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デザインに哲学は必要か

デザインに哲学は必要か

A5判 272ページ 並製
定価:2,200円+税
ISBN978-4-86463-101-3 C3070
奥付の初版発行年月:2019年03月 / 発売日:2019年04月中旬

内容紹介

デザインは、身体の身振り、行為の無意識を意識化し、技術と人間の関わりを観察する。哲学は物事の前提を疑い、根本から考え直し、既存の世界観や人間観の枠組を問い直す。ではデザインと哲学の決定的な違いは何か。デザインは具体物を制作する。それは実践を通して世界と人間のありさまを具体的に認識する行為である。すべてのデザインは、世界を新しく解釈する理論的実践のプロセスなのだ。

著者プロフィール

古賀 徹(コガ トオル)

九州大学大学院芸術工学研究院教授。専門は哲学。近現代の欧米圏の思想を中心に研究を進める。水俣病やハンセン病、環境破壊、全体主義、消費社会など、現実の諸課題に即して思考を続ける一方で、デザインの基礎論の構築を試みる。単著に『超越論的虚構――社会理論と現象学』(情況出版、2001年)、『理性の暴力――現代日本社会の病理学』(青灯社、2014年)、『愛と貨幣の経済学――快楽の社交主義のために』(青灯社、2016年)。編著に『アート・デザインクロッシングⅠ・Ⅱ』(九州大学出版会、2005–2006年)他。

板東 孝明(バンドウ タカアキ)

武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科教授。主なグラフィック作品に、リートフェルト、ミース、桂離宮のポスター、「Kieler Woche 1996」VI(ドイツ・キール)。社会活動に、1998年吉野川可動堰建設計画に対する住民投票の代表世話人。2001年よりシナジェティクス理論による軽量多面体構造を研究開発し、国内外の大学でワークショップを実施してきた。2012年インドネシア・バンドン工科大学(ITB) で一年間在外研究し、バンブーシェルター制作と現地の特許を取得。その成果に対して2017年ITB 賞受賞。著書に『竹――かたちの原像としての民具』(武蔵野美術大学共同研究報告書、2014年)、編著に『ホスピタルギャラリー』(武蔵野美術大学出版局、2016年)。

伊原 久裕(イハラ ヒサヤス)

九州大学大学院芸術工学研究院教授。グラフィックデザイン教育のかたわら、20世紀情報デザインの歴史研究に主に従事。主なテーマは、アイソタイプ、スイス・タイポグラフィ、1930-40年代のアメリカの情報デザインなど。主な著書(共著)に、『世界の表象――オットー・ノイラートとその時代』(寺山祐策、八束はじめ、大村麻紀子編、武蔵野美術大学美術資料図書館、2007年)、『20世紀のポスター[タイポグラフィ]――デザインのちから・文字のちから』(多摩美術大学、東京都庭園美術館、日本経済新聞社文化事業部編、日本経済新聞社、2001年)、Christopher Burke, Eric Kindel, Sue Walker (eds.) Isotype: design and contexts, hyphen press(London)2013他。

山内 泰(ヤマウチ ユタカ)

NPO法人ドネルモ代表理事。株式会社ふくしごと取締役。芸術工学博士(専門は美学)。九州大学非常勤講師。ドネルモでは、超高齢社会を見据え、学び合いの場づくりや社会のしくみづくりに取り組む。ふくしごとでは、障がいのある人と社会の豊かなつながりを生み出す事業に
取り組む。またパーソンセンタードという人間観に基づいたまちづくりを担う大牟田未来共創センター(仮)に携わる。最近の活動として「デートに誘うテクノロジー――パーソンセンタードの美学」(情報処理学会第181回ヒューマンコンピュータインタラクション研究会招待講演、2019年)。

下村 萌(シモムラ モエ)

