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非占有動産担保の競合

北九州市立大学法政叢書21
非占有動産担保の競合

A5判 148ページ
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-7985-0263-2 C3332
奥付の初版発行年月:2019年08月 / 発売日:2019年08月中旬

内容紹介

現在の取引社会では、動産先取特権、譲渡担保、所有権留保といった非占有動産担保が多用されているが、これらの非占有動産担保が同一の動産上に複数競合した場合には、各担保権者の優劣を決定することが求められる。本書は、非占有動産担保の競合のうち、これまでに最高裁が判示している3つの競合類型(複数の譲渡担保の競合、譲渡担保と動産先取特権の競合、所有権留保と譲渡担保の競合)における法律関係につき、ドイツ法との比較法的考察を通して解明することを試みるものである。著者が平成28年度に提出した博士学位請求論文に加筆修正を加え、最新の判例にも対応するなど、令和新時代における動産担保研究の発展に大きく貢献する一冊となっている。

著者プロフィール

清水 裕一郎(シミズ ユウイチロウ)

平成24年3月 明治大学大学院法学研究科博士前期課程修了
平成26年4月 明治大学法学部助手
平成27年3月 明治大学大学院法学研究科博士後期課程退学
平成27年4月 北九州市立大学法学部講師
平成29年3月 博士 (法学) (明治大学)
平成30年4月 北九州市立大学法学部准教授 (現在に至る)

主要業績
「所有権留保の法的性質に関する一考察  所有権留保と譲渡担保の競合の解決を目的として  (一)・(二・完)」
  法学研究論集 (明治大学大学院) 37号 (平成24年)、38号 (平成25年)
「複数の譲渡担保の競合」法学研究論集 (明治大学大学院) 39号 (平成25年)
「譲渡担保と動産先取特権の競合」法学研究論集 (明治大学大学院) 40号 (平成26年)
「ドイツ法における譲渡担保権の担保的取り扱い  設定者の倒産手続における展開を中心に  」
  法学研究論集 (明治大学大学院) 41号 (平成26年)
「ドイツ法における所有権留保買主の期待権の譲渡」法学研究論集 (明治大学大学院) 42号 (平成27年)
「第三者所有権留保における留保所有権の対抗要件  買主の倒産手続における取り扱いを中心に  」
  伊藤進先生傘寿記念論文集『現代私法規律の構造』(第一法規、平成29年)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき

はじめに

第1章 複数の譲渡担保の競合

 序 論
 第1節 ドイツの法状況
  1.序説
  2.一般論
  3.領域譲渡担保
  4.本節の小括
 第2節 日本の法状況
  1.序説
  2.従来の学説状況
  3.最高裁平成18年判決
  4.学説の評価
  5.本節の小括
 まとめ

第2章 譲渡担保と動産先取特権の競合

 序 論
 第1節 ドイツの法状況
  1.序説
  2.搬入前の譲渡担保
  3.搬入後の譲渡担保
  4.領域譲渡担保
  5.本節の小括
 第2節 日本の法状況
  1.序説
  2.最高裁昭和62年判決
  3.学説
  4.本節の小括
 まとめ

第3章 所有権留保と譲渡担保の競合

 序 論
 第1節 ドイツの法状況
  1.序説
  2.期待権の譲渡可能性
  3.期待権の譲渡禁止特約の効力
  4.期待権の取得者の保護
  5.本節の小括
 第2節 日本の法状況
  1.序説
  2.裁判例1   大審院昭和13年判決
  3.裁判例2   東京地裁昭和52年判決
  4.裁判例3   最高裁昭和58年判決
  5.裁判例4   東京地裁平成5年判決
  6.裁判例5   最高裁平成30年判決
  7.本節の小括
 まとめ

第4章 私 見

 序 論
 第1節 複数の譲渡担保の競合
  1 譲渡担保の重複設定の可否
  2 後順位譲渡担保権者が有する権利内容
 第2節 譲渡担保と動産先取特権の競合
  1 最高裁昭和62年判決の射程と問題点
  2 解決のための試論   2つの方向性からの検討
  3 担保権の実行手続における取り扱い
 第3節 所有権留保と譲渡担保の競合
  1 最高裁昭和58年判決の理解
  2 留保目的物に対する譲渡担保権の取り扱い

おわりに


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