現代の母性看護 各論
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-8158-0974-4 C3047
奥付の初版発行年月:2019年12月 / 発売日:2019年12月下旬
若年や高年の妊産婦、ハイリスク新生児など、多様なニーズを抱える周産期医療の現場で、適切なケアを実践するために、最新かつ必要な知識を提供。妊娠期・分娩期・新生児期・産褥期と段階を踏みながら学べ、看護学生のテキストとしてだけでなく、看護師の学び直しの書としても最適。
本書は、看護学生が母性看護の対象に対する看護ケアを適切に実施できるようになることを目指したテキストとして企画しました。執筆者は、大学で母性看護学を教授している看護教員、周産期医療の最前線で活躍している産科医師、小児科医師、助産師、看護師といった専門家です。
近年、日本の周産期医療は世界トップレベルとなり、1000g未満で生まれた子どもが数十年後にオリンピックのメダリストになるという素晴らしい未来を提供できるまでになりました。周産期医療の現場では、かけがえのない命と向き合い、その命を守るために、医療従事者は出産された女性と生まれてきた子ども、そしてご家族に寄り添い、最善の医療を提供しようと日々努力をしています。そのような周産期医療の現場では、看護学生も看護師と同様に看護の対象となる方たちに対して真摯に向き合い、適切な看護ケアを提供できるように対応していく必要があります。
本書は、妊娠期、分娩期、新生児期、産褥期の対象への看護ケアを安全に提供できるよう、各期に必要な知識、対象の特徴、対象のアセスメント、対象のニーズとその看護、各期における異常に関する知識、異常となった対象への看護という項目でまとめています。そのため、出産された女性と生まれてきた子ども、そしてその家族の生活を支えるための看護について、看護学生がステップを踏みながら学んでいくことができます。本書の特徴は、スペシャルニーズをもつ妊婦、産婦、褥婦の看護やハイリスク新生児の看護についても詳細に記述している点です。看護学生が母性看護の実習で受け持つ対象の中にも、若年や高年の妊産婦、がんや精神障害を抱えながら出産し子育てをする女性、早産児や疾患をもつ子どもの子育てをする女性など、多様な妊産婦がいます。本書を通して、多様なニーズをもつ母性看護の対象への看護を深く学ぶことで、実践の場における看護ケアに活かしていただけることと思います。
本書は、看護学生が理解しやすいように難しい専門用語についてはわかりやすい言葉で解説しています。また、図や表を用い、実習の現場に活かせる実践的な看護ケアについて説明をしています。多くの看護学生が本書を手に取り、母性看護の実習の現場でテキストとして利用していただくことを願っています。さらに、看護師として活動されてからも読み返していただき、看護ケアに活用していただけると幸いです。……
[「まえがき」より]
入山 茂美(イリヤマ シゲミ)
名古屋大学大学院医学系研究科看護学専攻
春名 めぐみ(ハルナ メグミ)
東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻
大林 陽子(オオバヤシ ヨウコ)
三重大学大学院医学系研究科看護学専攻
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
まえがき
I 妊娠期
I-1 妊娠期の看護に必要な知識
1 妊娠期の成立・診断
2 妊娠期間
I-2 妊婦と胎児の特徴
1 妊婦の身体的特徴
2 胎児の発育
3 妊婦の心理社会的特徴
4 妊婦と家族と社会
I-3 妊婦と胎児のアセスメント
1 妊婦のアセスメント
2 胎児のアセスメント
3 妊婦健康診査
I-4 妊婦のニーズとその看護
1 妊婦のニーズと看護
2 家族のニーズと看護
3 妊娠中の保健指導
I-5 妊娠期の異常
1 妊婦の異常
2 胎児の異常
I-6 妊娠期に異常となった妊婦の看護
1 ハイリスク妊娠とは
2 妊娠悪阻のおそれのある妊婦の看護
