日本帝国圏鉄道史 技術導入から東アジアへ
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8158-1135-8 C3021
奥付の初版発行年月:2023年10月 / 発売日:2023年10月下旬
東アジア鉄道網の基盤をとらえる
帝国日本の「骨格」はいかに形成されたのか。欧米から吸収した最先端の鉄道技術が朝鮮・満洲といった外地において固有の仕方で実践され、戦後へとつながる一大鉄道ネットワークの構築に至る歩みを、技術者など人的資源の移転を軸に隅々まで捉え、比類なきスケールで鉄道史を描き直す。
沢井 実(サワイ ミノル)
1953年生
1978年 国際基督教大学教養学部卒業
1983年 東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程単位取得退学
大阪大学教授、南山大学教授などを経て
現 在 南山大学特任研究員、大阪大学名誉教授、博士(経済学)
主 著
『日本鉄道車輌工業史』(日本経済評論社、1998年)、『通商産業政策史9 産業技術政策』(通商産業政策史編纂委員会編、経済産業調査会、2011年)、『近代日本の研究開発体制』(名古屋大学出版会、2012年、日経・経済図書文化賞、企業家研究フォーラム賞受賞)、『近代大阪の工業教育』(大阪大学出版会、2012年)、『近代大阪の産業発展』(有斐閣、2013年)、『八木秀次』(吉川弘文館、2013年)、『マザーマシンの夢』(名古屋大学出版会、2013年)、『機械工業』(日本経営史研究所、2015年)、『帝国日本の技術者たち』(吉川弘文館、2015年)、『日本の技能形成』(名古屋大学出版会、2016年)、『久保田権四郎』(PHP研究所、2017年)、『見えない産業』(名古屋大学出版会、2017年)、『海軍技術者の戦後史』(名古屋大学出版会、2019年)、『現代大阪経済史』(有斐閣、2019年)、『技能形成の戦後史』(名古屋大学出版会、2021年)、『輸出立国の時代』(名古屋大学出版会、2022年)
目次
序 章 帝国日本における鉄道技術の展開
第Ⅰ部 鉄道技術の導入と定着
第1章 鉄道技術者の海外留学
—— 技術学習の諸相
はじめに
1 機関車 —— 朝倉希一(1883~1978)
2 電気技術 —— 井上昱太郎(1878~1955)
3 橋梁 —— 田中豊(1888~1964)
4 隧道 —— 池原英治(1887~1932)
5 高架鉄道 —— 中山忠三郎(1893~1950)
6 客貨車 —— 小坂狷二(1888~1969)
おわりに
第2章 鉄道運輸専門家の誕生
—— 岸本熊太郎のアメリカ留学
はじめに
1 留学まで
2 アメリカ留学の日々
3 帰国後の岸本熊太郎
4 鉄道省退職後
おわりに
第3章 電気機関車の国産化過程
—— 共同設計方式への道程
はじめに
1 民間メーカーにおける電気機関車の製作
2 鉄道院・省による外国製電気機関車の調達と院・省内工場での内製
3 山下善太郎の役割
4 共同設計方式の展開
5 1930年代における国鉄電気機関車開発
おわりに
第4章 ディーゼル機関車の国産化
—— 1930年代から60年代にかけて
はじめに
1 民間メーカーによるディーゼル機関車生産と輸入
2 国鉄によるディーゼル機関車の開発
3 戦後における試作と開発
おわりに
第Ⅱ部 鉄道技術の伝播と経営展開
第5章 吉敦鉄道の建設過程
はじめに
1 工事起工まで
2 工事の進捗状況
3 榊谷仙次郎からみた吉敦鉄路工事
4 営業運転開始後の吉敦鉄路
5 吉敦鉄路の満鉄委託
おわりに
第6章 大連機械製作所の技術と経営
—— 満鉄指定工場の軌跡
はじめに
1 1910年代の動向
2 1920年代の労使関係
3 1920年代の経営と企業間競争
4 1930年代の動向
5 戦時下の経営
おわりに
第7章 龍山工作の技術と経営
—— 朝鮮総督府鉄道局指定工場の軌跡
はじめに
1 経営発展の概要
2 戦時下の経営
おわりに
第8章 帝国圏鉄道における日本人技術者の配置と技能者養成
—— 朝鮮総督府鉄道局を中心に
はじめに
1 日本人技術者の配置
2 日本で学んだ外国人技術者の配置
3 朝鮮総督府鉄道局工作課・鉄道工場の幹部技術者・職員の履歴と車輌修繕
の実際
4 朝鮮総督府鉄道局機関区長・保線区長の履歴
5 鉄道工場鉄道手の履歴
6 技能者養成の実態 —— 朝鮮総督府鉄道従事員養成所の事例
おわりに
第9章 ソ連鉄道工場への鉄道省技術者派遣
—— 1930年3月~31年9月
はじめに
1 加藤仲二(1887~1963)の足跡
2 ソ連視察団の鉄道工場訪問
3 技師派遣をめぐる日ソ交渉
4 ソ連鉄道工場での技術指導とその成果
おわりに
第10章 満鉄鉄道技術研究所の組織と活動
はじめに
1 組織の変遷
2 主要研究員の活動
3 耐寒・酷寒対策にかかわる試験研究
4 研究所における試験研究の特徴
おわりに
第11章 戦時下における華北車輌の経営実態
はじめに
1 華北車輌の生産実績と損益
2 1943年度の経営実態
3 青島工場の実態
おわりに —— 終戦直後の華北車輌
終 章 帝国日本と鉄道技術
あとがき
図表一覧
索 引