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小氷期から現代の気候変動にいたる文明の歴史縫い目のほつれた世界

縫い目のほつれた世界 小氷期から現代の気候変動にいたる文明の歴史

四六判 414ページ 並製
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-588-35237-9 C0022
奥付の初版発行年月:2024年04月 / 発売日:2024年04月下旬

内容紹介

16世紀後半に世界を襲った小氷期により、飢饉、疫病、戦争がはびこるヨーロッパ。しかし、未曾有の危機を生き抜くための人々の創意工夫は、やがて技術と社会の革新に結実する。農業革命、重商主義、世界貿易へと続く近代の扉が開かれ、宗教と科学の拮抗のなかで新たな文化、新たな思想が開花する〈氷の時代〉を描いた一大歴史絵巻にして、現代の環境破壊・気候変動に警鐘を鳴らす問題提起の書。

著者プロフィール

フィリップ・ブローム(ブローム フィリップ)

フィリップ・ブローム(Philipp Blom)
1970年、ハンブルク生まれ。歴史学博士。歴史家、作家、ジャーナリスト。翻訳家としては、英語の自著をドイツ語に訳しているほか、オペラ台本などの翻訳も手がける。『手に入れることと死蔵すること 蒐集家と蒐集の秘史』(2002年)、『世界を啓蒙する 百科全書、歴史の流れを変えた本』(2005年)、『立ちくらむ歳月 西欧の変動と文化1900-1914年』(2008年)、『邪悪な哲学者 パリのサロンと啓蒙主義の忘れられた遺産』(2011年)、『裂け目 西欧の暮らしと文化1918-1938年』(2014年)、『たがの外れた世界 1570年から1700年までの小氷期および近代世界成立の歴史、ならびに現代の気候に関する考察若干』(2017年、本訳書の原著)、『あるイタリア紀行 300年前にわたしのヴァイオリンを作った移民の足跡を尋ねて』(2018年、翻訳『あるヴァイオリンの旅路』の原著)、『大世界舞台 変革の時代における想像力について』(2020年)、『征服 人間による自然支配の起源と終焉』(2022年)、『闇路を下りゆく時代の啓蒙』(2023年)など著書多数。ほかに長編小説、新聞・雑誌の論説、ラジオ番組など、多方面で活躍し、環境、政治など現代の問題にも積極的に発言している。ベストセラー作家の一人で、グライム文学賞はじめ受賞歴も豊富。

佐藤 正樹(サトウ マサキ)

佐藤 正樹(サトウ マサキ)
1950年、愛知県生まれ。名古屋大学大学院文学研究科修士課程修了。広島大学名誉教授。博士(文学)。ドイツ文学・文化史。訳書に、ビルクナー編『ある子殺しの女の記録』(人文書院)、ファン・デュルメン『近世の文化と日常生活』(全3巻、鳥影社)、コンゼンツィウス編『大選帝侯軍医にして王室理髪師ヨーハン・ディーツ親方自伝』(白水社)、ボラージオ『死ぬとはどのようなことか』(みすず書房)、ブローム『あるヴァイオリンの旅路』(法政大学出版局)など、共訳書に、ビルショフスキ『ゲーテ』(岩波書店)、マン『日記』(紀伊國屋書店)、デッカー『教皇と魔女』(法政大学出版局)、フロイント『冒険のバロック』(同)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

プロローグ──冬景色

「神はわれらを見捨てられた」──ヨーロッパ、一五七〇〜一六〇〇年

 逃亡の修道士
 神の風と波と
 凍てつく寒さ、灼熱する太陽
 動乱時代と火を噴く山
 巡礼と空腹
 葡萄酒に秘められた真実
 葡萄酒とウィーンの人々
 翳りゆく星
 魔女と腐った収穫物
 星に真理を読む
 ファウストゥス博士
 書斎の塔

鉄の時代

 植物園
 革命を呼ぶ地
 子どもを喰らう都市
 青かびチーズの魔術
 大転換
 世界の姿
 無駄話と作り話
 警告と改善のよすがに
 涙 滂沱たり
 火縄銃の銃身から生まれた革命
 外国貿易の黒字
 機械としての国家
 有利な取引
 銀の宿命
 退役士官
 学者共和国の破壊力
 驚異のドイツ人
 美徳と溺殺房
 レビヤタン
 道徳の目録

天界の光──彗星その他

 賤民の迷妄
 反キリスト者
 メシアと娼婦
 氷上の歳の市
 新しい自然
 王家御用室内装飾師
 公衆と悪徳蜜蜂
 浮遊する師

エピローグ──蜜蜂の寓話への補説

 鳴禽と草鞋虫と珊瑚のように
 自由と贅沢
 遺産としての妥協
 大きな夢
 夢の市場での競争
 集団の彼岸
 危機に瀕しているもの

  謝辞
  原注
  訳注
  訳者後記
  図版
  文献
  人名索引


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