3 妊娠高血圧症候群の妊婦の看護
4 妊娠糖尿病の妊婦の看護
5 妊娠期感染症のある妊婦の看護
6 切迫流産・早産妊婦の看護
7 多胎妊婦の看護
I-7 スペシャルニーズを持つ妊婦の看護
1 精神障害(周産期うつ病を含む)の妊婦の看護
2 高年妊婦の看護
3 若年妊婦の看護
4 不妊症を経た妊婦の看護
5 がんを抱えた妊婦の看護
II 分娩期
II-1 分娩期の看護に必要な知識
1 分娩に関する用語の定義
2 分娩の3要素
3 分娩経過
4 分娩様式
II-2 分娩経過に伴う産婦と胎児の変化
1 産婦の身体的変化
2 産婦の心理
3 胎児の身体的変化
II-3 産婦と胎児のアセスメント
1 産婦のアセスメント
2 胎児のアセスメント
3 付属物のアセスメント
II-4 産婦のニーズとその看護
1 分娩前の産婦のニーズとその看護
2 分娩時の入院における産婦のニーズとその看護
3 分娩直後の産婦のニーズとその看護
4 母子とその家族への支援
II-5 分娩期の異常
1 産婦に起こりやすい異常
2 胎児に起こりやすい異常
3 分娩直後に産婦に起こりやすい異常
II-6 分娩期に異常となった産婦の看護
1 分娩前に異常となった産婦の看護
2 分娩直後に異常となった産婦の看護
II-7 スペシャルニーズを持つ産婦の看護
1 精神疾患を持つ産婦の看護
2 GBS感染症の産婦の看護
3 妊娠高血圧症候群を合併した産婦の看護
4 緊急帝王切開術を受けることとなった産婦の看護
III 新生児期
III-1 新生児期の看護に必要な知識
1 新生児の定義と分類
2 新生児の解剖
3 新生児の生理
III-2 新生児の特徴
1 子宮外生活への適応
2 新生児の発育
3 妊娠・分娩経過の異常による影響
III-3 新生児のアセスメント
1 新生児のフィジカルアセスメント
2 新生児の生理的変化
3 新生児のマススクリーニング
III-4 新生児のニーズとその看護
1 栄養(哺乳、授乳、ビタミンK投与)
2 保温と環境整備
3 清潔(保清)
4 排泄(おむつ交換)
5 睡眠(音と光の調節)
6 愛着形成(早期母子接触)
7 EENC: early essential newborn care(早期必須新生児ケア)
III-5 新生児の異常
1 新生児仮死
2 呼吸器疾患
3 低血糖
4 黄疸
III-6 ハイリスク新生児
1 早産児と低出生体重児
2 巨大児
3 感染症
4 糖尿病
5 新生児メレナ
6 頭蓋内出血
7 動脈管開存症
III-7 ハイリスク新生児の看護
1 早産児・低出生体重児の看護
2 巨大児の看護
3 感染症(GBS感染症、敗血症、髄膜炎)を持った児の看護
4 糖尿病の母から生まれた児の看護
5 新生児メレナを発症した児の看護
6 頭蓋内出血を発症した児の看護
7 動脈管開存症を発症した児の看護
IV 産褥期
IV-1 産褥期の看護に必要な知識
1 産褥の定義
2 育児支援
3 産後入院
IV-2 褥婦の特徴
1 褥婦の身体的変化
2 産褥期の全身状態
3 褥婦の心理的変化とメンタルヘルス
IV-3 褥婦のアセスメント
1 観察の意義とポイント
2 授乳の援助
IV-4 褥婦のニーズとその看護
1 産褥期の母子関係・家族関係
2 産褥期の母子関係・家族関係への看護
3 退院後の生活・育児への準備・教育
IV-5 産褥期の異常
1 子宮復古不全
2 乳房のトラブル
3 産褥期の感染症
4 産褥期の排泄障害
5 産褥期の精神障害(産後うつ病を含む)
IV-6 産褥期に異常となった褥婦の看護
1 産褥期の子宮復古状態と看護(子宮復古不全)
2 乳房のトラブルを抱える褥婦の看護(乳頭トラブル、分泌不全、分泌過多、乳腺炎)
3 産褥期の排泄障害を抱える褥婦の看護
IV-7 スペシャルニーズを持つ褥婦の看護
1 精神障害(産後うつ病・愛着障害・精神疾患を含む)の褥婦の看護
2 若年の褥婦への看護
3 高年の褥婦への看護
4 経済的問題のある褥婦への看護
5 ソーシャルサポートに問題のある褥婦への看護
索引