大学出版部協会

 

日本の東アジア構想

現代東アジアと日本1
日本の東アジア構想

A5判 300ページ 上製
定価:3,400円+税
ISBN978-4-7664-1041-9(4-7664-1041-6) C3331
奥付の初版発行年月:2004年02月

内容紹介

現在と未来の「日本外交」に軸をおいた国際政治分析である本シリーズ全般の特色を明らかにする第1巻です。
構成は、第1部「ソフトパワーと文化」、第2部「政治経済」、第3部「外交安全保障」、第4部「日本外交の国内基盤」で、知的所有権、通貨外交、東アジア安全保障システム、日本の政−軍関係、外交と歴史問題、といった重要な論点が目白押しです。


執筆者紹介
(目次順)

添谷芳秀(そえや よしひで)
慶應義塾大学法学部教授。経済産業研究所ファカルティーフェロー。
1955年生まれ。米国ミシガン大学Ph.D.(国際政治学)。
主要著作に、『日本外交と中国 1945—1972』(慶應義塾大学出版会、1995年)、Japan's Economic Diplomacy with China, 1945-1978 (Oxford: Oxford University Press, 1998)、『21世紀国際政治の展望』(編)(慶應義塾大学出版会、1999年)など。

田所昌幸(たどころ まさゆき)
慶應義塾大学法学部教授。
1956年生まれ。京都大学大学院法学研究科中退。
主要著作に、『アメリカを超えたドル』(中央公論新社、2001年)、『外国人特派員』(共著)(日本放送出版協会、1998年)、『国連財政』(有斐閣、1996年)など。

白石隆(しらいし たかし)
京都大学東南アジア研究センター教授。
1950年生まれ。コーネル大学Ph.D.(1986年)。
主要著作に、An Age in Motion: Popular Radicalism in Java, 1912-1926 (Ithaca: Cornell University Press, 1990)、『スカルノとスハルト』(岩波書店、1997年)、『海の帝国、アジアをどう考えるか』(中公新
書、2000年)など。

岸本周平(きしもと しゅうへい)
経済産業研究所コンサルティングフェロー、財務省理財局国庫課長。
1956年生まれ。東京大学法学部卒。
『日本の政治経済とアジア諸国』(共著)(国際日本文化研究センター、2003年)、『アジア政治経済論』(共著)(NTT出版、2001年)、『中年英語組』(集英社、2000年)など。


和田純(わだ じゅん)
神田外語大学外国語学部教授・異文化コミュニケーション研究所所長。
1949年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科(経済学修士)。
主要著作に、『日本・アメリカ・中国』(TBSブリタニカ、1997年)、『「官」から「民」へのパワーシフト』(TBSブリタニカ、1998年)、『21世紀日本の構想』(講談社、2000
年)、『楠田實日記』(中央公論新社、2001年)など(共編著を含む)。

宗像直子(むなかた なおこ)
経済産業研究所上席研究員、米国ジョージワシントン大学シグールアジア研究所客員研究員。
1962年生まれ。ハーバード大学ビジネススクールMBAプログラム修了。
主要著作に、『日中関係の転機—東アジア経済統合への挑戦』(編著)(東洋経済新報社、2001年)、「東アジア経済統合へ日本は覚悟を固めよ」『論座』2002年8月号、“Evolution of Japan's Policy Toward Economic Integration", 2001 CNAPS Working Paper, December 2001など。

草野厚(くさの あつし)
慶應義塾大学総合政策学部教授。
1947年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。
主要著作に、『癒しの楽器 パイプオルガンと政治』(文春新書、2003年)、『官僚組織の
病理学』(ちくま新書、2001年)、『テレビ報道の正しい見方』(PHP新書、2000年)、『ODA の正しいみかた』(ちくま書房、1997年)、『政策過程分析入門』(東京大学出版会、1997年)など。

渡辺昭夫(わたなべ あきお)
財団法人平和安全保障研究所理事長
1932年生まれ。オーストラリア国立大学博士課程修了。
主要著作に、『戦後日本の政治と外交—沖縄問題をめぐる政治過程』(福村出版、1970年)、『アジア太平洋の国際関係と日本』(東京大学出版会、1992年)、『戦後日本の宰相たち』(中央公論新社、2001年)など。

