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 現実社会を捉え直す授業づくりの新提案哲学する道徳

哲学する道徳 現実社会を捉え直す授業づくりの新提案

小笠原 喜康:編著, 朝倉 徹:編著
B6判 218ページ 並製
定価:2,500円+税
ISBN978-4-486-02143-8 C1037
奥付の初版発行年月:2017年11月 / 発売日:2017年11月中旬

内容紹介

来年度から学習指導要領によって教科化される「道徳」について具体的な授業の提案をすることで状況に応じた実践規範判断力を育成することを目的とする。そこで教材文を提示し4~5段階の授業の展開事例を述べ、著者が実際に中学校でおこなった実験授業から得た結果についても考察する。

著者プロフィール

小笠原 喜康(オガサワラ ヒロヤス)

日本大学文理学部教授

朝倉 徹(アサクラ トオル)

東海大学課程資格教育センター教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

少し長いまえがき 小笠原 喜康
1 道徳教育改善の方向性
2 授業方法の改善方策
   ◇ 「考えつづける」という道
   ◇ 道徳の評価について

第1章 道徳教育とは何か 朝倉 徹
1 新しい道徳教育(「特別の教科 道徳」)は、これまでと何が違うのか
2 道徳とは考える習慣や能力のことである
   ① 褒められたくて人を助けることは道徳的なのか
   ② 道徳教育は社会的規範を教え込むことではなく、いかに生きるべきかを考えるものである
   ③ モラリストとは生身の人間を愛する人のことである
   ④ ルソーが考える「一般意志」は、多面的・多角的に考える授業の目標になり得るのか
   ⑤ 道徳科の授業は他者が置かれている状況や意見を知ることから始まる
   ⑥ 社会派的モラリストは、社会のあり方を批判し、為政者を批判する
 3  「多様な見方や考え方」「多面的、多角的に考える」授業はどのように行うのか
   ① サンデル教授の『白熱教室』は道徳授業のヒントになるのか
   ② コミュニタリズム、リベラリズム、リバタリアニズム、それぞれはどう違うのか
   ③ コミュニタリズム、リベラリズム、リバタリアニズムのうち、どれを選ぶのか
   ④ 他者の置かれた状況を知り、価値観を強制する人間を批判する

第2章 他者とのかかわりについて考える授業   
    ―「はしの上のおおかみ」を読み直す― 柴山 英樹
1 教材について―小学校読み物資料を中学校で読み直す
   ◇ 教材文 「はしの 上の おおかみ」(奈街三郎、一九六一より)
   ◇ 小学校読み物資料を中学生が読み直すこと
   ◇ 「はしの上のおおかみ」の理想的な世界
 2 授業の基本方針―現実の社会と向き合い、他者とのかかわりを考える
 3 授業の進展段階―教材を相対化するしかけと多角的な議論に向けて
   ◇ 第1段階 教材文と『わたしたちの道徳』の教材を読み比べる
   ◇ 第2段階 「やさしさ」や「思いやり」の意味内容を検討する
   ◇ 第3段階 相手の立場を想像しながら話し合う
   ◇ 第4段階 オオカミの行為が「偽善」であるのかを話し合う
   ◇ 第5段階 社会の問題に目を向けて、どのような課題があるかを発表する
4 おわりに―問いを発する教師の振る舞い

第3章 生殖医療を考える
    ―本当の親子とは? デザイナー・ベビーを通して― 前田 善仁
1  教材について―生殖医療をとおして親子について考える
    教材文1 「医療の進歩はどこまで許されるのか」
    教材文2 「本当の親子とは」
    教材文3 「我が子の将来を考えて デザイナー・ベビー」
    教材文4 「公正・公平な社会を考える」
2 この授業の基本姿勢(進歩し続ける生殖医療と利用する者の考え方)
3 授業の進展段階―本当の親子について段階をふまえながら考える
   ◇ 第1段階 不妊治療をとおして考える
   ◇ 第2段階 養子縁組をとおして親子関係について考える 
   ◇ 第3段階 我が子の幸せを願う親とその選択について考える
   ◇ 第4段階 教材文4 公正・公平な社会を作り出す話し合い
4  おわりに―実験授業の結果から

