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 量子論・熱力学・地球科学希土類の化学

希土類の化学 量子論・熱力学・地球科学

B5判 448ページ 上製
価格:10,780円 (消費税:980円)
ISBN978-4-8158-0814-3 C3043
奥付の初版発行年月:2015年07月 / 発売日:2015年08月上旬

内容紹介

希土類系列が関係する様々な領域で共通して見られる四組効果。本書はこの四組効果が生じるシステムを、微視的分光学と巨視的熱力学をつなぐ化学の根底原理と捉え、初めて体系的・定量的に記述。基礎事項も含めた丁寧な解説により、希土類を統一的に把握し、理解を一新する必読の書。


目次

序 章 希土類元素、ランタニド、ランタノイドと周期表
     0-1 希土類元素とランタニド
     0-2 ランタニドとランタノイド
     0-3 命名法よりも重要な電子配置 [Xe](4f )q
     0-4 渦巻き型周期表とランタニド

  第Ⅰ部 希土類元素の量子化学

第1章 3価ランタニド・イオンの基底LS 項とJ レベル
     1-1 閉殻および開殻の電子配置
     1-2 全角運動量 (L) と全スピン角運動量 (Ŝ ) : LS 項
     1-3 (4f )2 配置における LS 項の分類
     1-4 L とŜ の合成とスピン・軌道相互作用
     1-5 J レベルの例 : (4f )2 配置における LS 項のJ レベル
     1-6 Hund の規則と基底 LS 項、基底 J レベル
     1-7 Landé の間隔則
     1-8 3価ランタニド・イオンの基底 LS 項と基底 J レベル

第2章 開殻電子配置 (nl )q を持つ原子・イオン系列のイオン化エネルギー
     2-1 (nl )q → (nl )q-1 に対応するイオン化エネルギー
     2-2 (2p)q と(3p)q 系列におけるイオン化エネルギー
     2-3 (3d)q と(4f )q 系列におけるイオン化エネルギー

第3章 (np)q 電子配置における LS 多重項のエネルギー準位
     3-1 (np) 電子間の電子反発エネルギー
     3-2 電子反発エネルギーの配置平均値
     3-3 配置平均エネルギーと LS 項エネルギー準位
     3-4 LS 多重項の構造 : 配置平均エネルギー基準の重要性
     3-5 Dieke ダイアグラムの意味するもの

第4章 多重項理論と(nl )q 電子配置の原子・イオンのイオン化エネルギー
     4-1 (np)q 配置におけるイオン化エネルギーの場合
     4-2 (nd)q 配置におけるイオン化エネルギーの場合
     4-3 (nf )q 配置におけるイオン化エネルギーの場合
     4-4 J レベル分裂の効果と (4f )q 系列に対する Jørgensen の理論式
     4-5 RSPET と Hund 則の量子力学的解釈
     4-6 化合物や凝縮相における3価ランタニド・イオンの電子状態
     4-7 ランタニド (Ⅲ) 化合物・錯体の熱力学量への反映
     4-8 (3d)q 系列化合物と (4f )q 系列化合物の類似性
     4-9 (3d)q 系列化合物の配位子場理論と電荷移動型絶縁体化合物

第5章 イオン化エネルギーとランタニド・スペクトル
     5-1 ランタニドの基底電子配置とイオン化エネルギー
     5-2 Ln 金属の電子配置と Ln(Ⅲ) 化合物の標準生成エンタルピー
     5-3 Ln(Ⅲ) 化合物・錯体間の反応のエンタルピー変化と電子配置
     5-4 ランタニド・スペクトル : ΔE (4f → 5d )
     5-5 補正した第3イオン化エネルギーと第4、第5イオン化エネルギー
     5-6 ランタニドの異常酸化数と第3、第4イオン化エネルギー