星野俊也(ほしの としや)
大阪大学大学院国際公共政策研究科教授。
1959年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。国際公共政策学博士号(2003年大阪大学)。
主要著作に、『グローバル・ガヴァナンス?政府なき秩序の模索』(共著)(東京大学出版会、2001年)、『人道危機と国際介入—平和回復の処方箋』(共著)(有信堂、2003年)、『アジア太平洋の多国間安全保障』(共著)(日本国際問題研究所、2003年)など。

中西寛(なかにし ひろし)
京都大学大学院法学研究科教授。
1962年生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。
主要著作に、『国際政治とは何か?地球社会における人間と秩序』(中公新書、2003年)、「自立的協調の模索」五百旗頭真編『戦後日本外交史』(有斐閣、1999年)、「国際政治における軍事力—猛獣は飼いならせるのか」『外交フォーラム』2003年9月号など。

彦谷貴子(ひこたに たかこ)
防衛大学校公共政策学科専任講師。
1967年生まれ。コロンビア大学大学院政治学部博士課程修了。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。
主要著作に、「Mobile Firms and Immobile States: Reexamining the assumptions in Competition in Laxity」『防衛大学校紀要』第85号、2002年秋季号、『防衛庁・自衛隊
の政策形成過程』(共著)(中央大学出版会、2002年)、『レーガン税制の再評価?アメリカ税制改革の教訓』(日本評論社、2000年)など。

波多野澄雄(はたの すみお)
筑波大学社会科学系教授。
1947年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。
主要著作に、『太平洋戦争とアジア外交』(東京大学出版会、1996年)、『日英交流史 1600—2000年』第3巻(共編著)(東京大学出版会、2003年)、『池田・佐藤政権期の日本外交』(ミネルヴァ書房、2004年)など。







目次

目 次


総 論—添谷芳秀・田所昌幸

第1部 ソフトパワーと文化

第1章 東アジア地域形成と「共通文化圏」—白石 隆 
はじめに 
一 中産階級の成立
1 タイ
2 マレーシア
3 インドネシア
4 フィリピン
二 「アメリカ化」「日本化」「中国化」
三 東アジア「共通文化圏」の成立


第2章 ブロードバンド時代の知的所有権をめぐる日本のアジア政策
 —岸本周平
一 ブロードバンド・インターネットの衝撃 
1 キラーコンテンツの不在 
2 韓国のブロードバンド事情 
3 e-Japan重点計画
4 デジタルコンテンツ産業のアジア進出
5 不正コピー(Digital piracy)の防止
6 インターネット上の著作権侵害に対する国際裁判管轄と準拠法
二 著作権に関する条約とアジア諸国の対応
1 著作権に関する条約
2 著作隣接権に関する条約
3 TRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)
 (1) TRIPS協定の内容
 (2) 背景としての国際政治の動向  
4 WIPO(世界知的所有権機関) 
 (1) WIPO(世界知的所有権機関)とは 
 (2) WIPO著作権条約 
 (3) WIPO実演・レコード条約 
5 アジア諸国の状況 
三 アジアの海賊版とその対応策 
1 海外市場への展開と海賊版の実態 
2 海賊版への対応
 (1) アジア諸国への国際協力
 (2) 日本・中国・韓国の連携 
 (3) コンテンツ海外流通促進機構
3 海賊版の功罪 
四 国家の広報戦略と巨大メディア 
1 巨大メディアと垂直統合
2 AOLタイムワーナー(AOL TW)の合併
3 AOL TWのブロードバンド戦略とその挫折
4 メディア・コングロマリットの今後
5 国家の統合的広報戦略


