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 マダガスカル南部タンルイ語の記述〈茨の国〉の言語

〈茨の国〉の言語 マダガスカル南部タンルイ語の記述

A5判 328ページ 上製
定価:4,800円+税
ISBN978-4-7664-2450-8 C3039
奥付の初版発行年月:2018年02月 / 発売日:2018年02月中旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

▼アフリカにもっとも近いアジア
アフリカ大陸の東海岸に位置する国、マダガスカル。
遠く離れた東南アジア島嶼部やオセアニア地域と同じオーストロネシア語族の
消えゆく言語を体系的に記述する、世界初の試み。


アフリカ大陸の東海岸に位置する国、マダガスカル。

しかし、「アフリカにもっとも近いアジア」と呼ばれるマダガスカルの言語は、東南アジアやオセアニアの島嶼国(ポリネシア、メラネシア、ミクロネシア)と同じオーストロネシア語族に属し、またその南部タンルイは、有棘植物が生い茂るため、〈茨の国〉と呼ばれる厳しい自然環境の無文字社会である。

〈茨の国〉タンルイに分け入り、これまで未記述のタンルイ語をゼロから現地調査し、音、語や文の成り立ちから言語表現に投影された価値観や文化まで記述する、気鋭の力作。

著者プロフィール

西本 希呼(ニシモト ノア)

京都大学白眉センター、京都大学東南アジア地域研究研究所特定助教。
2006年大阪外国語大学(現大阪大学)外国語学部地域文化学科南欧地域文化専攻卒業後、2011年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科アフリカ地域研究専攻5年一貫制博士課程修了。博士(地域研究)。第1回日本学術振興会育志賞受賞。
フランス国立東洋言語文化研究所(INALCO)客員研究員、ハワイ大学マノア校言語学科客員研究員、クワラ州立大学(ナイジェリア)客員研究員等を経て、2013年4月より現職。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに 〈茨の国〉へ

序 章 マダガスカルの言語と民族
 1. マダガスカルの言語と民族
  1.1 マダガスカルと東南アジアとの歴史的・文化的連続性
  1.2 マダガスカルの言語多様性
  1.3 マダガスカルの国語・公用語について
 2. 〈茨の国〉の言語――マダガスカル南部タンルイ語
  2.1 文字のない社会、文字のない言語とは
 3. タンルイ語を記述する
  3.1 先行研究
  3.2 調査方法および本書で用いるデータ
 4. 本書の目的
  4.1 学術的意義
  4.2 消滅危機言語の記録と無形文化遺産(Intangible Cultural
  Heritage)の保存
  4.3 最後に――幅広い読者層へ向けた発信

第1章 音声
 1. 音声
  1.1 子音
   1.1.1 声門閉鎖音Ɂ/1.1.2 摩擦音/1.1.3 破擦音/1.1.4 鼻
   音/1.1.5 前鼻音化子音
  1.2 子音挿入
 2. 母音
  2.1 母音省略
  2.2 母音脱落
  2.3 音挿入による母音の変化
 3. 音節構造と強勢の規則
  3.1 弱変化語尾
  3.2 開音節(CV)構造
  3.3 強勢の規則

第2章 語の成り立ち
 1. 語根について
  1.1 拘束語根
  1.2 自由語根
 2. 語の音節構造
  2.1 1音節の語
  2.2 2音節の語
  2.3 3音節の語
 3. 派生における形態変化と音交替規則
  3.1 派生の際の音交替の規則
  3.2 弱変化語尾 -ke、-tse、-ñe を伴う語の派生の際の音交替規則
   3.2.1 弱変化語尾 -ke、-tse を伴う語の場合/3.2.2 弱変化語
   尾 -ñe を伴う語の派生および所有連結辞 -n- がつく場合の音交替
   規則
 4. 接辞による語形成
  4.1 接頭辞
  4.2 接中辞
  4.3 接尾辞
 5. 重複
  5.1 形態的違い 完全重複と部分重複
   5.1.1 完全重複/5.1.2 部分重複/5.1.3 弱変化語尾を伴う語
   の重複/5.1.4 重複によってのみ使われる語
  5.2 重複による意味の変化
   5.2.1 緩和/5.2.2 強化/5.2.3 概数表現/5.2.4 意味変化
   のない重複/5.2.5 元の語から新たな意味を持つ語が形成される
   場合
 6. 複合
  6.1 並置
  6.2 弱変化語尾を伴う語の複合
  6.3 所有を表す連結辞(genitive linker) -n- を挟む複合語
 7. 名詞化
  7.1 名詞化接頭辞 mp- (動作主名詞を作る)
  7.2 名詞化接頭辞 f-
  7.3 名詞化接頭辞 ki-
  7.4 名詞化接頭辞 ha-
  7.5 形態変化がなく名詞としても使われる語
 8. 擬音語・擬態語

