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 小泉改革の歴史的前提郵政民営化の政治経済学

郵政民営化の政治経済学 小泉改革の歴史的前提

A5判 358ページ 上製
定価:5,400円+税
ISBN978-4-8158-0968-3 C3033
奥付の初版発行年月:2019年10月 / 発売日:2019年11月上旬

内容紹介

戦後日本の発展と軌を一にし、隠れた福祉・再分配機能をはたした郵便貯金が、その巨大化の過程で抱え込んだ問題の核心とは。金融財政史の展開から民営化論の虚実を捉え直し、熱狂と混迷を生み出した小泉改革の歴史的位置を、政治手法やイデオロギーをめぐる議論をこえて初めて描き出す。

前書きなど

日本の郵便制度は、1871年、駅逓権正であった前島密の建議による国営事業としての創設をその嚆矢とする。その後の長い歴史を経て、小泉純一郎内閣の下、2003年4月1日に日本郵政公社が発足、さらに2005年10月14日、「郵政民営化関連6法案」が可決・成立し、100%政府保有株式による民営化が決定した。同法により、2007年10月1日に日本郵政株式会社が発足し、郵便局は株式会社郵便事業会社と株式会社郵便局会社に分割され、郵便貯金は株式会社ゆうちょ銀行、簡易保険はかんぽ生命としてそれぞれ再出発することになった。郵政民営化は、小泉構造改革の本丸とされ、「小泉旋風」と称された自民党総裁選挙、参議院における法案否決、衆議院解散と熱狂を生み出したワン・イシューの総選挙にはそれぞれ「郵政」の名が冠され、国民に時代の変化を強烈に印象づけた。小泉改革によって、確かに日本の政治、経済、社会は大きく変わった。しかし、その熱狂の去った後、なぜ日本の郵政事業が改革されなければならなかったのか、なぜそれが構造改革の本丸、「一丁目一番地」であるとされたのかについて、問いを発する者はほとんどいない。郵便局は今も日常の中にあり、すでに「郵政」は民営化されたのだという錯覚さえ覚える。しかし、実情はそう簡単ではなかった。郵政民営化で約束された2017年までに日本郵政株式の3分の1弱の公開売却はなされず、ゆうちょ銀行、かんぽ生……

[「序章」冒頭より]

著者プロフィール

伊藤 真利子(イトウ マリコ)

1980年生まれ
2012年 青山学院大学総合文化政策学研究科博士課程修了
    青山学院大学総合文化政策学部助教、
    静岡英和学院大学人間社会学部准教授を経て
現 在 平成国際大学法学部准教授、博士(総合文化政策学)
論 文 「バブル経済下の郵便貯金――「90年ショック」をめぐって」
    (『郵政資料館 研究紀要』第3号、2014年、第8回日本FP学会賞審査員賞)
    「郵便貯金の民営化と金融市場――金融変革期における郵便貯金」
    (『青山社会科学紀要』第36巻第2号、2008年、第1回石橋湛山新人賞)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 郵政民営化と郵便貯金
1 郵政民営化――「問題」としての郵便貯金
2 郵便貯金の歴史――先行研究の整理
3 「民営化」とは何か――経済史からのアプローチ
4 本書の構成

第1章 「郵貯増強メカニズム」の誕生
 ――高度成長期の郵便貯金(1)――
1 高度成長期の郵便貯金
2 「郵貯増強メカニズム」の形成過程
3 財政投融資制度の再編と郵貯資金
4 小 括

第2章 郵便局政策の地域的展開
 ――高度成長期の郵便貯金(2)――
1 高度成長期の地域構造変化
2 神奈川県における郵便貯金の展開
3 郵便局政策の地域的展開
4 小 括

第3章 金融構造の変化と郵貯「大膨張」
 ――安定成長期の郵便貯金――
1 安定成長期の郵便貯金
2 金融構造の変化
3 郵貯「大膨張」の要因
4 小 括

第4章 金融自由化と「1990年ショック」
 ――バブル経済下の郵便貯金――
1 バブルの発生と崩壊
2 金利自由化と郵便貯金
3 郵便貯金の「1990年ショック」
4 均衡予算主義の終焉と国債流通市場の形成
5 小 括

第5章 国債問題の顕在化
 ――長期不況下における郵便貯金――
1 金融の不安定化
2 金融制度改革と銀行再編
3 国債問題と郵貯「2000年問題」
4 小 括

第6章 郵政民営化の政策決定過程
 ――小泉改革下の郵便貯金――
1 経済財政諮問会議と郵政改革
2 郵貯民営化論と小泉改革
3 郵政民営化のフレーム――政策課題と政策対応
4 小 括

第7章 郵政民営化の現在と巨大郵貯のゆくえ
1 ポスト小泉改革下の政策対応
2 ポスト小泉改革下の郵便貯金

終 章 郵政民営化とは何だったのか


参考文献
あとがき
初出一覧
図表一覧
索 引


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