第3章 東アジアにおける日本の国際文化交流と文化外交
 —戦後日本の政府機関の活動と課題 —和田 純
はじめに 
一 1980年代後半までの国際文化交流の展開 
1 1951—72年:国際社会への復帰から国際文化交流の開始へ 
 (1) 国際社会への復帰と情報文化局の設置 
 (2) 国際的プレゼンスの増大と外務省文化事業部の新設 
 (3) 一方的な「日本文化の海外紹介」と欧米偏重 
2 1972—86年:国際交流基金の創設と国際文化交流の本格化 
 (1) 国際交流基金の創設と東南アジア志向 
 (2) アジアの重視と中国の登場 
 (3) ODAの投入と国際化ブーム 
 (4) 日本のジレンマ:歴史認識をめぐる軋轢 
二 1987—92年:国際文化交流の転換と強化 
1 世界貢献を目指す国際文化交流 
 (1) 文化外交の本格化:竹下首相の「国際協力構想」 
 (2) 「国際文化交流に関する懇談会」の設置  
 (3) 国際文化交流の本格的拡大 
2 「文化協力」と「域内交流支援」の芽生え
 (1) 東南アジア大型文化ミッションと国際交流基金アセアン文化センターの設立 
 (2) 「第3国間交流」の開始
3 パートナーシップによるグローバルな役割の志向へ 
 (1) 日米センターの誕生と域内協働の志向 
 (2) 新たな「知的交流」の登場 
三 1992—96年:「アジア太平洋コミュニティ」の志向と静かな胎動 
1 「アジア・太平洋」の志向とアクターの多様化・重層化 
 (1) 第2次「国際文化交流に関する懇談会」の設置 
 (2) 地域交流と民間交流活動の伸張 
2 歴史をめぐる軋轢と「和解」の試み  
 (1) 日韓交流の実態的な拡大と軋轢  
 (2) 日中交流の停滞と変化の兆し 
 (3) 「東アジアとの和解」の試み:平和友好交流計画 
3 東アジアを軸とする知的交流の本格化と域内交流の活発化 
 (1) 「アジア太平洋」と「アジアと欧州」:APAPとCAEC 
 (2) 「アジア域内」:国際交流基金アジアセンターの設置 
 (3) 多国籍文化ミッション  
四 1997年以降:「東アジア・コミュニティ」の志向 
1 「東アジア」の熟成と「和解」への一歩 
 (1) 「ASEAN+3」から「東アジア」へ:知的・人的交流の重視 
 (2) 「和解」への一歩:21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ 
2 未来志向の努力 
 (1) 日韓関係の劇的転換:「2002年日韓国民交流年」 
 (2) 漂泊する日中関係:「2002年『日本年』『中国年』」 
 (3) 国民交流の試行:「2002年日中韓国民交流年」と「日本ASEAN交流年2003」  

五 戦後日本の国際文化交流の潮流と今後の課題 
1 戦後日本の国際文化交流の基本的潮流 
2 今後の課題 
おわりに 


第2部 政治経済

第4章 アジアにおける地域通貨協力の展開 —田所昌幸  
はじめに 
一 地域通貨協力の展開 
1 アジア通貨危機の衝撃 
2 地域協力の萌芽と挫折 
3 地域協力の制度化へ向けて 
二 地域通貨協力の力学 
1 地域経済の相互依存の深化 
2 グローバリゼーションへの地域的反応
3 地域主義の相互作用 
4 日本の通貨外交の変動 
三 意義と展望 日本の東アジア外交にとっての意義 
1 困難な前途 
2 持続的な接触の帰結 
3 台頭する中国にとっての地域主義 
おわりに 


第5章 日本のFTA戦略 —宗像直子
はじめに
一 日本のアジア政策の推移
1 80年代前半まで
 (1) GATT/WTOへの依存と地域統合への批判的態度
 (2) アジアの地域的枠組みへの関心の低さ
2 80年代後半からAPEC草創期(1985?92年)
 (1) 事実上の経済統合の推進力 
 (2) APECの創設とFTA拡大の抑止 
 (3) EAECをめぐる優柔不断
 (4) ASEAN重視 
3 APECの優位確立から求心力低下(1993?97年)
 (1) 貿易自由化の無差別性・自発性の確保 
 (2) 同床異夢の破綻
 (3) APECの教訓と貢献 
4 東アジア協力とFTAの開始(1998?2000年)
 (1) 「ASEANプラス3」
 (2) 二国間FTA 
 (3) 政策を転換した日本の考え方
5 中国の台頭とアメリカの回帰(2001年〜)
 (1) 中国の政策転換 
 (2) アメリカの回帰 
 (3) 日本のFTAへの取組み 
二 日本の経済再生とアジア統合
1 アジアの成長機会への参画と国内構造改革
2 改革の手段としてのFTA
 (1) 関税撤廃
 (2) 規制改革
3 次善の策としての積み上げ方式
4 豊かな域内市場の形成
三 東アジアの地域秩序との関係
1 競争的、重層的展開
2 日本として目指すべきもの
 (1) 東アジアのFTA
 (2) 東アジアの外延
 (3) アメリカと東アジア
おわりに


