道徳はなぜ価値判断の問題になるのか ヘアの道徳哲学と好敵手たち
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8158-1143-3 C3012
奥付の初版発行年月:2023年12月 / 発売日:2023年12月上旬
我々がもつべき生き方の自由と、普遍的規範を求める理性──。価値観の林立する現代において溝を深めるこの二つは、果たして調停しうるのか。ヘアの哲学を軸にサールやトゥールミンらの議論も検討し、共同の学びに焦点を置いた倫理を提示、Why-be-moral?問題に新たな答えを与える野心作。
冨田 絢矢(トミタ ジュンヤ)
1991年 愛知県名古屋市に生まれる
2013年 南山大学法学部卒業
2022年 上智大学大学院法学研究科博士後期課程修了
現 在 上智大学法学部特別研究員、共栄大学ほか非常勤講師、博士(法学)
目次
はじめに
第Ⅰ部 ヘア
第1章 従来の『道徳の言語』理解
—— レトロスペクティヴな同定
1 批判者たち
2 解釈者たち
3 指図性と普遍化可能性
3.1 指図性
3.2 普遍化可能性
第2章 『道徳の言語』読解(前編)
1 《命令にまつわる3つの議論》
1.1 《論証計画の宣言》
1.2 《陳述と命令の区別》
1.3 《導出にまつわる議論》
1.4 解釈と検討
2 《実践的推論にまつわる2つの議論》
2.1 《科学と道徳のアナロジー》
2.2 《実践的三段論法の議論》
2.3 解釈と検討
3 《学習にまつわる2つの議論》
3.1 《学習と決定》
3.2 《道徳の停滞と衰退》
3.3 解釈と検討
4 小 括
第3章 『道徳の言語』読解(後編)
1 《価値語の意味にまつわる3つの議論》
1.1 《改定・自然主義的誤謬》
1.2 《意味と判定規準の関係》
1.3 《評価的意味と記述的意味》
1.4 解釈と検討
2 《価値判断にまつわる2つの議論》
2.1 《価値判断の目的》
2.2 《引用符付きの使用の危険》
2.3 解釈と検討
2.4 補論 —— 普遍化可能性と記述的意味
3 《道徳についての2つの議論》
3.1 《道徳と普遍化可能性》
3.2 《個物排除の要件》
3.3 解釈と検討
4 『道徳の言語』解釈・確定編
4.1 『道徳の言語』とヘアの道徳哲学体系
4.2 残される問題
第4章 自由と理性
1 道徳的合意要件の中身
1.1 マッキーの「三段階」
1.2 契約主義的互換耐性の要件
1.3 寛容の要件
1.4 小 括
1.5 補論 —— ヘアと選好功利主義
2 アンチノミーの打ち立てと、それが対峙する難問群
2.1 自由と理性のアンチノミー
2.2 難問群
3 第Ⅰ部総括
第Ⅱ部 ヘアと好敵手たち
第5章 ヘアとサール
1 サール
1.1 自然主義的誤謬の誤謬
1.2 構成的規則
1.3 意味行為
1.4 制度的事実
1.5 「べき」の導出
1.6 小 括
2 サールを踏まえたヘアの改定
2.1 ヘアによる応答
2.2 普遍化可能性と構成的規則
2.3 小 括
3 幾つかの補論
3.1 《構成的規則優位の誤謬》について
3.2 サールの縮小的改釈の危険
3.3 習俗との関係について
第6章 ヘアとトゥールミン
1 トゥールミンの倫理の論理
1.1 《内的アプローチ》—— 主観説の誤謬
1.2 倫理の《内的論理》
1.3 義務論的論理と目的論的論理の関係
2 トゥールミンの批判的検討 —— 2つの人格分裂(緩さ)
2.1 人格分裂(緩さ)その1 —— 2つの論理の棲み分け
2.2 人格分裂(緩さ)その2 —— 目的論的論理を装った義務論的論理
3 ヘアの批判的検討
3.1 《内的アプローチ》の限界?
3.2 《内的論理》を正当化する
3.3 価値判断の《基底的な論理》を定式化する
4 アンチノミーの突破口
第7章 ヘアとマッキー
1 マッキー
1.1 《目的からのアプローチ》
1.2 解釈と検討
1.3 現実的道徳の議論
2 マッキーの批判的検討
2.1 危害原理の限界と、《現実の合意》という疑似概念
2.2 「目的」について
3 《ヘア主義》
3.1 《エゴイズム》と弱い解答
3.2 スキャンロンの洞察
3.3 契約主義
結 章
1 ヘアの道徳哲学と好敵手たち
2 再訪:自由と理性のアンチノミー
3 ヘア主義の道徳哲学体系
4 道徳はなぜ価値判断の問題になるのか
文献目録
あとがき
索 引