海のグローバル・サーキュレーション 海民がつなぐ近代世界
価格:4,950円 (消費税:450円)
ISBN978-4-86283-346-4 C3022
奥付の初版発行年月:2023年03月 / 発売日:2023年03月上旬
大西洋海域と他の海域はどのように接続されていたのか、諸海域は相互にいかなる影響を受けたのか。碩学の海洋史家による新しい世界史への提言。D.アーミテイジ、M.レディカーの論稿も収録。
田中 きく代(タナカ キクヨ)
関西学院大学名誉教授
遠藤 泰生(エンドウ ヤスオ)
関西国際大学グローバルコミュニケーション学部教授、東京大学名誉教授
金澤 周作(カナザワ シュウサク)
京都大学文学研究科教授
中野 博文(ナカノ ヒロフミ)
北九州市立大学外国語学部教授
肥後本 芳男(ヒゴモト ヨシオ)
同志社大学グローバル地域文化学部教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序章 大西洋海域から世界の海域へ
第Ⅰ部 北大西洋から地中海、北海、インド洋へ
第1章 一九世紀初頭の北アフリカにおけるイギリス人の遭難と虜囚買い戻し
──ヒト、カネ、情報の大洋横断的循環 金澤周作
第2章 織物とタバコが繋いだ「循環」
──一八世紀末ロリアンに集った貿易商人のネットワーク 君塚弘恭
第3章 一八世紀のインドおよびマスカリン諸島に暮らすフランス人
──アジア海洋ネットワークからさぐる人、モノ、流行、理念のダイナミックな循環 ケヴィン・ル・ドゥディク(翻訳 川上耕平)
第4章 極北にいたる海の循環
──デンマークのグリーンランド植民地事業 井上光子
第5章 海のレトリックとウィルソン主義
──第一次世界大戦期のトリエステ社会民主党と多民族都市の行方 濱口忠大
コラム 1 報時球と午砲─「海のサーキュレーション」を支えるテクノロジー 石橋悠人
コラム 2 ナント王令廃止とディアスポラの民─英領北米植民地に渡ったユグノー 阿河雄二郎
コラム 3 「海」から見た独仏戦争 飯田洋介
第Ⅱ部 北大西洋海域から南大西洋へ
第6章 八月一日祭
──北大西洋海域におけるアボリショニスト・ネットワークの展開 田中きく代
第7章 アメリカにおける奴隷制即時廃止論の驚異的起源 マーカス・レディカー(翻訳 久田由佳子)
第8章 建国期合衆国の大西洋奴隷貿易
──ロードアイランド州ブリストルのド・ウルフ家を中心に 竹中興慈
第9章 海と陸の循環
──一八世紀アメリカにおける船乗りのライフサイクル 笠井俊和
第10章 デンマーク領西インド諸島におけるフリーカラードについて
──その実態と循環、そして歴史的役割を中心に 佐保吉一
コラム 4 文化の交差路、あるいは境界域としてのキューバ 山本航平
コラム 5 捕鯨船が広げた世界─ 一八~ 一九世紀のアメリカ捕鯨業 田宮晴彦
第Ⅲ部 北大西洋海域から太平洋へ
第11章 アメリカの広東貿易の開始とアストリア砦
──太平洋北西部沿岸の領有権をめぐる帝国抗争 肥後本芳男
第12章 イデオロギーとしての「海」
──マシュー・C・ペリーとその時代 遠藤泰生
第13章 内戦が生み出した国際海洋秩序
──南北戦争下の軍艦輸出問題と極東の動乱 中野博文
第14章 マレー半島、二つの漁村の現代史
──西海岸の華人漁村と東海岸の難民受け入れ漁村 田和正孝
第15章 海洋史としての世界史
──ブローデルの先に デーヴィッド・アーミテイジ(翻訳 濱口忠大)
コラム 6 北カリフォルニアに渡ったロシア人─ロス要塞を建設したトチマ人クスコフ 森永貴子
コラム 7 海の世界の技術革新─近代イギリス海軍における専門人材養成 北川涼太
コラム 8 北米の缶詰産業と日本人移民 松盛美紀子
あとがき
英文目次
索引