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租税条約、明治維新、官僚人事合意形成と制度

関西大学経済・政治研究所研究双書181
合意形成と制度 租税条約、明治維新、官僚人事

A5判 248ページ 並製
価格:5,060円 (消費税:460円)
ISBN978-4-87354-780-0 C3033
奥付の初版発行年月:2024年03月 / 発売日:2024年04月上旬

内容紹介

さまざまな価値観が競合するなか、どのように合意を形成するのか。古今東西の事例から挑んだ、経済学・政治学・歴史学の異色の共同研究。制度は、歴史的につくられた前提であると同時に、そのもとでの合意形成の産物である、と捉えて、合意形成と制度の動態を多面的に検討する。

著者プロフィール

北川 亘太(キタガワ コウタ)

関西大学経済学部准教授、経済・政治研究所研究員、博士(経済学)。
2015年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。
2016年 関西大学経済学部助教を経て2018年より現職。
2021年 École normale supérieure Paris-Saclay、professeur invité。
2014年 European Association for Evolutionary Political Economy からHerbert Simon Prize for Young Scholarsを受賞。
2020年 Association for Evolutionary Economics からClarence E. Ayres Scholarを受賞。
主著に『地道に取り組むイノベーション』(比嘉夏子・渡辺隆史との共著、ナカニシ
ヤ出版)『現代制度経済学講義』(藤田真哉・宇仁宏幸との共著、ナカニシヤ出版)など。

井澤 龍(イザワ リョウ)

東京都立大学経済経営学部准教授、経済・政治研究所研究員、博士(経済学)。
2015年 京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。
2015年 滋賀大学経済学部専任講師、2017年 准教授を経て、2020年より現職。
2017年 経営史学会・出版文化社賞を受賞。
主著に“Corporate Structural Change for Tax Avoidance : British Multinational Enterprises and International Double Taxation between the First and Second World Wars”(Business History, Volume64, Issue 4)、
「20世紀前半のイギリス企業と英米間の二重所得課税問題 ―第一次世界大戦から1945年英米租税条約締結まで」(『経営史学』第51巻第2号)など。

柏原 宏紀(カシハラ ヒロキ)

関西大学経済学部教授、経済・政治研究所研究員、博士(法学)。
2008年 慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻後期博士課程修了。
慶應義塾大学法学部非常勤講師等を経て、2015年 関西大学経済学部准教授、
2022年より現職。
主著に『工部省の研究』(慶應義塾大学出版会)、『明治の技術官僚』(中公新書)、「明治初年太政官制下の卿輔関係についての一考察」(『年報政治学』2013-Ⅱ号)、
「平岡通義と工部省」(鈴木淳編著『経済の維新と殖産興業』ミネルヴァ書房)、「内務・工部合併の頓挫と伊藤博文」(『日本歴史』第904号)など。

小嶋 健太(コジマ ケンタ)

関西大学経済学部准教授、経済・政治研究所研究員、博士(経済学)。
2016年 京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。
京都大学経済研究所研究員(産官学連携)、関西学院大学商学部助教を経て、2017年 関西大学経済学部助教。2020年より現職。2023年 SKEMA Business School客員研究員。
主著に“Estimation of Job Ranks in the Japanese Judiciary”
(Fumitoshi Moriya との共著、Andelko Simic ed., 1st Croatian-Japanese Conference :Contemporary Problems in Economics)、
「地方移住者の仕事マッチング―山形県庄内地域における官民連携」(水野敬三編著『地域活性化の経済分析―官と民の力を活かす』中央経済社)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに 「合意形成と制度」研究班の活動の経緯と成果
 1 研究班の活動の経緯
 2 本研究班が達成できたこと、できなかったこと

第1章 合意形成と制度―序言・総説
 1 はじめに
 2 北川論文(第2章、第3章)が問いかけるもの
   ―「正当性」を与える手続きの省察
 3 井澤論文(第4章)が問いかけるもの
   ―「結果」の側面の正当性という視座と限界
 4 柏原論文(第5章)が問いかけるもの
   ―合意形成のための手続きを定めた制度ができあがるまで
 5 柏原・小嶋共著論文(第6章)、小嶋論文(第7章)が問いかけるもの
   ―制度が批判され続けるために
 6 本研究班が問いかけるもの
   ―望ましい合意形成と制度構築にむけて

第2章 アメリカ・ウィスコンシン州における行政委員会の形成
    ―制度経済学者J.R.コモンズの視点から
 1 はじめに
 2 本章で見ていきたいこと
 3 労災を防止・補償する制度の形成
 4 失業を防止・補償する制度の形成
 5 冒頭の疑問の答えを整理する

第3章 西欧民主主義の理想は「不自然」か
    ―熟議の文化的条件を考えてみる
 1 はじめに
 2 合意形成は不自然か
 3 慣習化のされ方の違い―山本の諸著作にみる3つのカテゴリー
 4 結論―熟議の文化的条件

第4章 国際課税ルールの世界的合意形成が誕生したとき
    ―1920 年代の国際連盟とイギリス
 1 はじめに
 2 国際課税制度の基本的な考え方と100年続いた状況
 3 国際課税制度の創設
 4 まとめ

第5章 参議・省卿兼任制の形成
    ―明治初年における政府内調整と制度
 1 はじめに
 2 現代日本の内閣から見た明治初年の位置
 3 新政府成立直後の国政指導者と政策責任者
 4 参議・省卿の登場と制度設計をめぐる議論
 5 参議・省卿兼任制の成立
 6 むすび

第6章 明治初期における官僚人事に関する一考察
    ―合意形成の前提に注目して
 1 はじめに
 2 明治太政官制人事研究の前提―史料、制度と特質
 3 データの概要
 4 合意形成に関わる人事分析
 5 むすび

第7章 中央・地方政府間の出向人事と政府間調整
 1 はじめに
 2 公務員人事制度と出向人事
 3 出向人事にかかる利害関係
 4 政府間調整と中央官僚のキャリアパス
 5 おわりに

終章 合意形成と制度の連関
 1 合意形成と制度を関連づける
 2 本書の諸論文の図式化
 3 「合意形成と制度」と倫理


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