第4章 動物とロボット、人間とロボットの境界を考える授業
    ―動物やロボットに意思を投影することに着目して― 渡辺 哲男
1  教材について
教材文1― 国語教科書の説明文
「生き物はつながりの中に」(中村桂子、光村図書小学校六年国語教科書所収)
教材文2― イヌ型ロボットで実際に遊ぶ
「Hello! Zoomer」(タカラトミーから発売されているロボット)
教材文3― ロボットを蹴るのはかわいそう?
「Spot」(Boston Dynamics が開発した四足歩行ロボット)
教材文4― 「本物」って何だろう?
『クレヨンしんちゃん 逆襲のロボとーちゃん』(二〇一四年四月公開作品)
2  いま、人間とロボットの関わりを考える意義
3  授業の進展段階―リミナルな存在としてのロボットと動物、そして人間を考える
   ◇ 第1段階 教材文1を読んで話し合い、中村の結論に対し意見をまとめて発表する。
   ◇ 第2段階 イヌ型ロボットで実際に遊んでみて、動物もロボットもある意味で同一視している状況が
あることに気づく。
   ◇ 第3段階 ロボットに意思を投影するのは、どういうときかを考える。
  ◇ 第4段階 「本物」とは何かを考える―人間とロボットの境界をめぐって
4 おわりに―人間とテクノロジーの「つきあい」方をめぐって

第5章 障碍者差別の授業―ダウン症児への差別― 小笠原 喜康
1  教材について―ネットの投書から
教材文1 「友 達」(ありさママ)
教材文2 「障害者は邪魔ですか?」への回答(以下の文章は、2010/12/25にYahoo! 知恵袋に投稿さ
れた質問への回答。
教材文3 新型出生前診断、異常確定のうち九七%が中絶
教材文4 出生前診断で〝ダウン症の子が生まれるから中絶〞はアリなのか
2  この授業の基本姿勢―自分の中の差別意識と向き合う
3  授業の進展段階
 ◇ 第1段階 教材文を読んでグループで話し合い。この教材文についての意見をまとめ発表する。
   ◇ 第2段階 教師から障碍者との接触経験の有無を生徒に尋ね、その時の対応や本音をひきだす。そしてその対応と第1段階での意見との違いから、次の第3段階につながる方向をさぐる。
◇ 第3段階 障碍児、特にダウン症について、その種類、原因、特性、人数、就職等の状況、差別の現状などのダウン症の情報を多面的に調べる。
   ◇ 第4段階 改めて教材文2の分析をおこなう。その際、問題文を批判するのではなく、戸惑いやヘイトな部分に注目して、どのような背景があってこのようにいうのか、その真意を話し合う。
  ◇ 第5段階 授業全体を振り返り、正しい情報の収集と評価とが重要であることと障碍者のみならず、
社会全体の問題を考えていくことを確認し、最後の問題「新型出生前診断」の問題を提示する。
教材研究《ダウン症について》
4  おわりに―実験授業の結果から

第6章 臓器移植は是か非か 朝倉 徹
1  教材について―「ドナーカード」
教材文1 「娘をドナーに私は出来ない」
教材文2 「家族の場合に迷う臓器提供」
2  この授業の基本姿勢―臓器移植が抱える問題を多面的に捉える
3  授業の進展段階
◇第1段階あなたは臓器移植に賛成ですか、それとも反対ですか
◇ 第2段階 賛成・反対それぞれの理由を知り、それについて考えよう
   ◇ 第3段階 ドナー登録はした方が良いのか(脳死は人間の死ですか)
   ◇ 第4段階 臓器の提供を待っている方々の状況や気持ちを知ろう
   ◇ 第5段階 お金持ちの人と貧しい人の命の重さは違うのだろうか
4  おわりに

あとがき 朝倉 徹

【資料】 道徳教育の変遷―道徳の時間の設置から教科化に至るまで― 臼杵 龍児


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