名古屋大学の歴史 1871~2019 下
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-8158-1064-1 C0000
奥付の初版発行年月:2022年03月 / 発売日:2022年04月中旬
1990年代以降、大きな変化を遂げた「名大」。その複雑な全体像を初めて描き出す。大学改革とは何だったのか。なぜノーベル賞受賞者が続出したのか。大学はどこへ向かうのか――。下巻では、教育・研究体制の大改革から、国立大学法人化を経て、「東海国立大学機構」設立までの展開を跡づける。
齋藤 芳子(サイトウ ヨシコ)
高等教育研究センター助教
榊原 千鶴(サカキバラ チヅル)
男女共同参画センター教授
恒川 和久(ツネカワ カズヒサ)
大学院工学研究科教授
堀田 慎一郎(ホッタ シンイチロウ)
東海国立大学機構大学文書資料室特任助教
松尾 清一(マツオ セイイチ)
総長、東海国立大学機構長
吉川 卓治(ヨシカワ タクジ)
大学院教育発達科学研究科教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
凡例
第三編 変貌する名古屋大学 1990~2003
第8章 教育・研究体制の大改革
1 教養部の廃止と四年一貫教育の開始
大学設置基準の大綱化/全学的な教養部改革の開始/「総合学術部・総合学術研究科」案/大学院兼担講座の設置/「学部・研究科構想」/揺れ動く改革構想/独立研究科人間情報学研究科の創設/情報文化学部の創設/四年一貫教育実施体制の構築/四年一貫教育の開始
2 部局の再編と大学院重点化
名大の大学院整備充実方針/学部の大学院重点化・大講座化/環太平洋研究センター構想から国際開発研究科へ/多元数理科学研究科の設置/国際言語文化研究科の設置/附置研究所の改組/大幸キャンパスの組織再編/理工科学総合研究センターの設置/「分子不斉研究ユニット」から物質科学国際研究センターへ/その他の学内共同利用施設の整備/自己点検・評価、外部評価の始まり
第9章 基幹的総合大学の研究
1 競争的研究資金の拡充
科学研究費の変容/研究費の大型化/教育と研究の融合/間接経費の導入
2 先端研究の基盤環境
国際的な研究交流/部局技術部設置から全学技術センターへ/研究センターの役割変容/研究専念組織の登場―高等研究院の発足―
3 産学官連携の強化
産学共同研究の萌芽/産学連携を育てる施設/大学からの技術移転/知財の戦略と展開/全学的支援へ
4 国際的研究への展開
国際的共同研究の進展/国際協力への取り組み/国際的評価の舞台へ/2001年ノーベル化学賞に輝く
5 研究成果の発信
名大トピックス発刊/情報発信体制の全学的整備/部局広報誌/広報を超えて
第10章 学生生活とキャンパスの変容
1 バブル崩壊後の名大生
入試制度と定員・入学者の動向/週休二日制下の名大生/娯楽化が進む名大祭/スポーツと体育会/開かれたキャンパスの危機/「就職氷河期」における卒業生の進路
2 国際性豊かな学風の確立
外国人留学生の激増/留学生受け入れ体制の整備/NUPACEの創設/学術交流協定の増加/AC21の設立/国際性豊かな学風へ
3 キャンパスの再開発
鶴舞キャンパスの再開発/東山キャンパス再開発の必要性/初めてのキャンパスマスタープラン/国立大学等施設緊急整備五か年計画とキャンパスマスタープラン2001/地下鉄の開通/耐震工事の進展とグリーンベルト周辺建物の再生/先端的かつ記念碑的研究施設の整備
第11章 法人化への道
1 理念の確立と法人化の準備
国立大学法人化への動き/組織改革検討委員会の設置/学術憲章の制定とアカデミックプラン/法人化を見据えての検討へ/運営諮問会議/名大の将来を語る会
2 法人化に向けての組織再編
教養教育院の設立―全学共通科目から全学教育科目へ―/高等研究院の設置/文理融合型大学院の設置(1)―環境学研究科―/文理融合型大学院の設置(2)―情報科学研究科―/総合研究資料館から博物館へ/情報連携基盤センターの設置/男女共同参画室の設置/共通基盤組織の整備/全学同窓会の発足とその活動
