大学出版部協会

 

 可謬主義による政治理論リベラリズムの再生

リベラリズムの再生 可謬主義による政治理論

施光恒:著
A5判 360ページ 上製
定価:4,800円+税
ISBN978-4-7664-1002-0(4-7664-1002-5) C3031
奥付の初版発行年月:2003年08月

内容紹介

西洋思想の最重要思想のひとつである「リベラリズム」の歴史とそれに対する批判をふまえ、これからの社会に有効な「リベラリズム」を提示する若手研究者による意欲的なリベラリズム論です。
特に「東アジアからの批判」に応えつつ、西洋/東洋に対し文化横断的に適用可能な現代的理論を提示。
政治思想、政治理論の枠を越え、地域共同体、公教育制度、福祉などの制度論にも踏み込んで新しい枠組みを提言します。


施 光恒(せ てるひさ)
1971年福岡県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。英国シェフィールド大学大学院政治学研究科哲学修士(M.Phil.)課程修了。優等哲学修士(Master of Philosophy with Distinction)。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程修了。博士(法学)。
現在、九州大学大学院 比較社会文化研究院 助教授。
主要業績に、「可謬主義に基づく間接的帰結主義からの人権論?J・シェーマーの議論を手がかりとして?」『法学政治学論究』(第45号、2000年)、「人権理論と日本における人権教育?可謬主義に基づく間接的帰結主義の人権論の有効性?」『公民教育研究』(第10号、2002年)、ヤング「政治体と集団の差異?普遍的シティズンシップの理念に対する批判?」『思想』(訳、1996年9月号)、キムリッカ『現代政治理論』(共訳、日本経済評論社、2002年)など。

目次


はじめに 

序 章
本書の目的   
本書の構成   
本書の制約 


第一章 問題状況 -リベラリズムに対する今日の主要な批判-

 第一節 リベラリズムに対する諸批判
  第一項 欧米内部における批判
    1 コミュニタリアニズムからの批判 2 フェミニズムからの批判
  第二項 東アジアからの批判 
 第二節 リベラリズムの陣営からの一回答 「非哲学的」リベラリズム
  第一項 「非哲学的」リベラリズムの潮流-ロールズとグレイ-
  第二項 「非哲学的」リベラリズムの批判的検討 
 第三節 リベラリズムの新しい理論構築の際に求められる課題 


第二章 可謬主義的リベラリズムの伝統と哲学的基盤
 第一節 可謬主義的リベラリズムの伝統の所在 
  第一項 「反合理主義」およびJ・S・ミル 
  第二項 伝統に含まれる曖昧さ
 第二節 可謬主義的リベラリズムの哲学的基盤としてのW・W・バートリーの汎批判的合理主義 
  第一項 帰納の問題に対するヒュームとポパーの解決の相違-非正当化主義的解釈-
  第二項 非正当化主義の哲学としての汎批判的合理主義
  第三項 汎批判的合理主義の特徴
  第四項 汎批判的合理主義による可謬主義的リベラリズム論の伝統の洗練


第三章 可謬主義的リベラリズムにおける善き生の追求の形式理論

 第一節 リベラリズムの政治理論の満たすべき前提
  第一項 リベラリズムの規定
  第二項 リベラリズムの政治理論における善き生の理論の位置づけ
 第二節 可謬主義的リベラリズムにおける善き生の追求の形式理論
        -善き生の問題に対する汎批判的合理主義の適用-
  第一項 善き生の問題に関する正当化主義的思考の影響
  第二項 非正当化主義から導かれる善き生の追求の形式理論
    1 善き生の問題に対する汎批判的合理主義の適用
  2 汎批判的合理主義の下での善き生の追求の過程の特徴 
3 善き生の問題に関する政治哲学の役割の転換


第四章 善き生の追求の共通条件

 第一節 二つの条件
 第二節 外的条件-善き生の構想の批判的吟味の機会の保障-
  第一項 消極的保障の側面
  第二項 積極的保障の側面
 第三節 内的条件-自省的主体性の発達の条件-
  第一項 自己客体視の条件
    1 アダム・スミスの道徳理論の示唆 
2 G・H・ミードの社会的自我の理論-一般化さ
    れた他者の内面化-
 3 善き生の追求の共通条件としての一般化された他者の内面化
  第二項 認知的柔軟性の条件 
    1 認知スタイルの概念
  2 認知スタイルに関する諸研究 
3 認知的柔軟性とSelf-Esteem
    4 善き生の追求の共通条件としてのSelf-Esteem
 第四節 この章のまとめ
  

第五章 可謬主義的リベラリズムの政治制度
 第一節 市場機構
  第一項 市場か自由な審議のフォーラムか? 
    1 可謬主義的リベラリズムとハーバーマスの討議倫理学との相違 
    2 理想的政治制度像の相違
  第二項 「疎外」の概念に基づく市場批判に対する反批判
    1 疎外概念に基づく市場批判 
2 疎外概念に対するバートリーの批判
  第三項 善き生の構想の吟味の場としての市場
    1 職業と善き生の構想の吟味 2 消費と自己発見
  第四項 市場機構のうまく機能する条件
 第二節 人権制度
  第一項 従来の代表的人権論とその批判
    1 義務論的人権論 2 現代の契約論的人権論
  第二項 間接的帰結主義からの人権論構築の試み
    1 間接的帰結主義の概念と人間精神の可謬性 
    2 J・シェーマーの可謬主義に基づく間接的帰結主義からの人権論
  第三項 可謬主義的リベラリズムにおける人権論の構想
 第三節 家族、共同体、教育
  第一項 一般化された他者の態度の内面化を促す諸政策
    1 様々な規模の中間的共同体の必要性 2 教育のあり方
  第二項 高いSelf-Esteemの感覚の育成のための諸政策
    1 高いSelf-Esteemを形成する諸要因 
    2 高いSelf-Esteemの感覚の育成のための諸政策
  第三項 リベラルな国家における内的条件の整備
         -内的条件の整備とリベラリズムの中立性原則-
 第四節 民主主義制度
  第一項 民主主義制度の利点
  第二項 民主主義制度のうまく機能する条件
 第五節 この章のまとめ


第六章 リベラリズムをめぐる現代の論争と可謬主義的リベラリズム
 第一節 可謬主義的リベラリズム論における正義の優先性
 第二節 リベラリズムに対する諸批判への回答
  第一項 欧米内部における批判への回答
    1 コミュニタリアニズムからの批判への回答 
    2 フェミニズムからの批判への回答
  第二項 東アジアからの批判への回答
     -非欧米文化の一例としての日本文化との親和性を手がかりに−
    1 日本文化の特徴−相互依存的自我観と状況を重視する道徳観−
2 可謬主義的リベラリズムと日本文化との親和性
3 東アジアからの批判に対する回答
−可謬主義的リベラリズムの幅広い文化横断的受容可能性−

終章 まとめと残された課題


あとがき

参考文献表

索引


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。