経済大国 日本の経営 豊かさのゆくえ
価格:1,870円 (消費税:170円)
ISBN978-4-87354-772-5 C3034
奥付の初版発行年月:2023年12月 / 発売日:2023年12月中旬
1980年代後半以降日本が経済大国を自認すると同時に、日本型経営の欧米に対する優越性を説く論調が勢いを得た。この自画自賛の経営論は、バブル崩壊に続く90年代後半以降、日本企業の競争力の低下とともに完全に鳴りを潜めて現在に至る。いま求められているのは、企業の競争力の説明論ではなく、人びとの生活を豊かにする経営論である。
廣瀬 幹好(ヒロセ ミキヨシ)
1953年香川県生まれ。
1975年高知大学文理学部経済学科卒業、1982年大阪市立大学大学院経営学研究科博士課程中退。
高知大学人文学部助手・講師・助教授、関西大学商学部助教授・教授を経て、2020年より関西大学名誉教授。
専攻 ビジネス・マネジメント、経営思想史
著書 『技師とマネジメント思想』(文眞堂、2005年)
『ビジネス・アイ』(文眞堂、2012年。第3版、2022年)
『変革期のモノづくり革新』(共編著、中央経済社、2017年)
『フレデリック・テイラーとマネジメント思想』(関西大学出版部、2019年)
『ビジネスとは何だろうか』(文眞堂、2020年)
『ビジネス・マネジメント』(監修、東京法令出版、2023年)
『グローバル経済』(監修、東京法令出版、2023年)他
目次
第一章 「成功」の謎解き
1 背景
2 柔軟な職務
情報効率性/作業組織の柔軟性
3 人間尊重の経営
生産のヒューマンウェア/人本主義経営
4 自発と強制
自発性とは/自発性を生む構造
5 根なし草の経営論
第二章 経営と人間の尊厳
1 豊かさとは
2 経済成長と経営論
もはや「戦後」ではない/高度成長/金ぴかの80年代と「日本的経営」論/「戦後」はなお続いている
3 グローバリゼーションの中に
バブルの破裂と90年代/「日本型経営」が危い
4 経営の再生
日本の組織文化/組織文化の再生
第三章 経営機構改革と経営理念
1 台頭する拝金主義
2 経営機構改革の波
機関とは/経営機構︱伝統的日本型と米国型/経営機構改革の波
3 米国型の経営機構
指名委員会等設置会社/A社の事例/米国型の選択状況
4 機構改革と経営理念
新日本型経営機構/米国型の影響/社外取締役の増加
5 経営理念をめぐって
第四章 経営者の役割
1 経営の視点
2 主権の所在
経営者主権論の提唱/株主主権の相対化/経営者の主権
3 会社それ自体とは
会社はモノか/企業価値とは/会社それ自体とは
補論 企業価値の再考
第五章 経営の未来
1 30年を経て
経済大国化と生活の豊かさ/働き方の改革
2 経営の未来
企業と社会/ゆとり社会への条件
補章 経営学研究の視点
1 経営学研究の現状
2 批判の経営学と実践性
3 指導原理としての規範の意義
4 規範の合理的根拠
5 政策の経営学
あとがき
索引