近世日琉関係の形成 附庸と異国のはざまで
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-8158-1142-6 C3021
奥付の初版発行年月:2023年12月 / 発売日:2023年12月下旬
近世日本の外部にして島津氏の「属国」—— 琉球王国の両義的地位はいかに確立したのか、幕府と琉球のチャネルたる薩摩を主軸として立体的かつ動態的に把握。琉球使節の実態や海禁・華夷秩序との関係に新たな光をあて、朝鮮との比較も視野に日琉関係の全体像を鮮やかに一新する。
木土 博成(キド ヒロナリ)
1987年生まれ
2015年 京都大学大学院文学研究科博士後期課程退学
大阪歴史博物館学芸員、京都大学大学院文学研究科助教を経て、
現 在 九州大学大学院比較社会文化研究院准教授、博士(文学)
目次
序 章 幕府・薩摩藩・琉球が織りなす日琉関係
1 古琉球から近世琉球へ
2 研究史 —— 琉球の地位にかかわる3つの潮流
3 本書の立場 —— 幕・薩・琉の政治力学の重視
4 本書の課題 —— 三者関係の展開と「異国」・「附庸」
5 本書の2つの分析視角 —— 日朝関係と薩摩藩政
6 本書の構成
第Ⅰ部 琉球使節の実相
第1章 琉球使節の成立
はじめに
1 「附庸」の確定 —— 寛永11年の琉球高をめぐる動向
2 寛永21年の江戸上りに向けた先例調査
3 「異国」の確定 —— 寛永21年の江戸上り
おわりに
第2章 後水尾上皇・明正天皇の前で奏楽した琉球人
はじめに
1 先行学説の検証
2 寛永13年の御前奏楽
おわりに
第3章 琉球使節にかかわる大名課役
—— 淀川での川御座船の馳走
はじめに
1 課役大名の復元と分析
2 課役の実現過程
おわりに —— 琉球船役の特質
第4章 天保3年琉球使節の淀川通航
——『儀衛正日記』より
はじめに
1 「江戸立」の意味合い
2 大坂の蔵屋敷に至るまで
3 淀川の遡上
おわりに
第Ⅱ部 近世日本からみた琉球の地位
第5章 唐船の薩摩着岸禁止
はじめに
1 慶長11~元和2年の薩摩における唐船貿易
2 家光政権期の唐船警戒
3 寛永11年5月29日付島津家久宛老中奉書の背景
おわりに
第6章 海禁政策は琉球を対象とするか
はじめに
1 琉球へ波及したキリシタン禁制
2 薩摩と琉球を往来する人々
3 琉球を通じた物資の出入り
おわりに
第7章 朝鮮国・琉球国の相対的地位の変遷と確定
はじめに
1 室町~江戸初期の中央政権による朝鮮国・琉球国の位置づけ
2 寛永末年に確定した朝鮮国と琉球国の序列
おわりに
第8章 朝鮮・琉球の使節をみつめた藩士
—— 渡辺善右衛門の記録と思索をたどる
はじめに
1 渡辺善右衛門が目にした朝鮮信使
2 琉球使節との比べ見
おわりに
第Ⅲ部 薩摩藩政の中の琉球
第9章 伊勢貞昌の政治と学問
はじめに
1 島津家の親族として
2 天道・仁道にもとづく当主指南
3 琉球高の披露にみる政治手腕
おわりに
第10章 「附庸」の語感
はじめに
1 「嘉吉附庸」説
2 2つの語感
おわりに
第11章 幕薩琉関係における泡盛
はじめに
1 献上における初出
2 諸史料にみる「泡盛」
3 「泡盛」の由来
4 「焼酎」「琉球酒」から「泡盛」へ
5 島津氏が泡盛を献上した意図
おわりに
第12章 島津氏の参勤に対する大坂「船除」
はじめに
1 島津氏の参勤
2 「船除」再開一件
3 与力が語る「船除」再開の経緯・意義
おわりに
第13章 宝永・正徳期の幕薩琉関係
はじめに
1 宝永・正徳期に至る道程
2 宝永7年の琉球使節にみる薩摩藩の論理
3 正徳期の中山王と薩摩藩
おわりに
終 章 「附庸」と「異国」の時代
1 近世琉球の地位の確定
2 江戸幕府の対外政策と琉球支配
3 「附庸」と「異国」の総体的把握
4 朝鮮と比べたときの琉球の地位
5 「日本型華夷意識/秩序」と琉球
6 前後の時期との連続・断絶
注
あとがき
初出一覧
参考文献
図表一覧
索 引