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信用システムの貨幣史中央銀行はお金を創造できるか

中央銀行はお金を創造できるか 信用システムの貨幣史

A5判 234ページ 上製
価格:5,940円 (消費税:540円)
ISBN978-4-8158-1125-9 C3033
奥付の初版発行年月:2023年06月 / 発売日:2023年06月上旬

内容紹介

社会に深く浸透している経済学の「常識」が、
いかに貨幣の実態を捉えそこね、
不合理な判断や施策を生み出してきたか、
イギリス金融史の精緻な分析をもとに鋭く実証。
近代的貨幣の生成プロセスを「信用」の次元から描き直すことで、
MMTにもつながる素朴な認識を覆し、政策の指針を示す。
金融政策の再構築にむけて

著者プロフィール

金井 雄一(カナイ ユウイチ)

1949年 岐阜県に生まれる
1973年 名古屋大学経済学部卒業
1981年 名古屋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
佐賀大学教育学部助教授、名古屋大学大学院経済学研究科教授などを経て
現 在 名古屋大学名誉教授、経済学博士
著書:
『イングランド銀行金融政策の形成』(名古屋大学出版会、1989年、RA版2022年)
『ポンドの苦闘』(名古屋大学出版会、2004年)
『ポンドの譲位』(名古屋大学出版会、2014年)
『世界経済の歴史』(共編、名古屋大学出版会、2010年、第2版2020年)他

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 金融政策の前提を疑う
    ――外生説批判の必要性
  1 銀行券は印刷機で増やせるのか
  2 外生説と内生説
  3 外生説と内生説のはてしない対立
  4 対立はなぜ決着しないのか
  5 本書の目的と構成――信用先行視点を導入して

 第I部 貨幣内生の現象――イギリス金融史の実態

第1章 通貨論争期における金準備と銀行券流通
  1 通貨論争とピール銀行法の成立
  2 ピール銀行法下の実態
  3 1847年恐慌後のピール銀行法とイングランド銀行

第2章 第一次大戦期のカレンシー・ノート発行
  1 1914年恐慌とカレンシー・ノート発行
  2 大戦中のカレンシー・ノート増加
  3 大戦後のカレンシー・ノート統合

第3章 両大戦間期における金本位復帰と金本位放棄
  1 金本位復帰以前と以後の銀行券流通
  2 金本位放棄以前と以後の銀行券流通
  3 両大戦間期における預金通貨も含む貨幣流通

第4章 額面別・地域別流通に現れる銀行券の内生性
  1 銀行券の額面別還流様相
  2 銀行券の支店別・額面別流通額

 第II部 貨幣内生の根源――振替決済システム形成と信用先行

第5章 物々交換神話の解体と信用先行視点の導入
  1 貨幣が先か、信用が先か
  2 ヤップ島の決済システムと経済学者の信用先行論受容
  3 イマジナリー・マネーによる決済
  4 信用先行視点の必要性――従来の研究における弱点

第6章 振替決済システムの形成とロンドン金融市場
  1 西ヨーロッパにおける振替決済システムの形成
  2 アムステルダム銀行とバンク・マネーによる振替決済
  3 ゴールドスミス銀行とロンドン決済システムの形成

第7章 イングランド銀行と預金・銀行券の普及
  1 ランニング・キャッシュ手形
  2 清算簿
  3 銀行券額面の印刷
  4 預金・銀行券と振替決済

第8章 振替決済システムの発展と銀行券の現代化
  1 手形交換所の生成――振替決済システムの発展①
  2 「銀行の銀行」への道――振替決済システムの発展②
  3 銀行券の現代化
  4 銀行券の不換化

補 論 MMTにおける内生説・外生説の混在
  1 MMTへの疑問
  2 国債発行における信用先行
  3 振替決済システムも信用先行も視野にない内生説

終 章 天動説から地動説へ
    ――振替決済システムと信用先行による内生的貨幣供給
  1 振替決済システムと預金・銀行券
  2 狭義および広義の振替決済――支払指図書としての銀行券
  3 不換国際通貨の債務性
  4 信用先行視点の帰結
  5 資本主義の「金融化」をこえて

  あとがき
  参考文献
  図表一覧
  索引


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