大阪大学総合学術博物館叢書16
鉱物 石への探求がもたらす文明と文化の発展
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-87259-526-0 C1344
奥付の初版発行年月:2019年03月 / 発売日:2019年04月中旬
眺めていたい美しい宝石類、金銀銅、鉄はもちろん、薬になる石など、人々がどんな石に、どうやって興味を寄せたことで文明と文化が変わってきたのか。豊富な石の写真と図版を集めた98頁(カラー82頁)で紹介する図録。宇宙の鉱物、隕石の紹介、小惑星「イトカワ」の研究も紹介します。好評を得た大阪大学総合学術博物館第12回特別展「The Mineral World―人と鉱物のつむぐ物語」の関連書籍。
石橋 隆(イシバシ タカシ)
公益財団法人益富地学会館研究員
1977年長野県松本市生まれ.中京学院大学経営学部卒.大阪大学総合学術博物館の博物館研究員を2016 年より兼任.日本地質学会理事.地球科学の普及,専門家やアマチュア研究家への支援活動に従事するほか,鉱物や化石,地形の記載科学または文化地質学的研究を行う.著書に『プロが教える鉱物・宝石のすべてがわかる本』(ナツメ社)がある.
澤田 操(サワダ ミサオ)
公益財団法人益富地学会館運営委員
1952年大阪市生まれ.近畿大学理工学部電気工学科卒.鉱物蒐集家.10 歳の頃から鉱物に強い関心を持ち,以来56年間鉱物趣味一筋の人生を送っている.生まれ育った大阪を愛し,特に大阪府産鉱物の蒐集に重きを置いている.
伊藤 謙(イトウ ケン)
大阪大学総合学術博物館特任講師(常勤)
京都府出身.博士(薬学).大阪大学総合学術博物館研究支援推進員,京都薬科大学生薬学分野助教を経て,2015年より現職.専門は生薬学・本草学・博物館学と多岐にわたる.伊藤若冲の遠縁にあたり,美術研究も行っている.
目次
第1章人類の文明の発展は「石」の活用と共にある
節1 人類と「石」との関わり
石器:「石」を道具に加工する/金属器:「石」から金属を取り出して利用/芸術と「石」/石材の利用
節2 陶磁器
原料となる石/釉薬に用いられる石/陶土と陶石に恵まれた日本列島/地質資源と人類の未来
節3 鉱物とは?
「岩石」と「鉱物」/鉱物の種と分類/鉱石
節4 宝石となる鉱物
東洋の宝石「ひすい」/「ひすい」の語源
節5 日本の宝石・ひすい
日本人とひすい/ 2種類のひすい,「硬玉」と「軟玉」/ひすいの色の多様性について/ひすいの生成/日本の国石
第2章「本草学」から「鉱物学」への道
節1 「本草学」にさかのぼる
日本の鉱物学
節2 石の薬「石薬」
「石薬」とされた石
節3 東西の本草学者と「石」
平賀源内と鉱物/上方の本草学者
節4 本草学から奇石趣味へ
元祖石マニアs木内石亭の登場/木内石亭による研究の集大成『雲根志』/『雲根志』などに収録されている奇石
節5 近代日本の鉱物学の黎明
西洋の自然科学史/「金石学」から「鉱物学」へ
第3章 日本の鉱業―近世の金・銀・銅山―
節1 近世における日本の鉱業
金山/銀山/銅山
節2 石見銀山産の江戸時代の鉱石
石見銀山について/鉱石標本の概要/産出地について/標本の由来と製作経緯の考察/石見銀山資料館
第4章 標本の歴史をひもとく
節1 標本の歴史をひもとく
大阪大学鉱物標本/戦前のコレクション/戦後のコレクション
節2 「ラベル」からたどる鉱物標本のルーツ
大阪大学鉱物標本にみられる「ラベル」
節3 地域に密着した鉱物標本―大阪府の鉱物―
大阪の鉱業
節4 大阪大学ゆかりの研究者と鉱物
益富寿之助博士/大阪大学ゆかりの新鉱物
第5章 「宇宙の石」と「地球の石」
節1 隕石
隕石(Meteorite)とは/隕石の種類と分類/始原的隕石と分化した隕石
節2 南極の氷原は隕石の宝庫
やまと山脈探査/南極での隕石発見の記録/なぜ南極で大量の隕石がみつかるのか/研究資料としての南極隕石/火星起源隕石/月起源隕石
節3 地球の石
地球の「石」に目を向ける/地球の構造/地殻における多様な岩石,鉱物の誕生/地球の岩石の種類/宇宙的にも希少な鉱物ができるメカニズム/地球の鉱物資源と人類の未来
節4 「はやぶさ」の小惑星探査
小惑星探査プロジェクト/宇宙探査の未来を拓く分析技術飛行時間質量分析計/「はやぶさ」によって解き明かされた小惑星の姿/「はやぶさ」の成果―小惑星「イトカワ」の年代を探る―/「はやぶさ2」の挑戦
付記 大阪府の「県の石」について
「県の石」が見つかる地層/県の石「岩石」:和泉石/県の石「鉱物」:ドーソン石/県の石「化石」:マチカネワニ