  第Ⅱ部 Jørgensen 理論の再検討

第6章 refined spin-pairing energy theory の問題点
     6-1 Slater-Condon-Racah 理論のパラメーターと有効核電荷の関係
     6-2 (4f → 4f ) スペクトル・データから推定される遮蔽定数
     6-3 X線スペクトルにおけるスピン2重線
     6-4 X線スペクトル・スピン2重線から推定される遮蔽定数
     6-5 イオン化の過程で変化する有効核電荷

第7章 ランタニド四組効果と Jørgensen の理論式
     7-1 溶媒抽出系におけるランタニド四組効果
     7-2 溶媒抽出系での Ln(Ⅲ) の反応と 4f 電子配置エネルギー変化
     7-3 配位子交換反応と四組効果
     7-4 四組効果をめぐる有効核電荷と Racah パラメーターの関係
     7-5 Reppard らの四組効果と Nd 化合物での電子雲拡大系列

第8章 改良した refined spin-pairing energy theory とその応用
     8-1 (4f )q+1 → (4f )q に補正した第3イオン化エネルギー
     8-2 補正した第3イオン化エネルギーの解析
     8-3 ランタニド金属の蒸発熱
     8-4 イオン化エネルギーの和 (ΣIi = I1 + I2 + I3 )
     8-5 (4f )q → (4f )q-1 の第4イオン化エネルギーとその解析

第9章 Ln 金属のX線光電子スペクトルと逆光電子スペクトル
     9-1 X線光電子スペクトルと逆光電子スペクトル
     9-2 ランタニド金属の XPS・BIS スペクトルの解析
     9-3 ランタニド金属 XPS・BIS の終状態
     9-4 RSPET とランタニド金属の XPS・BIS をめぐる議論
     9-5 ランタニド化合物の XPS・BIS と価数揺動

  コラム RSPET とJ.A.Wil son の意見

  第Ⅲ部 Ln2O3 と LnF3 の結晶に見る四組効果

第10章 ランタニド (Ⅲ) イオン半径の四組効果
     10-1 cubic-Ln2O3 の格子定数と Ln(Ⅲ) のイオン半径
     10-2 ランタニド収縮と四組効果
     10-3 原子半径のランタニド収縮と四組効果との比較
     10-4 Ln2O3 の格子エネルギーと Born-Haber サイクル
     10-5 イオン性結晶の点電荷モデルと Ln2O3 の格子エネルギー
     10-6 格子エネルギーの相対値と Ln2O3 における多形の問題

第11章 LnF3 系列の結晶構造と格子エネルギー
     11-1 LnF3 系列での結晶構造変化
     11-2 LnF3 系列における格子エネルギーと ΔH 0f (LnF3 )
     11-3 LnO1.5 、LnF3 、Ln3+(g) の ΔH 0f と四組効果の相互関係

第12章 LnO1.5 と LnF3 の熱力学量が反映する電子雲拡大効果
     12-1 LnF3 と LnO1.5 の ΔH 0f.298 の差による Racah パラメーターの相違
     12-2 Nd(Ⅲ) 化合物におけるRacah パラメーターの相違 : 電子雲拡大系列
     12-3 LnO1.5 と LnF3 の格子エネルギーにおける四組効果の有無
     12-4 化合物・錯体の構造と電子エネルギーの連関
     12-5 4f 電子数と Ln-O 距離 : どちらが本質的な説明変数か
     12-6 非金属固体の電子論とイオン結晶モデル
     12-7 f → f 遷移スペクトルの圧力誘起赤色変位と電子雲拡大効果
     12-8 熱膨張による Racah パラメーターの増大 : LnO1.5 系列の場合

