サピエンティア69
移民船から世界をみる 航路体験をめぐる日本近代史
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-588-60369-3 C3321
奥付の初版発行年月:2023年07月 / 発売日:2023年07月下旬
航空機が身近になるまで、外国に行くには船に乗るしかなく、庶民にとって最も一般的な海外旅行は移民だった。数か月にわたる船旅で、彼らはどのような体験をしたのか。はじめて見る異国の風景、感染症の発生や食事をめぐる暴動、船内学校や運動会、赤道祭など、従来の移民研究からこぼれ落ちた移民船の体験について、航海日記や多くの資料を用い、その文明史的意味を考察する。
根川 幸男(ネガワ サチオ)
根川幸男 1963年大阪府生まれ。サンパウロ大学哲学・文学・人間科学部大学院修士課程修了。博士(学術:総合研究大学院大学)。専門は移植民史。ブラジリア大学文学部准教授を経て,現在,国際日本文化研究センター特定研究員。同志社大学,滋賀県立大学,広島大学で兼任講師。主要著書に『ブラジル日系移民の教育史』(単著,みすず書房,2016年),『移民がつくった街サンパウロ東洋街――地球の反対側の日本近代』(単著,東京大学出版会,2020年),Cinqüentenário da Presença Nipo-Brasileira em Brasília(共著,FEANBRA, 2008),『『海』復刻版』全14巻(監修・解説,柏書房,2018年),『越境と連動の日系移民教育史――複数文化体験の視座』(井上章一との共編著,ミネルヴァ書房,2016年)など。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに
序章 人びとはどのように海を渡ったのか?:移民船をめぐる課題群
第一章 明治元年のハワイ行き航海:佐久間米松の「日記」を読む
第二章 台湾への人流と物流:内台航路をめぐる人びと
第三章 明治末期の南米移民船:横山源之助の航路体験
第四章 日本郵船の南米東岸航路:田辺定「移民輸送日誌」を読む
第五章 大阪商船の最盛期南米航路:移民たちがつづる「航海日記」
第六章 可視化された世界一周航路:『海』グラビアにみる寄港地風景
第七章 二世少年少女たちの「祖国」への旅:古写真と回想にみる復航航海
第八章 近代保健衛生のフロンティア:移民名簿に表れた集団感染
終章 オランダ船でゆくブラジル:デジタル記念誌でたどる航路体験
おわりに
索引