詩と哲学のあわい 宗教哲学・比較思想論攷
価格:6,270円 (消費税:570円)
ISBN978-4-87354-756-5 C3010
奥付の初版発行年月:2023年01月 / 発売日:2023年01月中旬
詩作と哲学的思索にはともに語りえざるものを語ろうとする営みがある。本書はそれを踏まえながら、宗教哲学と比較思想の視点に立って、日本文化の深層を探り、大燈国師・西田幾多郎・鈴木大拙に見る禅の本質に迫り、徳川期古学派の古典理解をドイツ解釈学に照らし合わせ、内藤湖南の歴史認識に見る哲学的傾向をも指摘する。
井上 克人(イノウエ カツヒト)
1949 (昭和24 )年 神戸生まれ。
1977 (昭和52 )年 関西大学大学院文学研究科哲学専攻博士課程修了
関西大学名誉教授 文学博士
専攻:宗教哲学・比較思想・日本思想
〔著書〕
『露現と覆蔵─現象学から宗教哲学へ─』関西大学出版部 2003 年
『西田幾多郎と明治の精神』関西大学出版部 2011 年
『 〈時〉と〈鏡〉 超越的覆蔵性の哲学─道元・西田・大拙・ハイデガーの思索をめぐって』関西大学出版部 2015 年
〔編著〕
『「大乗起信論」の研究』関西大学出版部 2000 年
『豊饒なる明治』関西大学出版部 2012 年
『朱子学と近世・近代の東アジア』(日本学研究叢書9)臺大出版中心 2012 年
『近世近代日中文化交渉の諸相』関西大学東西学術研究所編 2017 年
『東アジア圏における文化交渉の軌跡と展望』関西大学東西学術研究所編 2020 年
〔共著(共同執筆)〕
『西田哲学を学ぶ人のために』世界思想社 1996 年
『京都学派の遺産─生と死と環境─』晃洋書房 2008 年
『『善の研究』の百年─世界へ/世界から』京都大学学術出版会 2011 年
『道元と曹洞宗がわかる本』大法輪閣 2013 年
『ハイデガー読本』法政大学出版局 2014 年
・ Komparative Philosophie der Gegenwart—Transkulturelles Denken im Zeitalter der Globalisierung
(Hrsg. Hisaki HASHI, Werner GABRIEL), Passagen Verlag, Wien. 2007 年
・ A ESCOLA DE KYOTO E O PERIGO DA TÉCNICA (org. Zeljko Loparic), DWW EDITORIAL,
São Paulo, 2009 年
・ Globalisierung des Denkens in Ost und West, (Hrsg. Friedrich G. WALLNER, HASHI Hisaki)
Verlag Traugott Bautz GmbH 2011 年
・ Kitarō Nishida in der Philsophie des 20. Jahrhunderts Mit Texten Nishidas in deutscher Übersetzung,
Verlag KARL ALBER, 2014 年
目次
はじめに
第一部 詩と哲学、そして宗教
第一章 日本文化の根底にあるもの
第二章 詩の言葉と宗教的超越性
第二部 仏教における思惟と真如
第一章 正中の宗論とその背景
第二章 ゴータマ・シッダールタの思惟 ─ 比較思想論から見た一考察 ─
第三章 西田哲学における禅思想の特質
第四章 「真如随縁」の相即論に関する一考察
第五章 鈴木大拙の思想へ/思想から ― 般若即非の真如観 ―
第三部 現代のキリスト教における世俗化の問題
第一章 ハヤトロギア・エヒイェロギア・オントロギア
── 新たなキリスト教倫理へ向けて ──
第二章 現代のキリスト教における世俗化とケノーシスの問題 ─ 一つの覚書 ─
第四部 東アジア圏の文化交渉の軌跡
第一章 内藤湖南と近代の〈知〉
第二章 内藤湖南の歴史認識における哲学的背景
第三章 東アジア圏における〈もの〉と〈自然〉─ 東西比較思想的視点から ─
第四章 近世日本における古典籍理解の解釈学的問題
─ 伊藤仁斎・荻生徂徠・本居宣長・富永仲基をめぐって ─
第五部 道元禅に寄せて
第一章 絶対帰依の表現 ─ 道元禅と親鸞の他力思想 ─
第二章 道元と近代日本の哲学者 ─ 道は無窮なり ─
第三章 時の荘厳 ─ 道元の存在観 ─
第四章 道元の〈悟り〉─ 非人情への覚悟 ─
第五章 道元の哲学思想
第六部 拾遺 ─ 折々の随想から
1 風に寄せて
2 「即物具象」の淵源にさかのぼる ─「格物致知」と芭蕉の精神 ─
3 芭蕉の境涯
4 『藤沢恒夫句集』のこと
5 〈青〉をめぐる断想
貫く棒の如きもの ─ あとがきにかえて ─