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スワヒリ語文学界の挑発者不透明の彼方の作家ケジラハビ

不透明の彼方の作家ケジラハビ スワヒリ語文学界の挑発者

A5判 386ページ 上製
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-87259-758-5 C3098
奥付の初版発行年月:2022年08月 / 発売日:2022年09月上旬

内容紹介

スワヒリ語文学史上最も重要な作家に関する日本初の本格的研究

現代スワヒリ語文学の代表的作家であるケジラハビ(Euphrase Kezilahabi, 1944‐2020)は、伝統や既存の形式を越え、自由詩と実験的小説というジャンルを確立させた。本書では、社会的、文化的、政治的背景との関係から作品群を読み解き、ケジラハビの作家像に迫る。同時に、作品の不透明性や猥雑性といった特徴に着目し、その表現の根本にあるアフリカ地域の現実を論じつつ、日本のケータイ小説との類似性にも言及する。
日本で初めての包括的かつ網羅的な現代スワヒリ語文学作家論であり、今後のアフリカ文学研究の指針となる画期的な研究書。スワヒリ語の言語学的特徴やスワヒリ語の口承文芸、詩、散文の成り立ちや受容にもページを割き、日本語で読める唯一のスワヒリ語文学小史としても重要な1冊。

著者プロフィール

小野田 風子(オノダ フウコ)

1991年京都府宇治市生まれ。大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程修了。2022年8月から大阪大学大学院人文学研究科特任助教。専門はスワヒリ語文学、アフリカ文学。主な論文に「より多様な未来を描く――アフリカ言語芸術研究の提案」(『アフリカ研究』100: 73-77, 2022)、“The Social Orientation of Kiswahili Poetry”(Dynamism in African Language and Literature: Towards Conceptualisation of African Potentials. Eds: Keiko Takemura & Francis B. Nyamnjoh, Langaa Research & Publishing Common Initiative Group, 2021)などがある。現在ケジラハビの実験的な小説『ナゴナ』の邦訳に取り組んでいる。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章

第Ⅰ部 スワヒリ語文学とケジラハビ

第一章 スワヒリ語文学覚え書き
 第一節 スワヒリ語とは
 第二節 スワヒリ語の口承文芸
 第三節 スワヒリ語詩
 第四節 スワヒリ語の散文
 第五節 スワヒリ語文学の受容の場

第二章 ケジラハビの人物像と作品
 第一節 ケジラハビの経歴
 第二節 ケジラハビに関するこれまでの研究
 第三節 小説と戯曲のあらすじ
 第四節 ケジラハビ自身の博士論文

第Ⅱ部 ケジラハビの作家像と作品をめぐる議論

第三章 スワヒリ語文学における変革者としてのケジラハビ
 第一節 詩における革新―自由詩―
 第二節 小説における革新―実験的小説―

第四章 特定の社会の産物としてのケジラハビ
 第一節 ケジラハビ作品における政治性
 第二節 猥雑性と声の文化

終章


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