費孝通学術論集 述懐と再考
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-8140-0369-3 C1039
奥付の初版発行年月:2021年11月 / 発売日:2021年12月上旬
文化人類学の父マリノフスキーの薫陶を受け,欧米から学んだ手法を中国の地域的多様性に応用し独自の方法論を編み出した費孝通が,次世代を担う若者たちに語った学術論文集。
■清水 展氏(日本文化人類学会前会長・京都大学名誉教授)推薦
中国の民族学を牽引したパイオニアが,文革による研究への封印が解けた1985年から,自らの仕事を振り返り解説する。村でのフィールドワークにもとづく草の根民衆の深い理解と10億を超える中国社会全体の発展方途の構想を,複眼的な視野から総合する企てだ。改革開放が強力に進められるなか,中国が欧米の歴史発展経路とは異なることを念頭に比較の方法を駆使し,イギリスで学んだ社会人類学の初志を忘れず実践に応用しようとする志の書として,ぜひ多くの研究者に読んで欲しい。
費 孝通(ヒ コウツウ)
中国の社会学者、人類学者、民族学者。
中国江蘇省呉江県生まれ。燕京大学、清華大学大学院で社会学・人類学を学び、書物を中心とした学問から実地調査による中国社会研究を志すようになる。故郷での農村調査を終えた後、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)に留学、社会人類学の父マリノフスキー教授に師事する。後に、英文のPeasant Life in China(1939)を著し、国際的評価を得る。中国農村研究の古典とも言うべき同書は、戦前の日本においても翻訳され、多領域の研究者に影響を与えた。新中国成立後は、反右派闘争、文化大革命という歴史の変動の中で、20年にわたって研究活動が阻害された。文化大革命が終焉すると、調査・研究活動を再開し、中国社会学会、中国社会科学院社会学研究所の設立に貢献するなど、民族学・社会学の振興に心血を注いだ。2005年北京にて逝去。享年95歳。
受賞歴:国際応用人類学会マリノフスキー賞、英国王立人類学協会ハクスリー章、福岡アジア文化賞、ラモン・マグサイサイ賞
梁 海燕(リョウ カイエン)
1966年生まれ。(中国)華東理工大学外国語学院日本語科准教授。
研究分野:日本古典文学 中日比較文学
蒋 青(ショウ セイ)
1971年生まれ。(中国)華東理工大学外国語学院日本語科専任講師。
研究分野:日本古典文学 歴史学
陳 雪(チン セツ)
1976年生まれ。(中国)華東理工大学外国語学院日本語科専任講師。
研究分野:中日対照言語学
目次
日本語版への序(麻国慶)
序文(一九九五年)
社会調査についての独白(一九八五年)
四年間の思考回路をたどって(一九八九年)
中国における人の研究(一九九〇年)
『城郷の協調的発展についての研究』後記(一九九二年)
『民族地域における社会と経済の発展』序文(一九九二年)
中国城郷の発展経路と私の研究活動について ――潘光旦先生を記念する学術シンポジウムにおける講演(一九九二年)
個人・群団・社会(一九九三年)
人知らずして慍みず――シロコゴロフ先生を追懐する(一九九四年)
シロコゴロフ先生から形質人類学を教わる(一九九四年)
「蚌龍」から思いを馳せて(一九九四年)
小城鎮研究十年間についての再考(一九九四年)
農村・小城鎮・地域発展について――私の社区研究に対する再回顧(一九九五年)
マリノフスキー文化論についての私見(一九九五年)
講義挿話(一九九五年)
晋商の金融哲学(一九九五年)
訳者あとがき
索 引