第3章 品詞の分類
 1. 品詞の分類
 2. 名詞
  2.1 名詞の複数を示す標識
  2.2 名詞の性 生物学的性の表し方
  2.3 固有名詞
   2.3.1 場所を表す名詞/2.3.2 人名と人につく小詞/2.3.3 抽
   象名詞/2.3.4 動作主名詞
  2.4 名詞の使われ方
   2.4.1 名詞の述語的用法/2.4.2 修飾的用法
 3. 形容詞的動詞
  3.1 形容詞的動詞の種別
   3.1.1 語根による形容詞的動詞/3.1.2 ma- 形容詞的動詞
  3.2 形容詞的動詞の使い方
   3.2.1 形容詞的動詞の述語的用法/3.2.2 形容詞的動詞の修飾
   的用法
  3.3 形容詞的動詞の比較級・最上級の有無
   3.3.1 naho を用いた比較表現/3.3.2 最上級を表す場合
 4. 動詞
  4.1 動詞の語形成
   4.1.1 語根動詞/4.1.2 拘束語根が派生した動詞/4.1.3 1つ
   の語からできる新たな語
  4.2 動詞の3つの型
   4.2.1 Ⅰ型動詞と接頭辞 maN- と mi- /4.2.2 接頭辞 maN-
   と mi- の使い分け/4.2.3 Ⅰ型動詞につくそのほかの接頭辞
  4.3 Ⅱ型動詞
  4.4 Ⅲ型動詞
  4.5 Ⅰ型動詞とⅡ型動詞の違い
  4.6 話題の中心
 5. 副詞
  5.1 状態や程度を表す副詞
  5.2 時間を表す副詞
  5.3 空間・場所を表す副詞
  5.4 疑問を表す副詞
 6. 代名詞
  6.1 人称代名詞
   6.1.1 所有を表す人称代名詞/6.1.2 主語を表す人称代名
   詞/6.1.3 目的語を表す人称代名詞/6.1.4 呼格を表す人称
   代名詞
  6.2 指示代名詞
 7. 限定詞
  7.1 独立型限定詞の用法
   7.1.1 独立型限定詞 ty /7.1.2 独立型限定詞i
  7.2 璃切型限定詞
 8. 接続詞
 9. 小詞

第4章 時制・アスペクト・法
 1. 時制
  1.1 動詞の時制
  1.2 述語として用いられる名詞の時制
  1.3 形容詞的動詞の時制
  1.4 場所を表す指示詞・小詞 amy の時制
 2. アスペクト
  2.1 完了
  2.2 未完了
  2.3 近過去
  2.4 そのほかのアスペクトに関わる表現
 3. 法(モード)
  3.1 命令法
   3.1.1 Ⅰ型動詞の命令形の語形成/3.1.2 Ⅱ型動詞の語形
   成/3.1.3 Ⅲ型動詞の命令形の語形成
 4. その他の法に関わる表現

第5章 極性
 1. 名詞
  1.1 名詞文の否定
  1.2 修飾語としての名詞の否定
 2. 形容詞的動詞
  2.1 形容詞的動詞の否定
  2.2 修飾語としての形容詞的動詞の否定
 3. 動詞
  3.1 動詞文の否定
  3.2 修飾語としての動詞の否定
 4. そのほかの否定表現
 5. 肯定・否定文の答え方

第6 章 数詞
 1. 基数詞
 2. 序数詞
 3. 反復数詞
 4. 量詞
 5. 四則演算
 6. その他の数を表す表現
 7. 数え歌

第7章 無文字社会の「時」
 1. 無文字社会の「時」を表す表現
  1.1 タンルイ社会の「時計」
  1.2 時計に依存しない1日24時間の表現方法
  1.3 時間表現の使われ方
 2. 曜日、月、季節の表現
  2.1 曜日
  2.2 月を表す表現
   2.2.1 農耕サイクルと月を表す表現/2.2.2 方位と月を表す表
   現/2.2.3 方位と伝統/2.2.4 誕生月に対応する伝統的な男女
   の名前
 3. 季節を表す表現

第8章 敬語
 1. タンルイ族にとって重要な敬語表現の存在
 2. タンルイ語の敬語とオーストロネシア諸語の敬語
 3. 敬語の語彙の分類
  3.1 身体部位を表す語彙の普通語と敬語の例
  3.2 衣食住を表す語彙の普通語と敬語の例
  3.3 生死に関わる語彙の普通語と敬語の例
 4. タンルイ社会での実際の敬語の使われ方

第9章 タンルイ社会に特有の文化語彙とその使われ方
 1. タンルイ社会特有の文化語彙とは
 2. タンルイ社会に特徴的な数
 3. 色彩語彙
 4. 親族名称
 5. 動物の語彙と表現・諺
 6. 植物の語彙と表現・諺
 7. 虫
 8. 生活に欠かせないものとそれに関わる豊富な語彙
  8.1 牛を表す語彙
  8.2 牛を識別する色や模様
 9. 罪を犯した人を警察へ連れていく者は家族ではない


おわりに


参考文献
付録1 動詞の変化表
付録2 タンルイ語例文集(和訳-英訳)
付録3 タンルイ族の民話(和訳-英訳)
付録4 タンルイ語辞書-英語辞書


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