チョコレート・タウン 〈食〉が拓いた近代都市
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-8158-1132-7 C3052
奥付の初版発行年月:2023年09月 / 発売日:2023年09月下旬
チョコレート工場を中核として築かれた新たな都市「チョコレート・タウン」。甘くて苦い嗜好品の大量生産・輸送・消費・広告は、どのような空間や生活をもたらしたのか──。欧米の代表的事例から、外来の〈食〉が〈住〉を刷新していく歴史をトータルに描きだす。
片木 篤(カタギ アツシ)
1954年 大阪府に生まれる
1977年 東京大学工学部建築学科卒業
同大学院及びプリンストン大学大学院修士課程修了
ケンブリッジ大学ピーターハウス・カレッジ客員研究員の後
1987年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、博士(工学)
名古屋大学大学院環境学研究科教授(建築・環境デザイン)などを経て
現 在 名古屋大学名誉教授
著訳書:
『イギリスの郊外住宅―中流階級のユートピア』(住まいの図書館出版局、1987年)、『イギリスのカントリー・ハウス』(丸善、1988年)、『テクノスケープ―都市基盤の技術とデザイン』(鹿島出版会、1995年)、『近代日本の郊外住宅地』(共編著、鹿島出版会、2000年)、マンフレッド・タフーリ,フランチェスコ・ダル・コ『近代建築1』『近代建築2』(訳、本の友社、2002・2003年)、『アーツ・アンド・クラフツの建築』(鹿島出版会、2006年)、『オリンピック・シティ 東京1940-1964』(河出書房新社、2010年)、『イギリスの産業遺産』(写真:増田彰久との共著、柏書房、2017年)、『私鉄郊外の誕生』(編著、柏書房、2017年)他
目次
序 章 新しい〈食〉
—— チョコレートの誕生
1 外来ノンアルコール飲料=コーヒー・茶・カカオの受容
2 チョコレート製造の機械化
——「飲む」ココアと「食べる」チョコレート
第1章 「労働者都市シテ・ウーヴリエール」の精華
—— ムニエ社のノワジエル
1 ジャン=アントワーヌ=ブリュトゥス・ムニエ
——「薬用」板チョコレートの製造・販売
2 エミール=ジュスタン・ムニエ
—— 薬局からチョコレート・メーカーへの転業
3 ノワジエル・チョコレート工場
4 ノワジエル労働者都市
5 エミール=ジュスタン・ムニエの邸宅と諸活動
6 ノワジエル・チョコレート工場とビュイソン農場の発展
7 ムニエ三兄弟の邸宅と諸活動
8 広告の揺籃 —— 万国博覧会と「少女」像
9 ムニエ社の凋落
第2章 「ピクチュアレスク・ヴィレッジ」の後継
—— キャドバリー・ブラザーズ社のボーンヴィル
1 クエーカー教徒の食料雑貨商
3 J・S・フライ&サンズ社による板チョコレートの発明
3 キャドバリー・ブラザーズ社の台頭
——「ココア・エッセンス」と「ファンシー・ボックス」
4 ボーンヴィルへの移転 —— 工場と企業主邸
5 新商品の開発
——「デアリー・ミルクチョコレート」と「ボーンヴィル・ココア」
6 ボーンヴィル・ヴィレッジ —— 当初地所の開発
7 キャドバリー・ブラザーズ社の「外」への発展とJ・S・フライ&サンズ社
との合併
8 戦間期の商品と広告 —— 「コップ一杯半の全乳」と「庭園内の工場」
9 ボーンヴィル・ヴィレッジ —— 新規地所の開発
第3章 「田園都市ガーデン・シティ」への階梯
—— ラウントリー社のニュー・イアーズウィック
1 後発のH・I・ラウントリー社
——「結晶ガム・パスティール」と「エレクト・ココア」
2 ハックスビー・ロードへの工場移転とラウントリー社への改組
3 ミルク・チョコレートでの惨敗
4 ジョゼフ・ラウントリーの節酒論とシーボーム・ラウントリーの貧困論
5 パーカー&アンウィンの住宅論
6 ニュー・イアーズウィック —— 第一次世界大戦前の開発
7 ジョゼフとシーボーム・ラウントリーの邸宅
8 ラウントリー社の躍進とハックスビー・ロード工場の拡張
9 ニュー・イアーズウィック —— 第一次世界大戦後の開発
第4章 もう一つの「都市美シティ・ビューティフル」
—— ハーシー・チョコレート社のハーシー
1 フィラデルフィアの建設とプロテスタント諸派の移民
2 ハーシー・チョコレート社の創設
3 2つの万国博覧会 —— 食品工業の勃興と新しい都市像
4 都市美運動の展開
5 プルマンの「失敗」と以後の工場町
6 チョコレート・タウン、ハーシーの建設
7 セントラル・ハーシーの建設と「狂騒の20年代」
8 ハーシーにおける「大建設事業」
9 マーズ社への協力と競合
終 章 チョコレート・タウンと「近代都市モダン・シティ」
1 チョコレート・タウンの都市・建築デザイン
2 チョコレート・タウン以降の都市計画
—— 田園都市・田園郊外からニュータウンへ
付 章 チョコレートの〈衣〉と「衣服改良ドレス・リフォーム」
1 チョコレートの〈衣〉とショコラティエールの〈衣〉
2 清潔な白〈衣〉—— 綿服と石鹼
3 子供服の流行と児童画・絵本の影響
4 「衣服改良」運動の展開
5 アフターヌーン・ティー ——〈衣〉〈食〉〈住〉のラッピング
あとがき
注
参考文献
図版一覧
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