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ビジネスをケースで学ぶ北海道の企業3

北海道の企業3 ビジネスをケースで学ぶ

A5判 388ページ 並製
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-8329-6769-4 C3034
奥付の初版発行年月:2012年05月 / 発売日:2012年06月中旬
発行:北海道大学出版会  
発売:北海道大学出版会
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在庫あり

内容紹介

本書は北海道の企業についてケーススタディを行い、研究成果を出版している『北海道の企業』シリーズの第3集である。
 今回、掲載するのは、ノースプレインファーム、丹波屋、ツルハ、野付漁協、FUJI(贈答の富士が改名)、北海道ネイチャーセンター、江別製粉、菊水、ダテハキ、トルク精密工業、大地みらい信金、北海道ワイン、コープさっぽろなどのケーススタディである。いずれも実績のある道内研究者が担当企業等に挑んだ力作ぞろいである。
 また、今回をもって書籍化が最後となる見込みであるため、編集者である本学の松本源太郎、佐藤郁夫、森永文彦に加えて、北海道中小企業総合支援センター理事である加藤玲氏の4人で「企業経営の視点から北海道経済を観る」と題して対談を行った。この対談の表題に現れているように、本書は単なる企業のケーススタディで終わるのではなく、企業研究を通して北海道経済を考える道具として大きな役割をはたしている。
 以上のような意義の他、シリーズで取り組んだ道内研究者による企業研究の類書は他になく、大きな位置を占めている。これを書籍として北海道大学出版会から出版するのは有意義なことと考える次第である。

著者プロフィール

佐藤 郁夫(サトウ イクオ)

札幌大学経営学部教授。昭和シェル石油株式会社,(財)日本エネルギー経済研究所,北海道銀行調査部,地域企業経営研究所などを経て,現職。博士(経済学)。専門はマーケティング、社会的企業、ファイナンス。
主著『北海道産業史』<共著>(北海道大学図書刊行会,2002年),『起業教室』(中央経済社,2005年),『北海道の企業』<共編著>(北海道大学出版会,2005年),『北海道の企業2』<共編著>(北海道大学出版会,2008年),『拓銀破綻後の北海道経済』<共編著>(日本経済評論社),『観光と北海道経済』(北海道大学出版会,2008年)など

森永 文彦(モリナガ フミヒコ)

創新経営企画代表。中小企業診断士。杏林製薬(株)化学研究所,(社)北海道商工指導センター(現(公財)北海道中小企業総合支援センター),酪農学園大学環境システム学部教授を経て,現職。専門は経営戦略論,中小企業論。
主著『のびる企業の経営戦略:拡・新・資・想』〈共著〉(北海道商工指導センター,1988
年),『地域産業支援マニュアル(工業編)』〈共著〉(北海道商工会連合会,1994年),『北
海道の企業』〈共編著〉(北海道大学出版会,2005年),『北海道の企業2』〈共編著〉(北
海道大学出版会,2008年),『製造現場を変える:食品企業への「トヨタ生産方式」導入のすすめ』〈監修〉(金融機関食品産業高付加価値化推進プラザ,2009年)

松本 源一郎(マツモト ゲンイチロウ)

札幌大学経済学部教授。札幌大学経済学部卒業,北海道大学大学院博士課程修了(博士)。北海道大学経済学部助手,札幌大学経済学部講師を経て,現職。専門は理論経済学・経済政策論。日本計画行政学会理事。
主著『地方は復活する』<共編著>(日本経済評論社,2011年),『経済のサービス化と産業政策』(北海道大学出版会,2001年)など

飯沢 理一郎(イイザワ リイチロウ)

北海道大学大学院農学研究院特任教授[第2章]

宮澤 晴彦(ミヤザワ ハルヒコ)

北海道大学大学院水産科学研究院准教授[第3章]

堤 悦子(ツツミ エツコ)

北海商科大学商学部教授[第4章]

湯川 恵子(ユカワ ケイコ)

北海道工業大学未来デザイン学部人間社会学科准教授[第5章]

篠崎 恒夫(シノザキ ツネオ)

小樽商科大学名誉教授,元札幌大学経営学部教授[第6章]

佐藤 公一(サトウ コウイチ)

(株)北海道二十一世紀総合研究所調査研究部主任研究員[第7章]

綱島 不二雄(ツナシマ フジオ)

 元札幌大学経済学部教授[第8章]

佐藤 はるみ(サトウ ハルミ)

税理士,北海道工業大学非常勤講師[第9章]

加藤 玲(カトウ アキラ)

公益財団法人北海道中小企業総合支援センター常務理事・政策管理部長[第10章・座談会]

高橋 正幸(タカハシ マサユキ)

札幌国際大学スポーツ人間学部スポーツビジネス学科[第11章]

本田 康夫(ホンダ ヤスオ)

酪農学園大学農食環境学群教授[第12章]

後藤 英之(ゴトウ ヒデユキ)

有限会社エム・アシスト専務取締役,中小企業診断士[第13章]

