在日フィリピン人社会 1980~2020年代の結婚移民と日系人
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8158-1153-2 C3036
奥付の初版発行年月:2024年05月 / 発売日:2024年05月上旬
バブル期に毎年数万人の流入をみたエンターテイナー世代から、ブラジル人に代わり急増する日系人まで、いまや幅広い世代と領域に広がり日本社会の一部となったフィリピン人たち。外国人労働者の先駆でもある一大エスニック集団の暮らしと語りに密着し、全体像を活き活きと描き出す。
高畑 幸(タカハタ サチ)
1969年生まれ
1994年 大阪外国語大学大学院外国語学研究科修士課程修了
2001年 大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程修了
広島国際学院大学現代社会学部准教授などを経て、
現 在 静岡県立大学国際関係学部教授、博士(文学)
目次
地 図
序 章 在日フィリピン人とは誰か
1 研究の目的と対象
2 統計からみる在日フィリピン人の現状
3 フィリピンの海外就労者送出政策と政策内外での人の移動
4 先行研究
5 分析枠組み —— 生活構造論的民族関係論
6 研究方法
7 本書の構成
第Ⅰ部 結婚移民
イントロダクション
第1章 在日フィリピン人女性の労働
—— 興行と介護を中心に
はじめに
1 在日フィリピン人と多様な再生産労働
2 興行と介護におけるフィリピン人
—— 労働者から定住者、定住者から労働者へ
3 労働政策外の興行ビザ
4 専門職化された介護労働
むすび
第2章 フィリピン人結婚移民の介護職への参入
—— 社会的評価獲得の手段としての介護労働
はじめに
1 介護労働の商品化
2 日本各地で暮らすフィリピン人結婚移民
3 在日フィリピン人の介護資格取得ブーム
4 在日フィリピン人介護者調査
5 在日フィリピン人介護者の事例
むすび —— 結婚移民にとっての介護職とは
第3章 在日フィリピン人の自営業者
——「主婦」となった女性たちのビジネス
はじめに
1 フィリピン人のエスニック・ビジネス
2 ビジネスの特徴と強み —— 人的・社会関係資本と機会構造
3 事例分析 —— レストラン・化粧品・英語ビジネス
むすび
第4章 在日フィリピン人の第二世代
—— 10万人を超える不可視的マイノリティ
はじめに
1 フィリピン系日本人の3つのカテゴリ
2 フィリピン系日本人の若者たち
むすび —— フィリピン系日本人にとって国籍とは何か
第5章 結婚移民に呼び寄せられた1.5世代
—— 日本は定住地か通過点か
はじめに
1 子ども移民の教育をめぐる議論 —— 同化と定住をこえて
2 移住経緯の3類型
3 子どもたちがたどった道
むすび
第6章 移民コミュニティと地域社会
—— 大都市の繁華街・名古屋市中区栄東地区の事例
はじめに
1 グローバル化する都市とフィリピン人
2 栄東地区における異種混交化と地域共生事業
むすび
第7章 結婚移民の社会統合
—— 生活史にみる集団参加の実態から
はじめに
1 在日外国人の生活構造
2 フィリピン人結婚移民の集団参加 —— 78人の語りから
むすび —— 結合的民族関係形成の場とは
第8章 結婚移民の高齢化と帰還移住の可能性
—— 老後の居場所を探して
はじめに
1 移民・結婚移民の高齢化
2 「老後」を過ごす場所とは
3 老後の親子関係と「日本人」への気兼ね
むすび
資料1 結婚移民の語り
第Ⅱ部 日系人
イントロダクション
第9章 フィリピン日系人の移住経路
—— 仲介業者が作った2つのルート
はじめに
1 フィリピンから焼津へ —— 在比日系社会と日本をつなぐルート
2 焼津のフィリピン日系人
むすび
第10章 東海地方におけるエスニシティ構成の逆転現象
—— 静岡県焼津市の事例
はじめに
1 金融危機後の外国人の生活と労働
2 フィリピン人の居住の変容
—— 過疎地での散在から工業都市での小規模集住へ
3 焼津市の事例
4 「作られた集住」と「二重の殻」
むすび
第11章 地方都市の労働市場における競合
—— ブラジル日系人とフィリピン日系人との関係
はじめに
1 東海地方におけるブラジル人の減少とフィリピン人の増加
2 焼津のブラジル人とフィリピン人 —— 教育的課題を中心に
むすび
資料2 日系人の語り
終 章 移動と共同性の生存戦略
1 在日フィリピン人とは、どのような人たちか
2 結婚移民と日系人の違いは何か
3 彼女ら/彼らはいかにして日本社会の一部となってきたか
4 日本、フィリピン、その他の国に広がる生活構造
5 おわりに —— 生活構造から地域社会の多文化共生へ
参考文献
あとがき
初出一覧
図表一覧
索 引