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 生活からの経済史入門経済社会の歴史

経済社会の歴史 生活からの経済史入門

中西 聡:編, 中西 聡:編, 小島 庸平:著, 山内 太:著, 西澤 泰彦:著, 高柳 友彦:著, 小堀 聡:著
A5判 350ページ 並製
定価:2,700円+税
ISBN978-4-8158-0893-8 C3033
奥付の初版発行年月:2017年12月 / 発売日:2017年11月下旬

内容紹介

家族、災害、健康、教育や娯楽、さらに森林やエネルギーなど、身近な生活環境を手がかりにして、経済社会の成り立ちをやさしく解説、消費や自然環境などの新たなテーマから、私たちの生活と経済の歴史の深いつながりを実感とともに学べる入門テキスト。

前書きなど

身近な生活から地域の環境を考えよう
みなさんは「経済」を難しく考えすぎていませんか。経済というと「マネー」に関わる理屈が重要ですが、電子マネーのように実態がよく見えないものが動いているので、何かその仕組みに難しい理論が働いているように思えるのでしょう。しかし、もともと「マネー(貨幣)」は、実体のあるもので、「モノ」と「モノ」との交換を便利にするために生まれたものでした。それらの「モノ」は生きていくために必要な「モノ」であり、貨幣は生活に近いところで誕生しました。そのため、最初の貨幣は実体があり、そのものに価値のある「モノ」として生まれました。それらが、商品貨幣や金属貨幣といわれるものです。それらのみが使われていた時代は、経済活動は比較的単純で、人々は他の人から必要なものを買って貨幣を支払い、自分で使ったり、それらを他の人に売って貨幣を得たりしていました。ただし、人々が生活していくのに、「モノ」以外にも必要なものが登場してきます。たとえば、病気になったときに、体をさすったり、お祈りをしたりすることで、病気が治ると、その行為そのものに「御礼(対価)」としての貨幣が払われるようになります。また、住むための小屋を作るときに、自分の代わりに力持ちの人に作ってもらうと、やはり「御礼(対価)」としての貨幣が払われるようになります。このように、「サービス」と呼ばれる行為にも、貨幣に換算される価値が生まれ、財やサービスが貨幣を媒介として交換される社会として、本書の表題である「経済社会」は生まれました(本書の視点とはやや異なりますが、「経済社会」については、速水・宮本編[1988]で速水と宮本が執筆した概説などを参照して下さい)。

このように「経済」は、もともとは生活に非常に身近な存在でしたが、その……

[「序章」冒頭より]

著者プロフィール

中西 聡(ナカニシ サトル)

1962年 愛知県に生まれる
1993年 東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
東京大学社会科学研究所助手、北海道大学経済学部助教授、名古屋大学大学院経済学研究科教授などを経て
現 在 慶應義塾大学経済学部教授、博士(経済学)
編著書 『資産家資本主義の生成――近代日本の資本市場と金融』(慶應義塾大学出版会、2019年)
    『近代日本の消費と生活世界』(共著、吉川弘文館、2018年)
    『旅文化と物流――近代日本の輸送体系と空間認識』(日本経済評論社、2016年)
    『海の富豪の資本主義――北前船と日本の産業化』(名古屋大学出版会、2009年、日本学士院賞)
    『近世・近代日本の市場構造――「松前鯡」肥料取引の研究』(東京大学出版会、1998年)
    『近代日本の地方事業家――萬三商店小栗家と地域の工業化』(共編著、日本経済評論社、2015年、企業家研究フォーラム賞)
    『日本経済の歴史――列島経済史入門』(編、名古屋大学出版会、2013年)
    『世界経済の歴史――グローバル経済史入門』(共編、名古屋大学出版会、2010年)

中西 聡(ナカニシ サトル)