  コラム Goldschmidt と Born の確執 : 1929年と今日

  第Ⅳ部 熱力学量が示す系列内構造変化と四組効果

第13章 Ln(Ⅲ) 化合物・錯体系列の構造変化と四組効果 (Ⅰ)
     13-1 Ln(C2H5SO4)3・9H2O の溶解反応 : ΔH 0s 、ΔS 0s 、 ΔG 0s
     13-2 LnCl3・nH2O の溶解反応 : ΔH 0s 、ΔS 0s 、 ΔG 0s
     13-3 Ln3+(aq) 系列での水和状態変化
     13-4 Ln(Ⅲ)-(dipic)3 、 Ln(Ⅲ)-(diglyc)3 錯体の生成定数
     13-5 ΔSr の四組効果と電子エントロピー
     13-6 同じ極性を持つ ΔH と ΔS の四組効果と振電相互作用
     13-7 相関する ΔH と ΔS の四組効果 : Debye 特性温度の系列変化
     13-8 定圧熱容量 CP でつながる ΔH と ΔS
     13-9 Ln(Ⅲ) 化合物の極低温 Cp 、磁気相転移、結晶場分裂準位

第14章 Ln(Ⅲ) 化合物・錯体系列の構造変化と四組効果 (Ⅱ)
     14-1 LnCl3 系列における構造変化と LnCl3 の熱力学量
     14-2 Ln(OH)3 系列に対する ΔH 0f 、ΔS 0298 のデータ
     14-3 Ln-DTPA(aq) と Ln-EDTA(aq) の錯体生成反応
     14-4 2種類の Ln(Ⅲ) 溶存錯体の共存 : Ln-EDTA(aq) と Ln3+(aq) の系列
     14-5 Ln3+(aq) の標準部分モル・エントロピー

第15章 Ln3+ イオンの水和エンタルピーと水和エントロピー
     15-1 水和エンタルピー
     15-2 ΔHabs.hyd(H+) の値
     15-3 水和エントロピーと Sackur-Tetrode 式
     15-4 Ln3+ イオンの水和とその熱力学量
     15-5 最小エネルギー配置の現実物質系と古典論的極限

第16章 熱力学量の四組効果から求めた電子雲拡大系列
     16-1 エンタルピー四組効果の RSPET 解析
     16-2 エントロピー四組効果の RSPET 解析
     16-3 ΔGr の四組効果 : ΔHr と ΔSr で相関する四組効果の問題
     16-4 Ln(Ⅲ) 金属の Racah パラメーター (Ⅰ) : ΔH of の RSPET 解析
     16-5 Ln(Ⅲ) 金属の Racah パラメーター (Ⅱ) : ΔS of の RSPET 解析

第17章 Ln(Ⅲ) 化合物と Ln 金属の融解 : その熱力学量の四組効果
     17-1 Ln(Ⅲ) 化合物・Ln 金属の融解の熱力学量
     17-2 LnF3 と LnCl3 系列における融解の熱力学パラメーター
     17-3 「下に凸な四組効果」 を示す LnF3 とLnCl3 の融点の系列変化
     17-4 Ln 金属系列の融解の熱力学量と四組効果
     17-5 Ln2O3 系列の融解の熱力学量と四組効果
     17-6 改良 RSPET 式と Ln(Ⅲ) 化合物、Ln(Ⅲ) 金属系列の融解の熱力学量

  コラム Dirac と Heisenberg の講演会 (1929) と長岡半太郎の檄

  第Ⅴ部 地球化学における四組効果

第18章 海洋と海洋性堆積岩における希土類元素
     18-1 海水の REE 存在度パターンが示す四組効果
     18-2 深海マンガン団塊と石灰岩のREE 存在度パターン
     18-3 海水における REE(Ⅲ) 炭酸錯体
     18-4 Ln(Ⅲ) 炭酸錯体安定度定数の 「Gdでの折れ曲がり」 とその波紋
     18-5 Fe 水酸化物共沈澱法による Ln(Ⅲ) 炭酸錯体生成定数
     18-6 Ln(OH)3・nH2O と個別炭酸錯体との分配反応 : 実験系と現実海水系との比較

第19章 火成作用における希土類元素と四組効果
     19-1 火成岩マグマにおける希土類元素の分別と四組効果
     19-2 四組効果を示す希土類元素鉱物の REE 存在度と RSPET 式

終 章 希土類元素の化学・地球化学の原理
     終-1 RSPET の新展開と Moeller (1973) の総説
     終-2 RSPET と希土類元素地球化学


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