九州大学大学院芸術工学研究院学術研究員。同学研究院長戦略室で、世界的デザイン教育研究拠点プロジェクトに従事し、海外の研究機関や行政、産業界と連携した教育、研究に関するプロジェクトの企画、マネージメントを行う。九州芸術工科大学芸術工学部を卒業後、デザインファームGK TECH にて企業とのR&Dプロジェクトや、ミュージアムでの教育型展示の企画・開発を通じてインタラクションデザイン、コミュニケーションデザインの実務経験を積む。

シン・ヒーキョン()

韓国世明大学デザイン学部教授。専門はグラフィックデザイン。一般デザイン教育、基礎デザイン、デザイン史など理論研究を行うと同時に、コンピュータグラフィックスによるデジタル時代における東洋世界観(暗明)のアートを制作。共著に『帝国美術学校と朝鮮人留学生達』(ヌンビ出版社、2005年、文化部優秀図書)、『高校国定教科書デザイン、高校深化教科書デザイン・工芸』(韓国教育部、2011、2014年)、『バウハウス以後一〇〇年』(アングラフィックス、2019年)。編著に『基礎デザイン、基礎造形thinking、基礎デザイン教科書』(アングラフィックス、2003、2010、2015年)。訳書に『デザイン学』(ドソン出版、2015年)他。

小林 昭世(コバヤシ アキヨ)

武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科教授。専門はデザイン理論。記号論を中心とするデザイン方法論およびデザイン概念の成立をめぐるデザイン史研究。情報デザインへの理論の応用。本書のテーマに関連する最近の共訳・論文に『意味論的転回――デザインの新しい基礎理論』 ( エスアイビー・アクセス、2009年)、「物語とゲームによる経験のタイムアクシス・デザイン(『横幹』6巻1号、横断型基幹科学技術研究団体連合、2012年)他。

池田 美奈子(イケダ ミナコ)

九州大学大学院芸術工学研究院准教授。専門は情報編集デザインとデザイン史、デザイン理論。雑誌・書籍の編集者としての実務経験を経て、編集の概念の拡張、理論化に取り組み、コミュニケーションやプロダクト、サービスなどのデザイン分野での応用可能性を探る。また、伝統工芸の文化と技術の継承を目指し、現代生活に適した製品デザインや伝統技術のアーカイブ化などのプロジェクトを手がける。主な編著書に『情報デザイン――分かりやすさの設計』(グラフィック社、2002年)、『カラー版日本デザイン史』(美術出版社、2003年)、『編集デザインの教科書』(日経BP社、初版1999年、第4版2015年)他。

藤崎 圭一郎(フジサキ ケイイチロウ)

デザイン評論家、編集者。東京藝術大学美術学部教授。1986年上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。1990-1992年『デザインの現場』(美術出版社)編集長。1993年よりフリーランスライターとして『BRUTUS』『Casa BRUTUS』『Design News』『朝日新聞』などにデザイン、建築関連の記事を寄稿。2010年より東京藝術大学美術学部デザイン科准教授。2016年より現職。著書に広告会社ドラフトの仕事を取材した『デザインするな』(DNP アートコミュニケーションズ、2008年)。デザイン雑誌『AXIS』にて生物学を中心に科学者を取材する「SciTech File」を連載(2017年-現在)。生命進化との比較を通じて、人間の営みとしてのデザインとは何か? を考えるのが最近の関心事。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序にかえて
1章 自由を設計するデザイン  古賀徹
2章 かたちの生成を求めてーー「形態論」の根原  板東孝明
3章 思想家によるデザイン――オットー・ノイラートの経済思想とデザインをめぐって 伊原久裕
4章  挫折のデザイン――パーソンセンタードにおける新しい主体性  山内泰
5章  デザインの実践にとって基礎論は不要か   下村萌
6章  デザインを教えることはできるのか――デザイン基礎教育について  シン・ヒーキョン
7章  意味を破綻させるデザインの可能性  小林昭世
8章  編集とデザイン――パラレルワールドが出会うとき  池田美奈子
9章  創造行為における共感と自己言及について  藤崎圭一郎
おわりに


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