情報とグローバル・ガバナンス インターネットから見た国家
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-7664-0840-9(4-7664-0840-3) C3031
奥付の初版発行年月:2001年04月 / 発売日:2001年04月上旬
「情報国家(infomation state)」という考え方を提示し、この概念をもとに、米・英・中における情報通信分野のいくつかのトピックをとりあげてケーススタディを行なう。さらに歴史的な考察と国際比較を織り込みながら、多角的に国家と情報の関係、国家の新しい意志決定・合意形成のあり方を分析する。
21世紀の情報技術と結びついた国家のあり方に関心をもたれる方におすすめする新しい学問分野の研究書です。
土屋大洋(つちや・もとひろ)
国際大学グローバル・コミュニケーション・センター講師・主任研究員
1970年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(政策・メディア)。1999年より現職。専門は国際関係論、情報社会論、政策過程論。
著書に、『ネットワーク時代の合意形成』(木村忠正との共著、NTT出版、1998年)、『国際関係論へのアプローチ』(共著、ミネルヴァ書房、1999年)、『グローバリゼーションの現在』(共著、一藝社、2000年)など。
目次
1 情報技術は革命を起こせるか
2 ネットワーク時代の国家
2.1. コーディングとデコーディング
2.2. 情報と国家
2.3. 国際政治におけるサイクル
2.4. 情報国家の三つのタイプ
2.5. サイバースペースとガバナンス
2.6. 情報とエンパワーメント
3 大英帝国のネットワーク
3.1. 大英帝国の台頭
3.2. 電信の発明と電信ネットワークの国際的拡張
3.3. 無線電信の発明
3.4. 電信ネットワークの管理と活用
3.5. ガバメント型情報国家としての19世紀英国
4 米国とインターネット
4.1. 電信から電話へ
4.2. インターネットの「発見」と米国の情報通信政策
4.3. ニュー・エコノミー論とディジタル・ディバイド論
4.4. 米国の情報エージェント
4.5. ガバナンス型情報国家としての米国
5 中国のインターネットへの挑戦
5.1. 中国のネット・パラドックス
5.2. 通信市場の改革とWTO加盟
5.3. インターネットの普及
5.4. 政府情報化とLinux
5.5. 独占型情報国家としての中国
6 国際機関とインターネット・コミュニティ
6.1. 三つのグループによるガバナンス
6.2. 電子商取引をめぐる調整
6.3. ドメイン・ネームをめぐる調整
6.4. ICANNとナショナリズム
6.5. 政府とインターネット・コミュニティ
7 情報のコントロールと市民のエンパワーメント
7.1. 兵器としての暗号
7.2. 三つの兵器管理枠組と暗号管理
7.3. 公開鍵暗号の発明と電子商取引
7.4. 米国の暗号政策
7.5. 国際的な暗号管理体制の模索と反対運動
7.6. 政府と市民のパワー・ゲーム
8 情報の共有と新しいコード
8.1. 解き放たれた音楽
8.2. レコード業界との戦い
8.3. コードの拡散と進化
8.4. オープンソース運動
8.5. 古い秩序と新しいコード
8.6. コントロール革命とグローバル・コミュニティ
9 情報とグローバル・ガバナンス
9.1. レクサスと柳の木?
9.2. ガバメントの限界とガバナンスの可能性
9.3. 情報の共益性
あとがき
参考文献
主要参考文献・資料
参考URL
付表 インターネットの歴史
索引