インテリジェンスの歴史
価格:2,750円 (消費税:250円)
ISBN978-4-7664-1300-7(4-7664-1300-8) C0031
奥付の初版発行年月:2006年09月 / 発売日:2006年09月上旬
▼フリードリッヒ大王「敗北はやむを得ないが、断じて奇襲されてはならない」。ナポレオン皇帝「指導者はうち破られる権利を有するが、驚かされる権利は決して有しない」。ローウェンソール(米インテリジェンス研究家)「米国のインテリジェンス・コミュニティーの形成を促したのは、冷戦ではなく、真珠湾である」。・・・いつの時代も、指導者が最も警戒したのは「不意を突かれること」であった。
▼「予測」に対する人類の欲求は飽くことがなく、かつて神の領域にあったそれを人間が手にして以来、その営みは今日まで続く。孫子から、ナポレオン、エリザベスI世、さらに朝鮮戦争、キューバ侵攻、9.11同時多発テロに至るまでの多彩なエピソードをもとに、インテリジェンス(諜報活動)の歴史とその本質をわかりやすく伝える。
北岡元(きたおか はじめ)
国立情報学研究所教授、拓殖大学大学院非常勤講師
79年東京大学法学部卒業、同年外務省入省、80年在外上級研修員(英国留学)、 82年在英国大使館、84年オックスフォード大学国際関係論修士 (M. Litt. in International Relations)取得、87年中近東アフリカ局(現中東アフリカ局)中近東第一課課長補佐、89年欧亜局(現欧州局)西欧第二課首席事務官、91年在バングラデシュ大使館一等書記官、93年在ニューヨーク総領事館経済部領事、96年在フィンランド大使館総括参事官、98年外務省国際情報局国際情報課課長。2001年3月 (財)世界平和研究所主任研究員、03年4月内閣情報調査室衛星情報センター管理部総務課長、05年4月国立情報学研究所教授(〜現在)、06年4月拓殖大学大学院非常勤講師(兼務)。
主要業績に『インテリジェンス入門——利益を実現する知識の創造』(慶應義塾大学出版会、2003)、『国際政治事典』(共著、弘文堂、2005)他。
目次
プロローグ 水晶玉を覗こうとする男たち
第一章 歴史を辿るための理論
1 インテリジェンスとは何か
2 時間差および意図と推測の量の問題
(1) 時間差と推測の量の問題/(2) 意図と推測の量の問題/(3) シークレットとミステリーの問題
第二章 インフォメーションの伝達速度
1 一九世紀半ばまでの状況
(1) 時間差の影響を受けにくいインフォメーションの活用/(2) インフォメーションの伝達速度を速める/(3) まとめ
2 一九世紀の半ば以降、第二次世界大戦終結までの状況
(1) インフォメーション伝達速度の改善/(2) 戦争と通信技術の進歩/(3) 暗号化と解読/(4) まとめ
第三章 相手方の意図に関するインフォメーションの入手
1 信書開披と暗号
(1) フランスにおける、組織的信書開披の始まりと制度化/(2) 英国における、組織的信書開披・暗号解読の始まり/(3) 英国における、信書開披・暗号解読の制度化
2 通信傍受と暗号
(1) 英国/(2) 米国/(3) フランス
3 まとめ
第四章 インテリジェンス業務の組織化
1 戦争の変質——組織化の背景一
(1) 宮廷戦争から総力戦へ/(2) 戦争の大規模化・複雑化/(3) 曖昧になった平時と戦時の境界
2 利用可能なインフォメーション量の増大——組織化の背景二
3 参謀制度の発展とインテリジェンス業務の組織化
(1) プロイセンのフリードリッヒ大王の組織/(2) ナポレオンの組織/(3) フランスの影響を受けたプロイセン/(4) プロイセンの影響を受けたフランス/(5) プロイセンの影響を受けた英国/(6) フランスの影響を受けた米国
4 まとめ
第五章 第二次世界大戦終了後、冷戦終結までの時代
1 姿を現したミステリー・ギャップ
(1) ミステリー・ギャップへの挑戦/(2) シャーマン・ケントの思想/(3) ウィリアム・コルビーの思想/(4) 上手くいかない予測
2 組織化・官僚制の弊害
(1) ウィリアム・コルビーの指摘/(2) スタンスフィールド・ターナーの指摘/(3) チャーチ委員会の指摘
3 インテリジェンス・サイクルの行方
(1) チャーチ委員会の指摘/(2) サイクル・モデルの硬直的適用に対する警鐘
4 冷戦期間のインテリジェンス活動を採点する
第六章 冷戦終結後、九・一一後の世界と三つの処方箋
1 組織再編による収集の相乗効果
(1) 一九九二年の改革/(2) 一九九六年の改革/(3) 二〇〇四年の改革/(4) ヒュミントとシギント
2 官僚制の見直しと文化論
(1) 官僚制の見直し/(2) 文化論
3 分析手法の見直しと改善
(1) リンチピン分析/(2) 競争分析/(3) 代替シナリオの重視/(4) 直感か、定式か
エピローグ 二つの未来図