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 ベルリンの壁崩壊から9.11まで真実が揺らぐ時

真実が揺らぐ時 ベルリンの壁崩壊から9.11まで

四六判 584ページ 上製
定価:5,500円+税
ISBN978-4-7664-2454-6 C3022
奥付の初版発行年月:2019年04月 / 発売日:2019年04月上旬

内容紹介

▼真実を追い求めよ
1989年の革命、9.11の犠牲、イラク戦争、深まる中東の危機、
そして、アメリカ共和国の没落――。

時代の変化に抗い、飽くことなく真実を追究した知識人、
トニー・ジャットの魂の軌跡。


トニー・ジャットは中央ヨーロッパのユダヤ系一族にルーツを持つ、
イギリス出身の歴史家であった。
奨学金少年(スカラーシップ・ボーイ)として、戦後福祉国家の恩恵を受けて育ったジャットは、
ヨーロッパ的な社会民主主義を徹底して擁護し、
反知性主義や反エリート主義の風潮に抗った知識人であった。
そう、ジャットは確かに知識人であった。
彼は歴史家として、歴史を書くだけではなく、
歴史に学び、得られた洞察と知恵をもって、現代世界に語りかけた。

1989年のさまざまな革命、9.11の犠牲、イラク戦争、深まる中東の危機、
そして、アメリカ共和国の没落――。現実が変化し事態が展開していくにつれて、
ジャットは、時代の潮流に逆らって進み、彼の知力のすべてをもって、
思想という船の向かう先を、異なる方向に向けるための戦いを繰り広げた。

本書は、飽くことなく事実と真実を追究した知識人、トニー・ジャットの
魂の軌跡である。

著者プロフィール

トニー・ジャット(トニー ジャット)

ロンドン生まれ。ケンブリッジのキングズ・カレッジ、パリの高等師範学校を卒業。オクスフォードのセント・アンズ・カレッジでフェローおよびチューターを務めた後、ニューヨーク大学教授に就任。1995年から、レマルク研究所長としてヨーロッパ研究を主導した。『ニューヨーク・レヴュー・オヴ・ブックス』誌その他に寄稿。2005年に刊行された『ヨーロッパ戦後史』(みすず書房、2008年)はピューリツァー賞の最終候補となるなど高く評価される。2007年度ハンナ・アーレント賞を受けた。2010年8月6日、ルー・ゲーリック病により死去。その生涯はティモシー・スナイダーとのインタビュー集『20世紀を考える』(河野真太郎訳、みすず書房、2015年)で語られている。

ジェニファー・ホーマンズ(ジェニファー ホーマンズ)

文化史家。ニューヨーク大学バレエ芸術センターの創立者ならびに所長。著書に『アポロの天使──バレエ史』(未邦訳)がある。『ニュー・リパブリック』誌や『ニューヨーク・レヴュー・オヴ・ブックス』誌などでバレエ批評などを執筆している。研究者となる前にはプロのバレエダンサーであり、パシフィック・ノースウェスト・バレエ団などでパフォーマンスを行っていた。

河野 真太郎(コウノ シンタロウ)

1974年生まれ。専修大学法学部教授。専門はイギリス文学・文化と批評理論。著書に『〈田舎と都会〉の系譜学──二〇世紀イギリスと「文化」の地図』(ミネルヴァ書房、2013年)、『戦う姫、働く少女』(堀之内出版、2017年)など。訳書にトニー・ジャット『失われた二〇世紀』(共訳、NTT出版、2011年)、トニー・ジャット、ティモシー・スナイダー『20世紀を考える』(みすず書房、2015年)など多数。

西 亮太(ニシ リョウタ)

1980年生まれ。中央大学法学部准教授。専門はポストコロニアル文学・批評。論文に「スピヴァク:ロウロウシャとは何だ」(共著、『労働と思想』、堀之内出版、2015年)、「何を差し出すか──デレク・ウォルコット「パントマイム」における役割交換の戦略」(『英語英米文学』、中央大学英米文学会、2016年)など。翻訳に、トマ・ピケティ、エマニュエル・サエズ「不平等の長期的趨勢」(『ニュクス』創刊号、2015年)、ヘザー・ブラウン「マルクスのジェンダーと家族論」(『ニュクス』第3号、2016年)など。

星野 真志(ホシノ マサシ)

1988年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科修士課程を経て、マンチェスター大学博士課程修了(PhD)。専門は1930・40年代イギリスの文化と政治(ジョージ・オーウェル、ドキュメンタリー運動など)。訳書に『革命の芸術家──C・L・R・ジェームズの肖像』(共訳、こぶし書房、2014年)、ナオミ・クライン『楽園をめぐる闘い』(堀之内出版、2019年)。

田尻 歩(タジリ アユム)

1988年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科博士課程在籍。専門は美学理論。論文に「理論と実践の間の写真──アラン・セクーラの写真理論再読」(『年報カルチュラル・スタディーズ』第6号、2018年)、「「存在の闘い」としての写真理論──中平卓馬の写真理論再読」(『言語社会』第13号、2019年)など。翻訳に、ピーター・ホルワード「自己決定と政治的意志」(『多様体』第1号、月曜社、2018年)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 誠実さをもって  ジェニファー・ホーマンズ

 I 一九八九年――私たちの時代
第1章 終わりなき下り坂
第2章 ヨーロッパ、大いなる幻想
第3章 重罪と軽罪
第4章 冷戦が機能した理由
第5章 自由と自由の国(フリードニア)

 II イスラエル、ホロコースト、ユダヤ人
第6章 どこにも辿り着かない道
第7章 イスラエル――代案
第8章 「イスラエル・ロビー」と陰謀論
第9章 戦後ヨーロッパにおける「悪の問題」
第10章 地に足の着いたフィクション
第11章 イスラエルは民族的神話を解体せねばならない
第12章 常套句(クリシェ)なきイスラエル
第13章 何をなすべきか?

 III 9.11と新世界秩序
第14章 『ペスト』について
第15章 みずからの最大の敵
第16章 私たちの現在の生き方
第17章 海外の反アメリカ派
第18章 新世界秩序
第19章 国連は命運尽きたのか?
第20章 私たちはいったい何を学んできたのか?

 IV 私たちの現在の生き方
第21章 鉄道の栄光
第22章 鉄道を取り戻せ!
第23章 革新という名の破壊の鉄球
第24章 社会民主主義の何が生き、何が死んだのか?
第25章 揺れる二つの世代 息子ダニエル・ジャットとの対話

 V 人はいずれみな死ぬ
第26章 フランソワ・フュレ(一九二七-九七年)
第27章 アモス・エロン(一九二六-二〇〇九年)
第28章 レシェク・コワコフスキ(一九二七-二〇〇九年)


原注
訳注
訳者あとがき
索引


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