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 感覚の共有を通しての学びへわざ言語

わざ言語 感覚の共有を通しての学びへ

生田久美子:編著, 北村勝朗:編著
A5判 400ページ 上製
定価:3,500円+税
ISBN978-4-7664-1804-0 C3011
奥付の初版発行年月:2011年03月 / 発売日:2011年03月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

「わざ」の伝承を支える「ことば」に迫る。
▼学習者が指導者から学ぶべきものとは何か? それはどのような言葉で促されるのか? という問題に焦点をあて、学習者の認知プロセスを明らかにする。
▼歌舞伎俳優 五代目 中村時蔵、創作和太鼓作曲家・指導者佐藤三昭、北京オリンピック陸上競技メダリスト朝原宣治など、古典芸能、スポーツなどの第一線で活躍する指導者や実践者のインタビューを通じて、それぞれの現場で「わざ言語」が作用する構造を解明していく。

著者プロフィール

生田久美子(イクタ クミコ)

1947年東京生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科教育学専攻後期博士課程単位取得退学。修士(教育学)。現在、東北大学大学院教育学研究科教授。専門は、教育哲学、認知教育学。主要業績に 『「わざ」から知る』 (東京大学出版会、1987年/新装版2007年)、“What are the Implications of the Teaching and Learning Method of Traditional Japanese Artistic Performances?” ‘Kampf oder Dialog der Kulturen?’, Bildung und Erziehung (53). Jg.Heft4/Dezember, 2000、「民俗芸能を学ぶ子どもたち――二つの神楽の伝承事例を通して」 (佐藤学・今井康雄(編) 『子どもたちの想像力を育む――アート教育の思想と実践』 (東京大学出版会、2003年)、「〈再考〉教育における「技能」概念――傾向性(disposition)としての「わざ」概念に注目して」 (『「教育」を問う教育学』 慶應義塾大学出版会、2006年)、(監訳・解説) 『スクールホーム――〈ケア〉する学校』 (J・R・マーティン著、東京大学出版会、2007年)などがある。

北村勝朗(キタムラ カツロウ)

1961 年長野県生まれ。東北大学大学院教育学研究科教育学専攻博士課程前期修了。博士(教育学)。現在、東北大学大学院教育情報学研究部教授。専門は、教授学習心理学,スポーツ心理学。主要業績に、(分担執筆) 『理科大好き!の子どもを育てる――心理学・脳科学者からの提言』 (無藤隆編、北大路書房、2008 年)、「優れた指導者はいかにして選手とチームのパフォーマンスを高めるのか? 質的分析によるエキスパート高等学校サッカー指導者のコーチング・メンタルモデルの構築」 (『スポーツ心理学研究』 32(1)、2005年) (スポーツ心理学会 学会賞:最優秀論文賞、2006年、Top-quality research from non-native English speaking countries: Association for Applied Sport Psychology, 2009)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

(※初版刊行時に掲載されていたもの)
【編著者】
生田久美子(いくた くみこ)
1947年東京生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科教育学専攻後期博士課程単位取得退学。修士(教育学)。現在、東北大学大学院教育学研究科教授。専門は、教育哲学、認知教育学。

北村勝朗(きたむら かつろう)
1961 年長野県生まれ。東北大学大学院教育学研究科教育学専攻博士課程前期修了。博士(教育学)。現在、東北大学大学院教育情報学研究部教授。専門は、教授学習心理学,スポーツ心理学。

【執筆者】
永山貴洋(ながやま たかひろ)
1979 年福島県生まれ。東北大学大学院教育情報学教育部博士課程修了。博士(教育情報学)。現在、東北大学大学院教育情報学研究部博士研究員。専門は、スポーツ心理学。主要業績に 『スポーツ領域における身体知習得に関する質的研究』 (博士学位論文) 2007年、(共著) 「暗黙知習得過程における学習者の知的協力に対する教育情報の作用の質的分析――器械体操選手の動作のコツ習得過程を対象として」 (『教育情報学研究』 8、2009年)、(共著)「動作のコツ習得過程における身体知の働きの質的分析――高等学校女子バスケットボール選手を対象として」 (『教育情報学研究』 9、2010年)などがある。