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

シリーズ〈北海道の企業〉刊行にあたって

序 章 経営環境としての北海道
経営環境としての地域資源 /地域資源活用にみるマーケティング /経営環境としての地域資源の新たな視点 /経営環境の一つとなる観光優位性 /資源制約としての経営環境の視点 /市場制約と経営 /経営環境と技術 /人材制約の視点 /まとめ 

第1章 コープさっぽろ
――貧困脱出と食の安全を守る,人のネットワーク
1. はじめに  
2. 創業の意思決定から発展期まで  
3. 最初の経営危機  
4. 1970年代のスーパーマーケット事情  
5. 組合員活動  
6. 生き残り競争の時代  
7. 1980年代の流通業界と消費者運動  
8. 生協の再編と多角化への動き  
9. 再生への道と課題  
10. コープさっぽろの将来――まとめにかえて  

第2章 ノースプレインファーム
――酪農業「6次産業化」のトップランナー
1. はじめに  
2. ノースプレインファームの創業理念と牧場部門  
規模拡大路線との決別と乳処理業免許の取得 /「原料に勝る製品なし」に徹する牧場部門 
3. ミルクプラントを基礎に多角化戦略  
ミルクプラントの設置と牛乳販売 /事業分野多角化の推進 /順調に増大してきた売上高 
4. 雇用の場の提供と提携の深化  
地域に雇用の場を提供 /深化する横の提携 
5. 経営戦略の特徴  
6. おわりに――今後の方向性に触れて  

第3章 野付漁業協同組合
――地域資源保全・管理に立脚した協同組合企業の展開
1. はじめに  
2. 野付漁協の特徴――基礎的経営指標値の比較検討  
農協と漁協 /野付漁協の規模・特徴 
3. 水産資源の保全・管理を基礎とした地域漁業生産の発展
――基幹漁業・サケ定置網とホタテガイ桁網の展開過程  
地域漁業生産の拡大に伴うドン底からの回復 /基幹的漁業の展開過程 /定着性資源の保護・管理と環境保全対策 
4. 「譲りと協同」の精神による漁家の所得均衡化
――サケ定置網の協業化・漁業制約制度とほたて貝漁業振興会方式の確立  
サケ定置網の協業化と漁業制約制度 /ほたて貝漁業振興会方式の仕組み /信用事業を通じた相互扶助と生活改善の取り組み 
5. 地域漁業と連動した漁協経営の安定性と事業・運動の
  新たな展開  
漁協経営の収支動向 /漁協事業と組合運動の新たな展開 
6. 小  括  

第4章 江別製粉
――道産小麦のポテンシャルを活かして
1. はじめに  
2. 中小製粉会社の叢生  
製粉事業の歴史 /敗戦後の委託加工制度と中小製粉事業の新規参入機会 
3. 中小製粉業を取り巻く環境の変化  
4. 進取の気性にあふれた人たちの新しいモノへの挑戦  
顧客ニーズの探索を契機とした新ビジネス /ハルユタカの誕生とその背景 /ハルユタカの初冬まき技術の開発 
5. 地域活性化のファシリテーター  
江別製粉を中心にした,道産小麦の普及のための企画 /「麦の会」と「江別経済ネットワーク」における活動 
6. 発想の転換によるミニプラントの導入  
F-shipの開発 
7. 発信する地域とともに  
立ち上がる農山漁村・農商工連携支援施策  
8. おわりに  

第5章 菊  水
―― 「江別小麦めん」が紡ぐ地域連携
1. はじめに  
2. 菊水の歩み  
3. 小麦にこだわった菊水の商品ピラミッド  
4. 菊水の美味しさを届けるチルド物流ネットワーク  
5. 環境問題への取り組み  
6. 「江別小麦めん」を核にした地域連携  
7. 「江別小麦めん」が地域ブランドになるまで  
8. おわりに  

第6章 北海道ワイン
――二足のわらじ経営
1. 北海道ワインの位置づけ  
日本のワイン産業 /北海道のワイン産業 
2. 二足のわらじ  
ブドウ作り一家 /紳装設立 /二足目のわらじ 
3. 鶴沼の開発  
人の縁 /土地との巡り合わせ /開拓のトラブル /その後の闘い 
4. 本格的ワイナリーに向けて  
毛無山での闘い /本免許の取得 
5. 経営の現状  
経営概況 /役員構成 /出資者構成 /関連会社 
6. 戦略と理念  
製品構成 /経営理念 /営業戦略 /特殊栽培農家 /赤ワインブームの顛末
7. 合理化の道  
顕彰 /機械化の革新 /品質維持 /環境貢献 
8. 展望と課題  

