大学出版部協会

 

イノベーション概念の現代史

イノベーション概念の現代史 The Idea of Technological Innovation: A Brief Alternative History

四六判 216ページ 上製
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-8158-1046-7 C3036
奥付の初版発行年月:2021年10月 / 発売日:2021年11月上旬

内容紹介

現代社会のキーワードとして君臨する「イノベーション」。いかにして考え出され、政策や経営に組み込まれていったのか。また、研究はどのように商業化に巻き込まれたのか。国際機関や省庁・企業の実務家たちに焦点を合わせ、科学・技術の「有用性」を問い直す、私たちの時代の概念史。

前書きなど

この何十年かで、技術イノベーション(technological innovation)は、この社会の新たな宗教となり、現代の信条あるいは信仰となった。イノベーションは、我々が抱える社会経済的な問題すべての解決策であるというわけだ。

今の社会や経済や環境の難問はたいてい、イノベーションと技術的進歩に基づいた創造的な解決策を必要としている。(OECD, 2010: 30)
イノベーションは、気候変動や資源エネルギーの枯渇、健康や老化といった、今日急迫の度を増しつつある主要な社会的課題に取り組んで成果をあげるための最善の手段である。(European Commission, 2010: 2)
……

[「序章」冒頭より]

著者プロフィール

ブノワ・ゴダン(ブノワ ゴダン)

Benoît Godin
1958年生まれ。サセックス大学にて博士号を取得。1994年よりカナダ国立科学研究所教授を務め、2021年逝去。「イノベーション」概念史の第一人者として知られ、イノベーション研究のネットワークや学術雑誌の立ち上げなど、数多くの学際的活動を主導した。著書にInnovation Contested(Routledge, 2015)、The Invention of Technological Innovation(Edward Elgar, 2019)などがある。

松浦 俊輔(マツウラ シュンスケ)

1956年生まれ。名古屋工業大学助教授などを経て、現在、名古屋学芸大学非常勤講師、翻訳家。主な訳書に、ギャリソン『アインシュタインの時計 ポアンカレの地図』(名古屋大学出版会、2015年)、リンツラー『進化する人体』(柏書房、2019年)、エヴェレット『言語の起源』(白揚社、2020年)他多数。

隠岐 さや香(オキ サヤカ)

1975年生まれ。現在、名古屋大学大学院経済学研究科教授。主な著作に、『科学アカデミーと「有用な科学」』(名古屋大学出版会、2011年、サントリー学芸賞)、『文系と理系はなぜ分かれたのか』(星海社新書、2018年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章

第1章 前史
技術的失業
技術変革
技術的進歩

第I部 技術イノベーション

第2章 応用された科学としてのイノベーション
英国学術協会
科学産業研究庁

第3章 成果としてのイノベーション

第4章 過程としてのイノベーション
OECD
米商務省
英国科学技術中央諮問評議会
国立研究開発公社

第5章 システムとしてのイノベーション
米商務省
OECD

第II部 アイデアからアクションへ

第6章 イノベーション政策の発明
イノベーションに対する障害となる政策
産業イノベーションのための政策
米商務省
イノベーションを測定する

第7章 今日のイノベーション政策
イノベーション戦略
概念の拡張

終 章

付録

解説(隠岐さや香)
参考文献
索引


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