はじまりのバタイユ 贈与・共同体・アナキズム
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-588-13035-9 C1010
奥付の初版発行年月:2023年04月 / 発売日:2023年04月上旬
文学、哲学、宗教学、経済、人類学など多岐にわたる分野で決定的な足跡を残した20世紀の思想家ジョルジュ・バタイユ。その思想の中核に位置する贈与と共同体の主題に焦点を当て、現代における自然と人間の関係、財産、所有、家族などの問題を論じ、さらにはアナキズムの倫理と衝突させることで、来るべきバタイユ像を描き出す。第一線の論者たちによって結晶化した、刺激的な手引き書。
澤田 直(サワダ ナオ)
澤田 直 ⽴教⼤学教授。著書:『〈呼びかけ〉の経験──サルトルのモラル論』(⼈⽂書院)、『ジャン=リュック・ナンシー』(⽩⽔社)、『サルトルのプリズム──⼆⼗世紀フランス⽂学・思想論』(法政⼤学出版局)、訳書:サルトル『真理と実存』『⾔葉』(以上、⼈⽂書院)、ペソア『新編不穏の書、断章』(平凡社)など。
岩野 卓司(イワノ タクジ)
岩野 卓司 明治大学教養デザイン研究科・法学部教授。著書:『贈与論──資本主義を突き抜けるための哲学』(青土社)、『贈与の哲学』(明治大学出版会)、『ジョルジュ・バタイユ』(水声社)、共訳書:バタイユ『バタイユ書簡集 1917–1962年』(水声社)など。
上記内容は本書刊行時のものです。【執筆者プロフィール】
中沢新一(なかざわ・しんいち)
京都大学特任教授、秋田公立美術大学客員教授。思想家。著書:『チベットのモーツァルト』(講談社学術文庫)、『雪片曲線論』(中公文庫)、『アースダイバー』『レンマ学』(講談社)、『芸術人類学』(みすず書房)など多数。
酒井健(さかい・たけし)
法政大学教授。著書:『モーツァルトの至高性──音楽に架かるバタイユの思想』(青土社)、『バタイユ入門』(ちくま新書)、訳書:『太陽肛門』(景文館書店)など。
江澤健一郎(えざわ・けんいちろう)
立教大学兼任講師。著書:『中平卓馬論──来たるべき写真の極限を求めて』『ジョルジュ・バタイユの《不定形》の美学』(以上、水声社)、『バタイユ──呪われた思想家』(河出書房新社)。
栗原康(くりはら・やすし)
埼玉県うまれ。アナキズム研究。著書:『サボる哲学』(NHK新書)、『大杉栄伝』(角川ソフィア文庫)、『村に火をつけ、白痴になれ』(岩波現代文庫)など。いきなりステーキとビールが好き。
横田祐美子(よこた・ゆみこ)
立命館大学衣笠総合研究機構助教。著書:『脱ぎ去りの思考──バタイユにおける思考のエロティシズム』(人文書院)、共訳書:マンチェフ『世界の他化──ラディカルな美学のために』(法政大学出版局)。
鵜飼哲(うかい・さとし)
一橋大学名誉教授。著書:『応答する力』(青土社)、『ジャッキー・デリダの墓』(みすず書房)、訳書:ジャン・ジュネ『アルベルト・ジャコメッティのアトリエ』(現代企画室)、ジャック・デリダ『盲者の記憶』(みすず書房)。
陣野俊史(じんの・としふみ)
文芸批評家・フランス語圏文学研究者。著書:『じゃがたら増補版』『テロルの伝説 桐山襲烈伝』『泥海』(以上、河出書房新社)、『戦争へ、文学へ』(集英社)、『魂の声をあげる 現代史としてのラップ・フランセ』(アプレミディ)。
福島勲(ふくしま・いさお)
早稲田大学人間科学学術院教授。著書:『バタイユと文学空間』(水声社)、訳書:『ディアローグ デュラス/ゴダール全対話』(読書人)、共編著:『洞窟の経験──ラスコー壁画とイメージの起源をめぐって』(水声社)。
郷原佳以(ごうはら・かい)
東京大学大学院総合文化研究科教授。著書:『文学のミニマル・イメージ モーリス・ブランショ論』(左右社)、訳書:シクスー+デリダ『ヴェール』(みすず書房)。
井岡詩子(いおか・うたこ)
日本学術振興会特別研究員PD。著書:『ジョルジュ・バタイユにおける芸術と「幼年期」』(月曜社)、共訳書:マンチェフ『世界の他化──ラディカルな美学のために』(法政大学出版局)。
山田広昭(やまだ・ひろあき)
東京大学名誉教授。著書:『三点確保──ロマン主義とナショナリズム』(新曜社)、『可能なるアナキズム』(インスクリプト)、共著:『現代言語論』(新曜社)、共編著:『文学批評への招待』(放送大学教育振興会)。
石川学(いしかわ・まなぶ)
慶應義塾大学商学部准教授。著書:『理性という狂気──G・バタイユから現代世界の倫理へ』(慶應義塾大学出版会)、『ジョルジュ・バタイユ──行動の論理と文学』(東京大学出版会)、共訳書:バタイユ『バタイユ書簡集 1917–1962年』(水声社)。
大森晋輔(おおもり・しんすけ)
東京藝術大学音楽学部教授。著書:『ピエール・クロソウスキー──伝達のドラマトゥルギー』(左右社)、編著:『ピエール・クロソウスキーの現在──神学・共同体・イメージ』(水声社)、共訳書:ペータース『デリダ伝』(白水社)。
目次
まえがき
資料1
バタイユの考古学 【中沢新一×岩野卓司】
グノーシスの考古学 【岩野卓司】
資料2
バタイユにおけるメディアと贈与──『ドキュマン』から『至高性』へ 【酒井健】
雑誌という共同性の場 【江澤健一郎】
そうさ、いまこそアドベンチャー!──バタイユのアナキズム思想 【栗原康】
自由に書くということ──大杉栄=栗原康にならって 【澤田直】
生を与える──家族と共同体 【澤田直】
白いインクで書くとすれば 【横田祐美子】
笑いの感染──「留保なきヘーゲル主義」以後、デリダはバタイユとどう付き合ったか? 【鵜飼哲】
思索の全般経済へ向けて 【酒井健】
資料3
青空論──終わらない物語について 【陣野俊史】
窓の外の青い空、転落と飛翔 【福島勲】
舞台、経験、〈文学〉──ラクー=ラバルトにおけるバタイユ 【郷原佳以】
供犠、悲喜劇的経験としての 【井岡詩子】
全般経済学と純粋アナーキー原理 【山田広昭】
モラルとしてのアナキズム 【石川学】
逸脱していく贈与──モースとレヴィ=ストロースを危険に読むバタイユ 【岩野卓司】
贈与の危険は引き金であり安全装置である──「逸脱していく贈与」の余白に 【大森晋輔】
資料4
バタイユ頌