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「昭和の大合併」と住民帰属意識

九州大学人文学叢書17
「昭和の大合併」と住民帰属意識

A5判 262ページ 上製
定価:4,200円+税
ISBN978-4-7985-0279-3 C3321
奥付の初版発行年月:2020年03月 / 発売日:2020年02月中旬

内容紹介

住民の帰属意識は、「昭和の大合併」(1950年代)において、その賛否をいかに左右したのだろうか?

本書はこの疑問を中心に据え、四つの合併事例(長野県上伊那郡宮田村、岡山県英田郡西粟倉村、福岡県筑紫郡太宰府町、奈良県天理市)を分析するものである。「昭和の大合併」は日本の第2次全国規模市町村合併政策であり、中央政府(とりわけ当時の自治庁)がこれを司法措置で推進した。住民帰属意識とは、自らが住まう地域等に対して住民が抱く意識、ローカル・アイデンティティのことである。

分析の結果、三つの事例においてはこの帰属意識が合併抑止要因となり、一つの事例においては合併促進要因として現れ、事例によって数多くの相違点が存在することが明らかとなる。その一方、重要な共通点が存在することも明らかとなり、この共通点から市町村合併の賛否に関する斬新な説明モデルが提案される。

著者プロフィール

クラーマー スベン(クラーマー スベン)

(Sven KRAMER)

2008年、ルール大学ボーフム東アジア研究学部日本史学科卒業。
2013年、九州大学大学院人文科学府修士課程修了。
2016年、九州大学大学院人文科学府博士後期課程単位取得退学。
2017年、博士(文学、九州大学)の学位を取得。
現在、九州大学大学院人文科学研究院助教。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 凡 例

序 章 「昭和の大合併」と住民帰属意識  現在まで残された課題  

 第一節 問題の視座、本書の課題と目的
 第二節 構成と方法
 第三節 「昭和の大合併」研究の到達点と本書の位置
  1 一般的な研究
  2 個別の自治体に関する研究
  3 本書の位置
 第四節 「住民帰属意識」について
  1 コミュニティ・共同体について
  2 住民帰属意識  郷土意識、ローカル・アイデンティティ、
     リージョナル・アイデンティティとその形成要素について  

第一章 近代日本の地方制度の創造・発展と住民帰属意識
      「昭和の大合併」の歴史的前提をめぐって  

 第一節 明治期前半の成立期と住民帰属意識
 第二節 市制町村制の時代と住民帰属意識
 第三節 戦後の改革  「昭和の大合併」への道  
 小 括

第二章 ライバル意識による合併抑止  長野県上伊那郡宮田村  

 第一節 宮田村の概要
 第二節 関係町村の財政状況
 第三節 合併計画と宮田村の当初の対応
 第四節 宮田村における合併反対派の組織化と自立闘争の初期
 第五節 駒ヶ根市の発足  合併反対運動から分市運動へ  
 第六節 分市闘争とその関係人物
  1 分市闘争のあり方と結果
  2 分市闘争の関係人物
 小 括

第三章 町村合併問題に関する財産処分問題とその解決  岡山県英田郡西粟倉村  

 第一節 西粟倉村の概要と合併計画
 第二節 西粟倉村の財政  その村有林の経済的意味  
 第三節 合併および財産処分問題
 第四節 「合併反対・自立維持期」への移行と委員会の終焉
 第五節 合併反対の維持
 小 括

第四章 新町名に関する論争が合併を抑止  福岡県筑紫郡太宰府町(現・太宰府市)  

 第一節 七ヵ町村合併関係町村の概要  集落・財政問題・合併による新町名の問題  
 第二節 新町名をめぐる旧太宰府町と二日市町の間の協議
 第三節 「太宰府」という地名とこれに対する二日市町の立場
 第四節 協議会の分裂から合併実施まで
 第五節 太宰府町と筑紫野町の発足後
 小 括

第五章 新興宗教団体が合併促進要因に  奈良県天理市  

 第一節 天理市の概要
 第二節 市史が述べていない合併交渉  一九五三年一二月を中心に  
 第三節 二階堂村と櫟本町の合併参加可否問題
 第四節 天理市実施の内定から発足まで
 第五節 「宗教都市天理市」の都市計画
 第六節 天理教の役割
 小 括

終 章 「昭和の大合併」と住民帰属意識  新たな合併賛否説明モデルの可能性  

 第一節 行政区画・自治体の変遷と住民帰属意識
  1 「自然村」と「行政村」の分離についての考察
  2 事例の総括
 第二節 合併賛否の説明モデルの可能性について
 第三節 「昭和の大合併」に関する研究の展望と課題

 参考文献
 史料目録
 あとがき
 索 引


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