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 戦後北海道における企業と地域日本石炭産業の衰退

日本石炭産業の衰退 戦後北海道における企業と地域

A5判 326ページ 上製
定価:4,800円+税
ISBN978-4-7664-1803-3 C3034
奥付の初版発行年月:2012年12月 / 発売日:2013年01月中旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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在庫あり

内容紹介

衰退は必然か?
▼慶應義塾が所蔵する「日本石炭産業関連資料コレクション(JCIC)」をはじめ豊富な一次資料を丹念に追いかけ、企業の経営・労務情報など内部資料から石炭産業の衰退過程を克明に浮き上がらせる第一級の研究。
▼北海道を舞台に、基幹産業から衰退産業へと急速に変容していく日本の石炭産業について、政府の経済・産業政策、地域振興政策、企業の経営戦略・労務対策、そして地元自治体・社会の対応など、多様な局面が複雑に絡み合う石炭問題の特徴を的確にとらえ、総合的な分析を展開する。
▼エネルギー政策の重大局面を迎える現在の日本において、石炭産業をみずからの意思で失った理由とその意味とを歴史的潮流のなかから問い直す。

著者プロフィール

杉山 伸也(スギヤマ シンヤ)

慶應義塾大学経済学部教授
1981年ロンドン大学大学院博士課程修了、Ph.D.、主要業績に『明治維新とイギリス商人』(岩波書店、1993年)、『日本経済史 近世-現代』(岩波書店、2012年)、『日英交流史』4(経済)(共編著、東京大学出版会、2001年)がある。

牛島 利明(ウシジマ トシアキ)

慶應義塾大学商学部教授
1993年慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学、主要業績に『日本経済史1600-2000』(共著、慶應義塾大学出版会、2009年)、「戦前期山梨県における鉄道輸送の発展と地域経済」廣田誠編『近代日本の交通と流通・市場』(清文堂出版、2011年)がある。

山口 明日香(ヤマグチ アスカ)

慶應義塾大学先導研究センター研究員
2011年慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程修了、博士(経済学)、主要業績に「戦前期日本の炭鉱業における坑木調達」『社会経済史学』73巻5号(2008年1月)、「戦前期日本の鉄道業における木材利用」『社会経済史学』76巻4号(2011年2月)がある。

石岡 克俊(イシオカ カツトシ)

慶應義塾大学産業研究所准教授
1998年慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学、主要業績に『著作物流通と独占禁止法』(慶應義塾大学出版会、2001年)、『コンメンタールNTT法』(編著、三省堂、2011年)、『電気通信事業における接続と競争政策』(編著、三省堂、2012年)がある。

市原 博(イチハラ ヒロシ)

駿河台大学経済学部教授
1984年一橋大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得、博士(経済学)、主要業績に『炭鉱の労働社会史』(多賀出版、1997年)、「三菱鉱業の技術系職員・現場係員の人的資源形成」『三菱史料館論集』13号(2012年)がある。

島西 智輝(シマニシ トモキ)

香川大学経済学部准教授
2006年慶應義塾大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(商学)、主要業績に『日本石炭産業の戦後史』(慶應義塾大学出版会、2011年)、「高度成長期日本における中小炭鉱合理化対策」『三田商学研究』54巻5号(2011年12月)がある。

青木 隆夫(アオキ タカオ)

夕張地域史研究資料調査室室長、元夕張市石炭博物館館長
1980年秋田大学教育学部卒、主要業績に「石炭」中岡哲郎ほか編『産業技術史』(新体系日本史11)山川出版社、2001年)、「炭鉱町の形成と発展」『歴史と地理』572号(2004年3月)がある。

岡本 聖(オカモト ヒジリ)

慶應義塾大学日吉メディアセンター
慶應義塾大学文学部卒(図書館・情報学専攻)、主要業績に「慶應義塾図書館所蔵日本石炭産業関連資料コレクション」『資源と素材』120巻6号(2004年7月)、「電子学術書利用実験プロジェクト」(共著)Medianet 18号(2011年)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。

【編著者】
杉山 伸也(すぎやま しんや)
慶應義塾大学経済学部教授

牛島 利明(うしじま としあき)
慶應義塾大学商学部教授

【執筆者】
山口 明日香(やまぐち あすか)
慶應義塾大学先導研究センター研究員

石岡 克俊(いしおか かつとし)
慶應義塾大学産業研究所准教授

市原 博(いちはら ひろし)
駿河台大学経済学部教授

島西 智輝(しまにし ともき)
香川大学経済学部准教授

青木 隆夫(あおき たかお)
夕張地域史研究資料調査室室長、元夕張市石炭博物館館長

岡本 聖(おかもと ひじり)
慶應義塾大学日吉メディアセンター

目次

序 章 日本の石炭産業――重要産業から衰退産業へ  牛島 利明・杉山 伸也

 はじめに――石炭産業史研究の課題
 1 基幹エネルギー産業としての石炭産業
  (1) 1次エネルギー供給量の推移
  (2) 石炭産業の重要性と生産量
  (3) 石炭の産業別需要量
 2 戦前期~戦後復興期の石炭産業
  (1) 戦前期の石炭産業
  (2) 戦時統制期の石炭産業
  (3) 戦後復興期の石炭産業
 3 戦後復興期以降の石炭産業と石炭政策
  (1) 「エネルギー革命」の進展
  (2) 高度成長期の石炭政策
  (3) 閉山のジレンマ
  (4) 石炭政策の再転換と企業・地域の対応
  (5) 石炭産業の終焉