川口陽徳(かわぐち ようとく)
1979 年奈良県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程在籍中。修士(教育学)。専門は、教育哲学、教育人間学。主要業績に(共著) 『日本の「わざ」をデジタルで伝える』 (大修館書店、2007年)、「漢方医道の継承――浅田宗伯の知識観と師弟関係」 (『東京大学大学院教育学研究科紀要』 第45巻、2006 年)、「『言葉にできない知』を伝えること――『わざ』の世界から学ぶ」 (『幼児の教育』 第108巻、日本幼稚園協会、2009年)、「『文字知』の陥穽―― 宮大工の継承における書物」 (「人間形成における『超越性』の問題」、京都大学GCOE <心が活きる教育のための国際的拠点> 研究開発コロキアム論文集、 2010年)などがある。

前川幸子(まえかわ ゆきこ)
1960年兵庫県生まれ。横浜国立大学大学院教育学研究科学校教育専攻修士課程修了。修士(教育学)。現在、甲南女子大学看護リハビリテーション学部看護学科教授。専門は、看護学。主要業績に 「看護臨床からのまなざし――臨床的 に看護を学ぶということ」 (『他者に臨む知』世織書房、2004年)、「他者と出会うということ――看護学生の臨床経験を通して」 (『ホリスティック・ケア――新たなつながりの中の看護・福祉・教育』 せせらぎ書房、2009年)、「グローバル社会と若者の傷つきやすさ――看護学生の経験が生成される臨床の場から見えてきたこと」 (『子ども・若者の自己形成空間』 川島書店、2011年出版予定)などがある。

原田千鶴(はらだ ちづる)
1959 年大分県生まれ。日本赤十字看護大学大学院看護学専攻修士課程修了。修士(看護学)。現在、大分大学医学部看護学科教授。専門は、看護学。主要業績に “The effect of 10-degree leg elevation and 30-degree head elevation on body displacement and sacral interface pressures over a 2-hour period.” (2002) Journal of Wound Ostomy Continence Nursing, 29(3)、「ヒト上肢の皮静脈と皮神経の位置的関係の形態学的研究」 (『日本看護技術学会誌』 8(2)、2009年)などがある。

佐伯 胖(さえき ゆたか)
1939 年岐阜県生まれ。ワシントン大学大学院学芸学科心理学専攻博士課程修了。Ph.D.(心理学)。現在、青山学院大学社会情報学部教授。専門は、認知科学。 主要業績に 『「きめ方」の論理――社会的決定理論への招待』 (東京大学出版会、1980年)、『「わかる」ということの意味(子どもと教育)』 岩波書店、 1983年)、『幼児教育へのいざない――円熟した保育者になるために』 (東京大学出版会、2001年)、『「わかり方」の探求 思索と行動の原点』 (小学館、2004年)などがある。

目次

 はじめに――「わざ言語」と「学び」  生田久美子

第一部 「わざ言語」の理論
 第一章 「わざ」の伝承は何を目指すのか
 ――TaskかAchievement か  生田久美子
  はじめに
  1 「わざ」とは何か
  2 「傾向性(disposition)」としての「わざ」
  3 「わざ」のTask とAchievement とは何か
  4 様々な世界での「わざ」の伝承が目指すもの
  5 もう一つの「学び」――感覚の共有を通しての「学び」へ
  おわりに――教育における「わざ言語」の役割

 第二章 塾達化の視点から捉える「わざ言語」の作用
 ――フロー体験に至る感覚の共有を通した学び  北村勝朗
  はじめに
  1 スキルの獲得と「わざ」の習得
  2 熟達化から捉える「わざ言語」
  3 フロー体験から捉える「わざ言語」
  結語

 第三章 スポーツ領域における暗黙知習得過程に対する「わざ言語」の
     有効性
 ――動作のコツ習得過程において「わざ言語」はどのように作用してい
   るのか  永山貴洋
  1 スポーツ領域における暗黙知と指導言語
  2 スポーツ領域における暗黙知の学習過程
    ――エキスパート選手は動作のコツをいかにして習得し、指導し
      ているのか
  3 スポーツ領域における暗黙知学習に対する「わざ言語」の作用
  4 まとめと今後の課題