第四編 法人化後の名古屋大学 2004~2019
第12章 国立大学法人名古屋大学、そして東海国立大学機構へ
1 法人化後の大学運営
法人化後の執行体制/教育研究評議会と経営協議会/総長の権限と選考方法/事務組織と運営支援組織/中期目標・中期計画と多元的な評価/名大における中期目標・中期計画の策定/大学収入の変容
2 教育・研究体制の見直し
専門職大学院構想と法科大学院の設置/急速に進む教育研究組織の再編/創薬科学研究科の設置/学部・研究科の改組と図書館の新たな試み
3 世界卓越型大学への改革
さらなる国立大学改革への動き/教授会の位置づけ、総長選考方法の改訂/松尾清一総長のガバナンス・マネジメント改革/指定国立大学法人の指定/東海国立大学機構へ
第13章 世界屈指の大学への道
1 持続可能な社会を目指して
問題解決型研究―エコトピア科学の創始と展開―/博士人材の育成とキャリア支援/公正研究を目指して/未来を創る―COI未来社会創造機構―
2 日本屈指から世界屈指の研究を
研究推進室の設立/国際産学連携/URA導入と学術研究・産学官連携本部の設置/待望のWPI始動/共同研究・共同利用の充実/国際的活動を率いる
3 続出するノーベル賞
2008年ノーベル物理学賞/2008年ノーベル化学賞/2014年ノーベル物理学賞
4 人文・社会科学研究への評価の高まり
西洋中世史の探究、そしてCOE拠点リーダーへ/世界へ発信する社会思想史/越境する経済史/労働経済学研究の深化
第14章 名古屋大学からNagoya Universityへ
1 グローバル大学への道
国際化推進プランの策定/グローバル30/名大の取り組み/国際教育交流本部の設置/「アジアのハブ大学」を目指して
2 国際化の諸相
受け入れ留学生の推移/さらに増加する学術交流協定/海外に渡る名大生たち/国際コンソーシアムの重層化/アジア法整備支援事業の展開/博士課程教育リーディングプログラム/アジアサテライトキャンパス学院/海外拠点の拡大
第15章 連携と貢献
1 産学官連携体制の充実
大学発ベンチャーの育成/ベンチャーファンドの設立/多様化する産学官連携/学生が取り組む起業
2 社会とのつながりのなかで
法人化後の名大と地域社会・大学コミュニティ/ホームカミングデイ/名古屋大学基金の創設/創立・創基記念事業とNU MIRAI /社会からの様々な支援/地域・大学の防災と減災
3 男女共同参画への取り組み
ワークライフバランス促進支援/女性教員増員策/社会連携/女性リーダー育成/ジェンダー平等
第16章 最近の学生生活とキャンパス
1 法人化後の名大生
入学者の動向/学年暦の改編/目的意識と満足度/経済状況/近年の名大祭/名大生アスリートの活躍/卒業生の進路
2 現在のキャンパス環境へ
キャンパスマスタープランの刷新とマネジメント/豊田講堂の全面改修/再開発の完成を迎えた鶴舞キャンパス/大幸キャンパスの再出発/東山キャンパス東側理系エリアの変貌/リサーチパーク(旧プラズマ研究所跡地)の再開発整備/福利厚生施設やコモンスペースの充実/多様な手法による新たな施設の整備/教職協働による先進的な施設の整備と運用/世界水準のサステナブルキャンパスに向けて
終 章 これからの名古屋大学
世界と日本の国立大学の課題/名古屋大学が目指す目標とビジョン/世界屈指の研究成果の創出/国際水準の教育とキャンパスの国際化/ TOKAI-PRACTISSとデジタルユニバーシティ構想/新法人下のガバナンスの確立
あとがき
参考文献
年表
資料
(上巻目次)
序 文
第一編 名古屋帝国大学創立までと草創期 1871~1949
第1章 創基から官立大学まで
第2章 旧制高等教育機関の系譜
第3章 名古屋帝国大学
第二編 新制名古屋大学の発展 1949~1989
第4章 新制名古屋大学の出発
第5章 教育・研究の発展
第6章 名大生とキャンパス
第7章 名古屋大学像の模索
参考文献/年表