  第1部 衰退の構造的要因

第1章 戦時統制期の石炭増産と資材問題  山口 明日香

 はじめに
 1 資材統制の開始(1937年7月~40年度上期)
  (1) 生産力拡充計画
  (2) 「平等主義」的資材配給の実施
  (3) 石炭増産方針の変更
 2 資材配給方針の転換(1940年度下期~42年度)
  (1) 「重点主義」的資材配給機構の整備
  (2) 政府による補助金交付と増産運動
  (3) 重点企業の対応
 3 資材不足下での増産(1943年度~45年度上期)
  (1) 政府による「重点主義」の強化――炭鉱の整理・合併
  (2) 資材の融通と一括購入
  (3) 「平等主義」的生産の継続
 おわりに

第2章 「傾斜生産」構想と資材・労働力・資金問題  杉山 伸也

 はじめに
 1 「傾斜生産」構想と石炭産業
  (1) 「傾斜生産」の構想と実施
  (2) 「傾斜生産」期の石炭産業
 2 資材問題――主要資材の需給バランス
 3 労働力問題――出炭能率の上昇と労働者の定着化
 4 資金問題――復金融資の拡大と累積赤字
 5 「傾斜生産」の実態――石炭業と鉄鋼業
 おわりに

  第2部 政策手段の形成と企業の対応

第3章 産炭地域振興臨時措置法の形成と展開  石岡 克俊

 はじめに
 1 産炭地域振興政策の形成
  (1) 法の制定と趣旨
  (2) 法の内容と特徴
  (3) 原始産炭法にもとづく財政上の措置
  (4) 事業団方式の採用――産炭地域振興事業団法の制定
 2 産炭地域振興政策の充実
  (1) 「石炭鉱業調査団答申大綱」(1962年10月13日)
  (2) 「石炭鉱業調査団答申」(1964年12月16日)
  (3) 産炭法の改正
  (4) 改正法にもとづき追加された措置
 おわりに

第4章 第4次石炭政策と企業再編  牛島 利明

 はじめに
 1 石炭政策の枠組みと財政支援
  (1) 政策資金の配分
  (2) 合理化安定対策の2つの側面
 2 石炭産業の再編論議――植村構想の変容と第4次政策
  (1) 業界再編論と植村構想
  (2) 石炭企業と労組の反対意見
  (3) 財政負担への懸念
 3 政策は石炭分離のインセンティブを与えたか?
  (1) 業界再編の動向
  (2) 石炭生産部門分離の要因
  (3) 転進と延命――太平洋炭鑛のケース
 おわりに

  第3部 経営合理化と地域の対応

第5章 戦後炭鉱職員の職務・教育資格・人事管理  市原 博

 はじめに
 1 職員の構成と教育資格
  (1) 職員の教育資格別構成
  (2) 教育資格別構成と職階別構成
 2 担当職務と教育資格
  (1) 炭鉱の組織と職員の職務内容
  (2) 職員の教育資格と職務配分
 3 採炭作業と採炭係員の職務
  (1) 採炭作業の内容とロング長・大先山の役割
  (2) 採炭係員の職責
  (3) 採炭係員の権限の制約
 4 戦後の職員人事制度
  (1) 三井鉱山の人事制度――戦前
  (2) 三井鉱山の人事制度――戦後
  (3) 三井鉱山の資格制度と新人事制度
  (4) 北炭の人事制度
 5 職員登用制度の運用実態
  (1) 三井鉱山の登用制度
  (2) 北炭の登用制度
 6 職員の給与
  (1) 北炭の職員給与制度の変遷
  (2) 職員給与の水準
 おわりに

第6章 住友赤平炭鉱におけるビルド・アップの帰結  島西 智輝

 はじめに
 1 深部開発の開始とその背景(1959~63年)
  (1) 深部開発計画の策定
  (2) 採炭機械化の限界と誘因制御の機能不全
 2 深部開発後の生産停滞(1964~69年)
  (1) 増産運動の展開と採炭機械化の推進
  (2) 誘因制御の機能不全の深刻化
  (3) 財務状況の悪化
 3 ビルドの失敗(1970~73年)
  (1) 政府・企業集団による支援
  (2) 赤平の縮小存続
  (3) 誘因制御改革の失敗
 おわりに

第7章 夕張市の産炭地域振興事業をめぐる利害調整  島西 智輝・青木 隆夫

 はじめに
 1 石炭コンビナート誘致
  (1) 石炭コンビナート計画の樹立
  (2) 市外のアクター間の利害対立
  (3) 誘致の断念
 2 工業団地建設と中小企業誘致
  (1) 石勝線建設計画と酒造工場建設計画
  (2) 用地買収をめぐる利害調整
  (3) 工業団地計画の縮小と「中核企業」の模索
 3 新鉱開発の推進と石炭企業への依存
  (1) 新鉱開発計画の浮上
  (2) 「中核企業」としての石炭企業
  (3) 新鉱開発の実現と石炭コンビナート計画の再浮上
 おわりに

補 論  「日本石炭産業関連資料コレクション」  杉山 伸也・岡本 聖

 はじめに
 1 石炭コレクションの受入れ
 2 コレクションの整理
 3 目録データベースの作成
 4 コレクションの概要
 5 文書資料の概要
  (1) 北海道炭礦汽船株式会社
  (2) 三井鉱山
  (3) 三菱鉱業
  (4) 住友石炭鉱業
  (5) 太平洋炭礦
  (6) その他の文書資料
  資料8-1 石炭資料(文書類)整理基準
  資料8-2 石炭資料分類体系(現物)案
  資料8-3 「日本石炭産業関連資料コレクション目録データベース」

石炭コレクション利用文書
引用文献
あとがき

石炭用語解説
索 引


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