第6章 冷戦後日本のODA戦略 —草野 厚
はじめに
一 ODAを取り巻く冷戦後の国際社会
1 四つの予測
2 予想を超えた激しい変化
3 国連の役割の変化
4 援助の世界への影響
5 援助国間の複雑な思惑
6 深刻さ増す貧困状況
二 冷戦後の日本のODA
1 考察のポイント
2 量的増加から減少へ
3 量的増加に転じたアメリカ
4 国際的合意と日本
5 地球規模問題と日本
6 アジア重視は変わったのか
7 紛争予防と平和構築
8 ODA大綱や中期目標との関係
おわりに


第3部 外交安全保障

第7章 東アジア安全保障システムのなかの日本 —添谷芳秀
はじめに
一 冷戦後の勢力均衡
1 米中対立の虚と実
 (1) 冷戦の終焉と中国の台頭
 (2) 台湾危機と米中関係の修復
2 日米同盟と中国
 (1) 冷戦終焉への日本の対応
 (2) 日米安保共同宣言と新ガイドライン
 (3) 中国の反発と戦略転換
二 協調的安全保障の試み
1 ASEANによるイニシアティブ
 (1) 協調的安全保障の機運と日本の関与
 (2) ASEAN地域フォーラム
2 新たな地域秩序への展望
 (1) 「アセアン+3」と中国の地域主義
 (2) 東アジア共同体の可能性
三 「9.11テロ」後の安全保障
1 ブッシュ政権下の米中関係
 (1) 戦略的共存
 (2) 台湾問題
2 北朝鮮問題
 (1) ブッシュ政権の北朝鮮政策
 (2) 日朝国交正常化
 (3) 北朝鮮の対米回帰と多国間交渉
おわりに—日本外交の展望


第8章 日米同盟の今日的意義
 —9.11以後の東アジアの安全保障環境の中で考える —渡辺昭夫
はじめに
一 9.11事件の直接的な影響
二 アメリカと中国の戦略的関係変動のパタン
三 日本と中国—アメリカとの関係において
四 結論—若干の将来展望 


第9章 日本の多国間外交 —星野俊也
はじめに
一 多国間主義とは何か
二 グローバルな多国間主義と日本
三 東アジア・太平洋地域における日本の多国間外交
おわりに


第4部 日本外交の国内基盤

第10章 冷戦終焉後の日本の変容
—内政と地域外交 —中西 寛

序論
一 55年体制の終焉と世界新秩序への対応
二 「開かれた地域主義」と非自民政権
三 自社連立政権と危機意識の浮上
四 経世会の復権と新しい枠組みの模索
五 危機突破型の政治指導
おわりに

第11章 冷戦後日本の政軍関係 —彦谷貴子
はじめに 
一 政軍関係と政軍関係論
1 政軍関係の「基本的命題」とは何か—「2つの安全」の考え方
2 民主主義とシビリアンコントロール
3 シビリアンコントロールの手段
4 政軍関係研究の2つの潮流—ハンティントンとジャノウィッツ
二 冷戦の終了と政軍関係
1 政軍関係研究の「再興」
2 新しい政軍関係上の問題—軍隊と政治の関係
 (1) 非従来型任務と軍隊
 (2) 犠牲者の問題
 (3) 軍の外交的役割
3 新しい政軍関係上の問題—軍隊と社会の関係
 (1) 文民と軍人のギャップに関する研究
 (2) 「ポストモダン」軍隊と社会
三 冷戦期日本の政軍関係—特色とその理由
1 日本の政軍関係の特徴
2 自衛隊と政治の関係—「委任的」コントロールの起源としくみ
 (1) 日本のシビリアンコントロールの制度的枠組み
 (2) 「文官優位」の起源と特徴
 (3) なぜ「文官統制」が続いたか—冷戦構造と自民党の一党優位
 (4) 政治からのコントロールは本当になかったのか?—「委任的」コントロー
ルの視点
四 冷戦後日本の政軍関係
1 1990年代の変化—「働く自衛隊化」3つの特徴
 (1) 第1期 国際貢献業務
 (2) 第2期 日米関係
 (3) 第3期 日本有事
2 「積極的」「直接的」コントロールへの転換
おわりに


第12章 「歴史和解」への道標 —波多野澄雄
はじめに
一 1980年代の「歴史問題」
1 教科書問題 
2 靖国神社参拝問題 
二 世紀転換期の「歴史問題」
三 迷走する「歴史認識」—「不戦決議」をめぐる攻防
四 「歴史和解戦略」を超えて—戦後補償問題の国際化
五 「歴史和解」のために


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