1962年 愛知県に生まれる
1993年 東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
東京大学社会科学研究所助手、北海道大学経済学部助教授、名古屋大学大学院経済学研究科教授などを経て
現 在 慶應義塾大学経済学部教授、博士(経済学)
編著書 『資産家資本主義の生成――近代日本の資本市場と金融』(慶應義塾大学出版会、2019年)
    『近代日本の消費と生活世界』(共著、吉川弘文館、2018年)
    『旅文化と物流――近代日本の輸送体系と空間認識』(日本経済評論社、2016年)
    『海の富豪の資本主義――北前船と日本の産業化』(名古屋大学出版会、2009年、日本学士院賞)
    『近世・近代日本の市場構造――「松前鯡」肥料取引の研究』(東京大学出版会、1998年)
    『近代日本の地方事業家――萬三商店小栗家と地域の工業化』(共編著、日本経済評論社、2015年、企業家研究フォーラム賞)
    『日本経済の歴史――列島経済史入門』(編、名古屋大学出版会、2013年)
    『世界経済の歴史――グローバル経済史入門』(共編、名古屋大学出版会、2010年)

小島 庸平(コジマ ヨウヘイ)

東京大学准教授

山内 太(ヤマウチ フトシ)

京都産業大学教授

西澤 泰彦(ニシザワ ヤスヒコ)

名古屋大学教授

高柳 友彦(タカヤナギ トモヒコ)

一橋大学講師

小堀 聡(コボリ サトル)

名古屋大学准教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 身近な生活から地域の環境を考えよう

第I部 地域社会と生活

第1章 家族・地域社会と経済活動
はじめに
1 家族と経済活動
2 「村」の役割
3 商店街とエスニック・グループ
おわりに

 解説1 無尽講と金融

第2章 災害と飢饉
はじめに
1 災害と飢饉
2 経済社会化と飢饉
3 江戸時代の災害・飢饉への対応
4 災害・飢饉への耐久性
おわりに

 解説2 風評とデマ

テーマI 社会史の方法

第II部 自然環境と生活

第3章 森林資源と土地所有
はじめに――地球環境問題と資源利用
1 森林資源利用の歴史
2 資源利用と土地所有
3 近現代日本の森林資源と過少利用問題
おわりに

 解説3 温泉と開発

第4章 エネルギーと経済成長
はじめに――人新世の時代
1 石炭とイギリス産業革命
2 石炭・水力と日本の工業化
3 エネルギー革命と「東アジアの奇跡」
おわりに

 解説4 日本の公害対策

テーマII 進歩と環境

第III部 近代化と生活

第5章 人口で測る経済力
はじめに――現代社会の人口と経済
1 人口に関する理論
2 日本の人口変遷
3 経済成長と人口
おわりに――人口の歴史は私たちに何を教えてくれるか

 解説5 人口をめぐる思想と政策

第6章 健康と医薬
はじめに
1 健康と病い
2 生活と家計に見る健康と医薬
3 現代の健康と医薬
おわりに

 解説6 感染症流行と経済発展

第7章 娯楽と消費
はじめに――「金」は天下の廻りもち
1 娯楽の産業化と消費社会
2 近代日本における娯楽の諸相
3 日記に見る人々の娯楽
おわりに――楽しみなしに人々は生きられるか

 解説7 大衆消費社会論

テーマIII 共同体と近代

第IV部 社会環境と生活

第8章 教育と労働
はじめに――「学び」と「働き」の制度化
1 「学び」から「教育」へ
2 産業社会・労働の誕生と教育
3 子どもと女性から見た「教育」と「労働」
おわりに――戦後教育政策と新学歴社会の到来

 解説8 集団就職

第9章 法と福祉
はじめに
1 慈善事業の時代
2 社会事業の時代
3 社会福祉の時代――第二次世界大戦後における生活をめぐる法整備
おわりに

 解説9 育児と経済

第10章 帝国と植民地経済
はじめに――日本「帝国」史として考える
1 戦争と日本帝国の拡張
2 日本貿易の特徴
3 帝国内貿易の構造と植民地の生活
おわりに――「戦後/現代」と「帝国/植民地」

 解説10A 植民地の近代をどう見るか
 解説10B 経済競争と国際紛争

テーマIV システムという発想

終 章 競争と共存から未来を思い描こう

入門ガイド 文献史料と統計資料

参考文献
あとがき
索 引

関連リンク

『日本経済の歴史――列島経済史入門』
『世界経済の歴史――グローバル経済史入門』


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