上座禅像」 の研究史の反省
   2 政治哲学としての似絵
   3 絵巻物との言説内容の類似
   4 鎌倉時代肖像画の精神的基盤
   5 言葉と隔絶した表現世界
   6 研究の要点

序 章 絵巻物から肖像画へ —— 変革期の日本美術
   1 絵巻物研究における文化覇権論
   2 絵巻物研究における 「秘められた政治」 論
   3 院政期絵巻物研究の問題点
   4 絵巻物に映る社会の情態
   5 「信貴山縁起絵巻」 の特質
   6 自己意識の形象化としての似絵
   7 「明恵上人樹上座禅像」の特質
   8 思想的実践としての肖像画

  第Ⅰ部 絵巻物に見る転換の諸相 —— 院政期美術の背景

第1章 神仙山水としての 「信貴山縁起絵巻」
   1 絵巻の時代背景
   2 説話の構造
   3 視覚形式における神仙山水的性格
   4 「信貴山縁起絵巻」 から 「伴大納言絵巻」 へ —— 神から人へ

第2章 絵画との対面の感覚
      —— 「信貴山縁起絵巻・延喜加持巻」 剣の護法の場について
   1 現状について
   2 時空間の構造
   3 掛幅画を見るときの経験
   4 錯簡説について
   5 造形の論理
   6 常の世界と超の世界

第3章 国家の神話としての 「伴大納言絵巻」
   1 御霊絵巻論について
   2 文化覇権論について
   3 説話構造の分析
   4 超越的存在の出現
   5 徳治と法治の提示
   6 神話としての絵巻
   7 公正の理念の提示

   第Ⅱ部 似絵考 —— 徳治理念の表象としての肖像

第4章 似絵以前の平安貴族の肖像観 —— 呪詛論をこえて
   はじめに
   1 上位貴族の肖像作例
   2 上位貴族の肖像観
   おわりに

第5章 生身性と肖似性 —— 肖像画の基礎概念と院政期の肖像表現
   1 肖像の起源説話
   2 生身性と肖似性
   3 平安貴族の肖像観
   4 九条兼実の似絵忌避
   5 個体差の否定的価値
   6 肖似性への忌避感
   7 外形描写の意味
   8 行事絵の公的性格
   9 藤原隆信の活動の場

第6章 似絵と尚歯会図 —— 似絵の起源
   はじめに
   1 尚歯会図との関係
   2 尚歯会図の実相
   3 隆信様式の復元

第7章 「似絵詞」 に見る似絵 —— 源流・名付け・概念
   はじめに
   1 「似絵詞」 について
   2 「似絵詞」 と尚歯会図
   3 似絵という名付け
   おわりに

第8章 似絵の時期区分 —— 「似絵詞」 を中心に
   はじめに
   1 「似絵詞」 の意義
   2 「似絵詞」 の思想
   3 「似絵詞」 の創作主体
   4 似絵の後先
   おわりに

第9章 初期似絵から中期似絵へ —— 「中殿御会図」 について
   1 九条良平の位置の問題
   2 異時同図法と 「中殿御会図」
   3 音声のテーマ
   4 コンテクストの問題

第10章 後期の似絵 —— 「天皇摂関御影」 について
   はじめに
   1 現状と研究史
   2 第一段階の成立過程
   3 後嵯峨による画巻制作の意図
   4 第二段階の成立過程
   5 九名の法体影の比定
   6 仁和寺御室歴代画像の付加の理由
   おわりに

補 論 東アジア肖像画の標準 —— 「元人名賢四像図巻」 について

   第Ⅲ部 「明恵上人樹上座禅像」 考 —— 華厳思想の表象としての肖像

第11章 造形の特徴と宋画の摂取 (1) —– 構図法を中心に
   1 研究史の問題
   2 画面構成について
   おわりに

第12章 造形の特徴と宋画の摂取 (2) —— 空間の組み立て・彩色・筆線などを中心に
   はじめに
   1 「明恵上人樹上座禅像」 の画面の成り立ち —— 特に空間の組み立てについて
   2 彩色と筆線
   3 山水人物表現と筆線の関係
   おわりに

第13章 東アジア的な図像の伝統 —— 主題を巡る考察 (1)
   はじめに
   1 樹下に坐禅する僧侶の図像の伝統について
   2 遁世僧の図像の系譜
   3 もう一つの遁世僧の図像
   おわりに

第14章 華厳の思想的実践としての肖像画 —— 主題を巡る考察 (2)
   はじめに
   1 羅漢図説の論拠の検討
   2 「明恵上人樹上坐禅像」 の主題の検討
   3 事的世界観のシンボリズム
   4 言葉以前ゆえの映像世界
   5 羅漢図説発生の背景の検討
   おわりに —— 思想的実践としての肖像画

補 論 多様な肖像世界 —— 「明恵上人像 (披講像)」 について

結 語 


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