新・動物記6
アザラシ語入門 水中のふしぎな音に耳を澄ませて
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-8140-0439-3 C0345
奥付の初版発行年月:2022年10月 / 発売日:2022年10月中旬
「映画の効果音みたい!」初めて聞く人は必ず驚くというほど、アザラシが水中で出す音はふしぎで多様である。氷の下で鳴くアザラシが、その音をどんな時にどんな意味で使っているのかは、いまだ海のように深い謎に包まれている。水族館に通い詰め、流氷の海に繰り出し、幾多の困難を乗り越えて「アザラシ語」の解明に挑んだ著者の奮闘記。憧れのクラカケアザラシの鳴く姿は見られるのか?!
水口 大輔(ミズグチ ダイスケ)
石川県出身。高校時代、同級生(初対面)からの誘いを断りきれず合唱部に入り、その後7年間ほど合唱を続けた。音に関わる生活を続けたためか、動物の行動の中でも音声を使ったコミュニケーションに興味を持ち、様々な動物を対象に研究をおこなってきた。 2016年、京都大学大学院博士後期課程修了(博士(理学))。北海道区水産研究所・任期付き研究員(トドの研究)、韓国脳研究院研究員(歌う鳥の研究)を経て、2022年1月よりPST株式会社に研究員として勤務(ヒトの声の研究) 。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
巻頭口絵
はじめに
1章 謎だらけのアザラシ語
1 ダニからアザラシへ
北の大地へ
北海道でのフィールドワーク
ケモチダニの研究
アザラシの変わった形態
アザラシの水中音
2 クラカケアザラシとの出会い
まんまるゼミ
初めての野生アザラシ
フィールドワークに必須なもの、車
北海道から京都へ
2章 アザラシ研究武者修行
1 アザラシを知る
水族館調査ことはじめ
何もしないアザラシ
アザラシの水中行動
とっかりセンターでのボランティア
2 フィールド調査を学ぶ
アメリカでぶち当たった言葉と経験の壁
【修行その1】オリンピック半島での海棲哺乳類調査
【修行その2】マクニール島でのゼニガタアザラシ調査
【修行その3】北極圏の録音データ解析
3章 【基礎編】いろいろなアザラシ語
1 水中録音に至るまでの試行錯誤
マイクは食べ物
初めての水中録音
電池は消耗品
2 小さなギャング、ワモンアザラシ
一にケンカ、二にケンカ
ワモンアザラシに春が来た
「行動」を記載することの難しさ
低い音ほどモテるのか?
正体不明のクリック音
3 おだやかに、ただ我が道を行くアゴヒゲアザラシ
鳴いているのは誰だ⁉
貴重なメスの発声行動
アザラシの落とし物
歌うオスのアゴヒゲアザラシ
雌雄間のデュエット
野外データとの比較
【番外編1】鳴くオス、鳴かないオス
【番外編2】夜に鳴くアザラシ、秋に鳴くアザラシ
4 まったく鳴かないクラカケアザラシ
待てど暮らせど音は録れず
鳴かないのにも訳がある?
5 音以外の気になる行動、生態
食べ物の話
ワモンアザラシの高速スピン
アザラシの泡利用
パーソナルスペースと寄生虫
【番外編】水族館でのお客さんとのやり取り
4章 【実践編】野生アザラシの声を聞く
1 知床調査ふたたび
念願のオスのクラカケアザラシ
ノイズとの闘い
2 クラカケアザラシの方言
3 音を学習する能力
4 アザラシの音か海氷ノイズか?
5章 音でアザラシを見る、守る
1 アラスカ海洋科学シンポでの一幕
基礎研究と応用研究
「52ヘルツ」だけじゃない、孤独な海棲哺乳類たち
ヒトの感覚器最強説
2 音響モニタリングの世界へ
アザラシの音から「見える」もの
音でアザラシは数えられるか?
3 湖に棲むアザラシの保全活動
湖で暮らす希少なアザラシ
呼吸穴とワモンの回転
6章 アザラシ語の楽しみ方
1 アザラシの音声コミュニケーションとヒトの言葉
アザラシの音声とヒト言語の相違点
アザラシ語を定義する
2 アザラシ語を比べる
Column 1 アザラシ、アシカ、セイウチの見分け方
Column 2 本書で取り上げるアザラシ類の基本情報
あとがき
著者のおすすめ読書案内
参考文献
索 引