第7章 北海道ネイチャーセンター
――北海道体験観光のパイオニア
1. はじめに  
2. 北海道ネイチャーセンターの概要  
有限会社然別湖ネイチャーセンターの誕生 /経営者坂本社長――大学生時代から深く観光に携わる 
3. ネイチャーセンター設立当初の状況  
4. ネイチャーセンターの成長期  
修学旅行の受け入れを契機に顧客が増加 /外国人観光客の獲得によるさらなる成長 
5. ネイチャーセンターの経営の特徴  
ネイチャーセンターの売上と顧客数の推移 /北海道のアウトドア観光事業者の基本状況 
6. ネイチャーセンターの取り組み  
通年での雇用を目指して /人材確保・育成 /旅行代理店とのつながりの強化 /福原グループ(アークスグループ)の強みを活かした展開 
7. アウトドア業界全体の底上げのために  
アウトドア観光を中核とした地域間連携の取り組み 
8. おわりに  

第8章 丹 波 屋
――創業99年の肥料問屋
1. はじめに  
2. 丹波屋の沿革と先駆的経営戦略  
創業者山内成太郎(1862~1923年)の人となりと業績 /丹波屋商会の開設から世界恐慌期まで /肥料配給統制開始(1932年)から統制廃止(1950年)まで 
3. 株式会社「丹波屋」の発足  
4. 戦後期における丹波屋の経営展開  
戦後経済安定期における急成長(1955~1961年) /農業関連総合商社丹波屋としての展開(1961~1970年) /減反政策以後の経営展開(1970年~) 
5. 丹波屋の組織運営  
6. おわりに
――商品としての「肥飼料」の特徴からみた丹波屋の発展課題  

第9章 ツルハホールディングス
――家業からイノベータへ
1. はじめに  
2. 成長の過程  
信条は「親切第一」「信用第一」 /ツルハ薬局,新しい時代 
3. ドラッグストアへの足がかり  
北海道初のセルフ販売 /医薬品,小売業を取り巻く環境 /ドラッグストアとの出合い,スケールメリットの追求 /チェーンの全国展開に向けて 
4. 内部体制の整備  
人材育成 /店舗支援体制 /資金調達 
5. 拡大戦略  
ドミナント戦略の全国展開 /ジャスコ株式会社(現イオン株式会社)との提携 /東京地区への出店 /提携・M&Aによる全国展開 
6. 最近のツルハの経営戦略  
医薬品部門 /化粧品部門 /日用品部門 /調剤薬局部門 /高齢者支援部門 /他業態等への進出 /社会貢献と福利厚生制度 
7. まとめ  
成長要因としてのドミナント式チェーン展開 /成長要因としての人事戦略 /震災後のツルハ 

第10章 FUJI
――ギフト業界の広域卸としてオンリーワン企業を目指す
1. はじめに  
2. 贈答の文化  
3. ギフト市場の特徴  
実態がつかめない /市場の多様化 
4. 描けないシナリオ  
開業の契機 /ギフトの小売 /小売から卸売へ 
5. 拡大の軌跡  
取扱商品の変化 /北海道戦争 /ニイイチ物流センター 
6. 新たなビジネスモデル  
市場が消える /機能分担 /宅配の浸透 /道外進出 
7. 戦略を支えるバックグラウンド  
経営基盤の消滅 /セーフティネット /流行は北海道から 
8. 将来への布石  
北海道物産への思い /三國ブランド /インキュベーター 
9. これから  

第11章 ダテハキ
――北の大地を歩く
1. 企業活動の沿革  
2. 事業成功の2つの要因  
商品企画・開発 /生産体制 /地方と都市のメリット・デメリット /中国での生産本格化と地の利を活かした経営 
3. 経営環境の変化と今後の方向性  
海外そして日本国内での出来事 /マーケットの変化 /さらなるメーカー化と産地の多様化 
4. 中小企業家同友会との歩みとダテハキの人材育成  

第12章 トルク精密工業
――部品メーカーとして製造業を支える企業
1. はじめに  
2. 北海道開発と産業の動向  
3. 部品メーカーとしての事業の変遷 
進出・創業期(1974~1990年代初め) /電気電子部品事業期(1991~2005年) /自動車部品事業期(2000年以降) /今後の事業としての医療機器部品事業 
4. 部品メーカーとしての社内改善活動  
加工技術を常に向上する努力 /コスト競争力を高めるための工程改善 /品質向上と環境対策の仕組みづくり 
5. おわりに  

第13章 大地みらい信用金庫
――北の金融に新しい血を
1. はじめに  
2. 信用金庫は地域中小企業のパートナー  
日本における信用金庫のプロフィール /信用金庫の特色 
3. 大地みらい信用金庫の概要  
営業地域の特性 /北海道の金融機関における大地みらい信用金庫の位置 
4. 大地みらい信用金庫の歩み  
創業期 /第二創業期 /事業安定期 /事業変革期 
5. 地域密着金融の試み  
起業家支援センターの設立 /根室産業クラスター創造研究会の取り組み /リ・スタート支援チームの発足 /地域密着金融の成功要因 
6. 今後の展望  

座談会 企業経営の視点から北海道経済を観る
北海道経済論の視点  
北海道企業の特性  
とくにマーケティングということ  
北海道という経営環境と起業  
企業活動と「地域」経済  
ビジネス・チャンスへの展望  

編者・執筆者紹介  


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