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日本の銀行業とプルーデンス銀行監督の歴史

銀行監督の歴史 日本の銀行業とプルーデンス

A5判 408ページ 上製
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-8158-1155-6 C3033
奥付の初版発行年月:2024年05月 / 発売日:2024年05月下旬

内容紹介

金融業のわが国での近代化と発展を支えた、見えざる原動力とは? 明治の草創期から戦後復興期までの史料を丹念にたどり、大蔵省検査が果たしてきた重要な役割とその変遷を、初めて明らかにする力作。今後の金融危機勃発を回避するためにも、示唆に富む。

著者プロフィール

邉 英治(ホトリ エイジ)

1977年 京都府に生まれる
2006年 東京大学大学院経済学研究科博士課程修了、博士(経済学)
現 在 横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授

著書:
Formalization of Banking Supervision: 19th-20th Centuries (Palgrave Macmillan, 2022), with M. Wendschlag and T. Giddey

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 銀行監督の起源と意義
     1 はじめに
     2 「プルーデンス」の起源について
     3 プルーデンス監督はなぜ必要となったのか
     4 本書の対象と定義
     5 史資料について
     6 本書の構成と概要

  第Ⅰ部 国立銀行時代の大蔵省検査
       —— 未完のプルーデンス監督

第1章 プルーデンス監督のあけぼの
     1 はじめに
     2 プルーデンス監督のルーツ —— アメリカ国法銀行
     3 為替会社の教訓
     4 国立銀行制度の発足と銀行検査の導入
     5 国立銀行監督の法的根拠と検査手順
     6 第一国立銀行とシャンドの実地検査
     7 シャンドとプルーデンス
     8 おわりに

第2章 国立銀行とプルーデンス監督
     1 はじめに
     2 改正国立銀行条例後の国立銀行
     3 草創期国立銀行の増資をめぐる問題
     4 国立銀行に対する大蔵省検査の実施数
     5 草創期の大蔵省検査官と検査旅程
     6 実地検査からみた通常検査の役割
     7 国立銀行の合併検査
     8 おわりに

第3章 有力国立銀行の大蔵省検査
      —— 第三十二国立銀行・第十六国立銀行のケース
     1 はじめに
     2 第三十二国立銀行の概要
     3 第三十二国立銀行と大蔵省検査の実態
     4 第十六国立銀行と大蔵省検査の実態
     5 おわりに

第4章 中堅国立銀行の大蔵省検査
      —— 第二十六国立銀行のケース
     1 はじめに
     2 第二十六国立銀行の概要
     3 第二十六国立銀行と大蔵省検査の実態
     4 大蔵省検査に対するリアクション
     5 金融環境と大蔵省検査
     6 おわりに

第5章 「華族銀行」の大蔵省検査
      ──第十五国立銀行のケース
     1 はじめに
     2 第十五国立銀行の概要
     3 第十五国立銀行と大蔵省検査の実態
     4 第十五国立銀行の人件費問題
     5 おわりに

  第Ⅱ部 普通銀行時代のプルーデンス監督

第6章 プルーデンス監督のリバーサルとリスタート
     1 はじめに
     2 普通銀行制度の誕生
     3 プルーデンス監督のリバーサル
     4 日清戦後と日露戦後の金融恐慌
     5 銀行規制の強化・検査再開の曙光
     6 第一次世界大戦の勃発と検査再開
     7 おわりに

第7章 普通銀行に対する銀行規制の出現
     1 はじめに
     2 銀行規制導入・強化の背景
     3 大蔵省を主体とする規制①(ミクロ系)
     4 大蔵省を主体とする規制②(マクロ系)
     5 大蔵省を主体とする規制③(経営系)
     6 日本銀行を主体とする規制
     7 1928年頃の銀行規制体系
     8 おわりに

第8章 戦前期プルーデンス監督の確立
     1 はじめに
     2 普通銀行のマネジメント悪化
     3 改正銀行条例とプルーデンス監督強化
     4 アメリカ銀行検査制度からの影響
     5 日本におけるプルーデンス監督の確立
     6 大蔵省検査の実施数
     7 1935年銀行検査の新方針
     8 おわりに

第9章 確立期におけるプルーデンス監督の実態
     1 はじめに
     2 大蔵省検査旅費予算と検査日程
     3 大蔵省銀行検査官の分析①(定員)
     4 大蔵省銀行検査官の分析②(リスト)
     5 大蔵省銀行検査官の分析③(実態)
     6 大蔵省検査と不良債権問題(整理状況報告書)
     7 大蔵省検査と他の銀行規制との関係
     8 合併検査としての大蔵省検査
     9 大蔵省検査と地元産業との関係
     10 おわりに

第10章 銀行条例時代における普通銀行検査の実態
      —— 第八十五銀行のケース
     1 はじめに
     2 大正ブーム期~1920年代不況期の川越市経済
     3 経営理念の変遷
     4 第八十五銀行の経営諸比率
     5 有価証券投資の特徴
     6 貸出の特徴
     7 第八十五銀行と大蔵省検査の実態
     8 リスクマネジメントの実態
     9 おわりに

第11章 昭和恐慌期における普通銀行検査の実態
      —— 西武銀行のケース
     1 はじめに
     2 昭和恐慌と秩父地方経済
     3 西武銀行の概要
     4 経営問題と環境悪化
     5 西武銀行と大蔵省検査の実態
     6 西武銀行の不良債権処理
     7 不良債権処理後の西武銀行
     8 おわりに

  第Ⅲ部 戦時から戦後へ
       —— プルーデンス監督の変容

第12章 戦時期における大蔵省検査の変容
     1 はじめに
     2 プルーデンス監督の日本的特色 —— 国際比較
     3 大蔵省検査のスリム化
     4 大蔵省検査と金融統制との関係
     5 大蔵省検査の中断
     6 おわりに

第13章 戦後復興期における大蔵省検査の改革
     1 はじめに
     2 GHQ / SCAP 主導の検査改革
     3 大蔵省検査方式の改革
     4 改革後の大蔵省検査の実態
     5 護送船団行政との関係
     6 おわりに

終 章 プルーデンス監督の形成と経済史的意義

 文献一覧
 あとがき
 初出一覧
 図表一覧
 索 引


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