皇室財政の研究 もう一つの近代日本政治史
価格:6,930円 (消費税:630円)
ISBN978-4-8158-1126-6 C3021
奥付の初版発行年月:2023年07月 / 発売日:2023年07月中旬
ヴェールに覆われた
全体像を解き明かす
御料地経営や証券投資、恩賜などの経済・財政の展開から皇室の公私や民衆との関係を大きく位置づけなおすとともに、国務と並び立つもう一つの国制の体系を浮かび上がらせる。戦後の皇室が抱える葛藤も照らし出す、刮目の成果。
加藤 祐介(カトウ ユウスケ)
1986年生まれ
2017年 一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了
北海学園大学法学部講師等を経て、
現 在 一橋大学大学院社会学研究科講師、博士(社会学)
目次
凡例
序 章 もう一つの近代日本政治史
1 先行研究
2 本書の視角
3 本書の構成
第I部 皇室財政の制度と実態
第1章 皇室財政の確立
――明治期――
はじめに
1 緊縮財政の模索――1888~1893年度
2 財政膨張への転換と渡辺千秋の改革構想――1894~1904年度
3 皇室費の増額と皇室法の整備――1905~1913年度
おわりに
第2章 皇室財政の展開
――大正・昭和期――
はじめに
1 大正デモクラシーへの財政的対応――1914~1927年度
2 「事務調査会」の設置と昭和初期の行財政改革――1928~1936年度
3 総力戦の中の皇室財政――1937~1945年度
おわりに
第II部 皇室財産をめぐる法と政治
第3章 皇室財産課税問題の展開
――1890〜1920年――
はじめに
1 皇室財産課税問題をめぐる内閣と宮内省の対立
2 1903~1907年の国制改革と法解釈の統一
3 問題の表出と下賜金慣行の形成
おわりに
第4章 御料農地経営の展開
――1889〜1918年――
はじめに
1 問題の概観
2 御料農地経営と宮内省御料局(帝室林野管理局)
3 御料地調査委員会における論議と御料農地処分方針の決定
おわりに
第5章 御料地処分政策の体系化
――1920〜1925年――
はじめに
1 静岡県の請願と宮内省の初期対応
2 静岡県への御料地払い下げをめぐる宮内省内の対立
3 御料地処分政策の体系化と静岡県への御料地払い下げ
おわりに
第III部 御料地から見える近代天皇制
第6章 御料農地における争議
――北海道上川郡神楽村の事例――
はじめに
1 前史と前提
2 争議の発生
3 争議の激化から妥協の成立まで
4 紛争の継続と最終的決着
おわりに
第7章 御用邸地をめぐる諸主体
――神奈川県足柄下郡小田原町の事例――
はじめに
1 明治期における小田原城址地をめぐる諸主体
2 関東大震災後における御料地払い下げ問題の展開
3 地域住民による濠埋め立て反対運動と最終的決着
おわりに
終 章 近代天皇制の構造とその遺産
1 近代天皇制の構造
2 補遺と展望
注
あとがき
初出一覧
図表一覧
人名索引
事項索引