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 原発事故後の周辺住環境問題を考える放射線の生体影響と物理

放射線の生体影響と物理 原発事故後の周辺住環境問題を考える

B5判 294ページ 並製
定価:2,700円+税
ISBN978-4-87259-683-0 C3042
奥付の初版発行年月:2019年03月 / 発売日:2019年04月上旬

内容紹介

3.11後に起きた福島第一原発の事故により周辺住環境に風評被害や偏見をも生む放射線の問題をどのように説明するのか。従来の放射線生物学の枠組みでは答えるのは難しいため、報道で取り上げられた時事で問題提起して「放射線を理解すること」を目的として背景から学び、そのつど回答する。大学の講義を想定しているが、問題提起は誰もが疑問に思う事象であり、章末の「問題提起に対する考え方」だけでも参考にできる。

出版部から一言

汚染牛肉の影響、子供たちの甲状腺被ばく、たまる一方の汚染水、等、報道された時事を各章で問題提起として「放射線を理解すること」を目的にまとめた教科書です。事故後、福島第一原子力発電所が周辺に住んできた人びとにもたらす問題は、理解が難しい放射線が複雑にし、風評被害や偏見をも生んできました。時には専門家や現場の技術者でさえ正しく答えることが難しい放射線を、これから学ぶ学生が正しく理解することは重要ですが、従来想定されていなかった問題を解決するためにその背景から放射線生物学を理解するスタイルを取ったものです。主に大学生向けに15章の学習を通して従来の整理の仕方と整合性がとれるようにまとめられています。

前書きなど

「福島のためにできることは何か?」の問いの答えの一つが、「放射線を理解すること」との結論に行きついた。福島に対するわれわれの誤解や曲解を、冷静な客観的事実やこれまで積み上げられてきた知識を基に見つめなおすことも意義のあることであろうとの思いである。この思いが本書に結実したと言っても良いだろう。
本書の一部を市民講座として何度か講演を行った。その会場には福島出身の方も居られて、次のような感想をうかがった。「言われなき風評被害で苦しんできた。今回の講演で、どのように考えたら良いのかが理解できた」。このような感想を頂いたことは、本書で取り上げたような知見をまとめて書物にしておくことの大切さを改めて教えていただいた気がした。ここにも本書の存在意義があるのだろう。(「はじめに」より)

著者プロフィール

西嶋 茂宏(ニシジ マシゲヒロ)

福井工業大学原子力応用工学科教授。大阪大学名誉教授。
博士(工学)。専門は、福島汚染土壌の減容化、磁場を使った環境保全・資源回収・低炭素化技術の研究。
1978年大阪大学大学院工学研究科原子力工学専攻修士課程修了
1982年大阪大学大学院工学研究科原子力工学専攻博士課程修了
1982年大阪大学産業科学研究所放射線応用加工部門助手
1993年大阪大学産業科学研究所エネルギー材料研究分野助教授
2001年大阪大学大学院工学研究科原子力工学専攻* 教授
2005年大阪大学大学院工学研究科環境・エネルギー工学専攻教授
2017年より現職。
(*2005年より名称変更)
受賞歴に、第16 回リサイクル技術開発本多賞、第50 回環境工学研究フォーラム環境技術・プロジェクト賞、第20 回「超伝導科学技術賞特別賞」などがある。趣味はテニス、社交ダンス、フルート。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

発刊にあたって

第1章 放射線の単位と許容被ばく限度―汚染食品を食した場合の被ばく―
第2章 放射線の種類と生体影響―甲状腺被ばくの影響を考える―
第3章 被ばくの影響―帰還基準20mSv/ 年の意味―
第4章 被ばくの影響(確率的影響)―確率に人数を掛けると―
第5章 小児・胎児への影響―子供は大人に比べて放射線に敏感か―
第6章 汚染と放射化―福島からのトラックは放射能をもつか―
第7章 電磁波と物質との相互作用―空からの放射線・スカイシャイン―
第8章 遮蔽(しゃへい)―水を入れたペットボトルで遮蔽はできるのか―
第9章 ベクレルからグレイ(シーベルト)へ―8000Bq/kgと1mSv/ 年の関係―
第10章 ベクレルから濃度へ―セシウムの濃度は驚くほど低い―
第11章 ベータ線とベータ崩壊―ベータ線放出核種の生体影響―
第12章 アルファ線とアルファ崩壊―プルトニウムの毒性―
第13章 中性子線―汚染水はいつまで発生し続けるのか―
第14章 防護量と実用量―シーベルトにもいろいろ種類がある―
第15章 計測―精度の高い測定のために―

練習問題解答例
章末問題解答例


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