 第四章 「文字知」と「わざ言語」
 ――「言葉にできない知」を伝える世界の言葉  川口陽徳
  はじめに
  1 「文字知」の陥穽――「わざ」と「言葉」の困難な関係
  2 言葉の可能性――陥穽を避ける様々な工夫
  まとめにかえて――「文字知」の陥穽を避ける「わざ言語」の役割

 第五章 「わざ言語」が促す看護実践の感覚的世界  前川幸子
  はじめに
  1 看護における「わざ」
  2 看護の「わざ」に見る相互主観的世界と〈私離れ〉
  3 「わざ言語」に導かれる看護実践
  4 看護学生に留まる「うずく傷」
  5 看護の「わざ」を教える・学ぶ
  6 非言語的な「わざ」言語
  おわりに

 第六章 看護領域における「わざ言語」が機能する「感覚の共有」の実
     際  原田千鶴
  はじめに
  1 「わざ言語」に導かれる「感覚の共有」
  2 価値を共有する学び
  3 仲間と学び合う
  4 異質の共同体との出会いにおける看護の再発見
  おわりに

 第七章 人が「わざキン」に感染するとき  佐伯 胖
  1 「風邪ひかせのヤブ医者」物語
  2 「わざ」は「わざキン」病の症状か
  3 わざの「感染場」――「わざ」が生起し伝承される場
  4 「わざ言語」とは何か――「わざキン」世界の「わかり合い」

第二部 「わざ言語」の実践
 第一章 「歌舞伎」の「わざ」の継承と学び
 ――「役になりきる」ことに向って  五代目 中村時蔵(聞き手 生
   田久美子)
  1 自らの「学び」を振り返って
  2 「役になりきる」ということ
  3 「書かない」ことを通しての「教える」と「学び」
  4 台本と「書抜き」
  5 国立劇場の養成課での「教え」と「学び」

 第二章 しむける言葉・入り込む言葉・誘い出す言葉
 ――創作和太鼓の指導実践から  佐藤三昭(聞き手 川口陽徳)
  1 創作和太鼓と作曲――小説や詩を書くように曲を作る
  2 「太鼓の技術の指導」と「曲のイメージの共有」――イメージが
    できると音が変わる
  3 思考にしむける「謎」――師匠のイメージに弟子が自ら至るよう
    に
  4 和太鼓奏者としての日常生活――日々の過ごし方が演奏に影響す
    る
  5 「基礎的な仕方」から「演奏表現の技術」へ
    ――「へそを真下に落とすように」、「ぬかるんだ道を歩くよう
       に」
  6 二つの言葉――弟子の感覚に入り込む言葉、未知の感覚に誘い出
    す言葉
  7 言葉の選択、使わない言葉――「腕を伸ばしなさい」ではなく
   「天井から吊るされている」
  8 マニュアル化の限界――「演奏表現」はテキストで伝えることは
    できない

 第三章 感覚との対話を通した「わざ」の習得
 ――感覚人間としての陸上体験  朝原宣治(聞き手 北村勝朗)
  1 陸上競技との出会い
  2 感覚との出会い
  3 北京オリンピックでの感覚体験
  4 感覚に基づく指導法

 第四章 スピードスケート指導者が選手とつくりあげる「わざ」世界
 ――積み上げ、潜入し、共有する  結城匡啓(聞き手 永山貴洋)
  1 速く滑るための感覚を自分で追い求めた選手時代
  2 指導の前提には選手との積み上げがある
  3 選手の中に潜り込む
  4 頭の中のスケーターはどんどん速くなっていく
  5 形ではなく、運動の質を感じる
  6 いろいろな運動経験が感覚を鋭敏にする
  7 四つの自己観察を通して感覚を共有する

 第五章 「生命誕生の場」における感覚の共有  村上明美(聞き手 
     原田千鶴)
  1 「産もうとする力」、「生まれようとする力」を促す
  2 「仲間」としての迎え入れ
  3 説明できない「わざ」の世界への参入
  4 熟練助産師の「わざ」に「惚れる」
  5 「産む―生まれる」という日常の営みを助ける
  6 「産む―生まれる」場の一体感
  7 生命の導きにおける「美しさ」へのこだわり

  あとがき
  索引


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