ポイント解説
用水・排水の産業別処理技術
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-501-62690-7 C3058
奥付の初版発行年月:2011年05月 / 発売日:2011年05月上旬
本書は水不足と水汚染の問題解決の手段として、産業別の用水・排水の高度処理とリサイクルの実務に役立つ技術についてわかりやすく解説。産業別水処理技術の基礎学習と実務のガイドブックに最適。
本書は2010年の初版発行以来、(株)工業調査会から刊行され、幸いにも長きにわたって多くの読者から愛用されてきました。このたび東京電機大学出版局から新たに刊行されることとなりました。本書が今後とも読者の役に立つことを願っています。
2011年5月
和田洋六
水は生命の源であり私たちの生活や産業に不可欠な資源です。今から10年前に「20世紀は石油が世界経済の行方を左右したが21世紀は水の世紀になる」といわれました。
現在、その言葉が水不足、水汚染、水紛争などを包括する概念として使われ、にわかに現実味を帯びてきました。この理由は、世界的な人口増加to
産業の発展に伴い水使用量が増えて水源となる淡水が不足し、しかも、地域的に偏在しているからです。この水不足の問題は地球上に存在する淡水量が限られている以上避けて通れない課題です。
公共水域の水質は1960年代から急速にのび始めた産業活動と人間の中心の生活によって汚染され、自然が本来もっている自浄作用だけでは回復することは困難な地域が表面化しています。この傾向は、日本を含む中国やアジアの国々で多く見受けられます。
これらの問題解決で重要なことは、水の汚染を防いで高度処理し、回収率をあげてリサイクルするなど、水処理の実務についてよく知ることです。
水質汚濁の発生源には①産業排水、②生活排水、③都市下水、④産業廃棄物処理、⑤畜産排水などがあります。これらの排水に含まれる汚濁物質を除去するには一定の決まった方法がありません。その理由は、産業排水によって除去対象物質の種類、性質、成分などがそれぞれ違い、常に変化するからです。ここが水処理の奥深いところで、技術者の基礎知識に加えた現場経験、研究成果などが最も要求される場面です。
産業排水といえども適切に高度処理してリサイクル化すれば節水と環境経験に貢献するばかりか企業に利益をもたらすことがあります。
本書はこれらの水不足と水汚染の問題解決の手段として、産業別排水の高度処理とリサイクル実務に役立つ技術について解説しています。
本書の内容は次の4章で構成されています。
第1章は用水・排水処理計画の進め方、ポンプ、流量計、攪拌機などの使い方を解説し、あわせて水を再利用するポイントについて要約しています。
第2章では水処理の実務に役立つ凝集沈殿、酸化・還元処理、AOP処理、膜分離法などの基本となる物理化学的処理について解説しています。
第3章は生物を使った活性汚泥法、窒素・リンの除去、膜分離活性汚泥法などの設計に役立つ生物学的処理の要点について解説しています。
第4章は30項目にわたる産業別排水の処理についてフローシートを用いて具体的に解説しています。この中にはすでに実用化されている処理システムもありますが、項目によってはまだ実用化の段階に至っていないケースもあります。この場合は今後の技術開発の参考資料としてご覧くだされば幸いです。
本書の内容は初心者の方でも容易に理解できるように、どの項目も4ページで内容が把握できるように要約しました。紙面の都合で内容を十分にお伝えできない部分もありますが詳細については文中と巻末に掲げた参考文献もご参照ください。
本書が産業別水処理技術の基礎学習と実務のガイドブックとしてお役に立つことを願っております。
本書の作成にあたっては本文中に掲げた優れた文献、著者、発行所の資料を参考にさせていただいたことを感謝します。また、出版のご協力をいただいた(株)工業調査会編集部の各位に厚くお礼申し上げます。
2010年2月
和田洋六
目次
第1章 用水と排水処理の基本
1.1 用水処理と排水処理のポイント
1.2 用水・排水処理計画の進め方
1.3 ポンプの選び方
1.4 流量計の選び方
1.5 攪拌機の使い方
1.6 水のリサイクル
第2章 物理化学的処理法
2.1 スクリーンろ過
2.2 pH調整
2.3 硫化物処理
2.4 凝集処理
2.5 沈澱分離
2.6 浮上分離
2.7 砂ろ過(圧力式ろ過)
2.8 除鉄、除マンガン
2.9 活性炭吸着
2.10 オゾン酸化
2.11 塩素殺菌
2.12 紫外線殺菌
2.13 酸化・還元(シアン酸化と6価クロム還元)
2.14 酸素の溶解と除去
2.15 硬度成分の除去
2.16 シリカの除去
2.17 促進酸化法(AOP)
2.18 フェントン酸化
2.19 イオン交換樹脂法
2.20 MF膜ろ過
2.21 UF膜ろ過
2.22 RO膜脱塩
2.23 電気透析
2.24 減圧蒸留法
第3章 生物学的処理法
3.1 流量調整槽
3.2 活性汚泥法
3.3 長時間ばっ気法と汚泥再ばっ気法
3.4 生物膜法
3.5 窒素の除去
3.6 リンの除去
3.7 膜分離活性汚泥法
第4章 業種別排水の特性と処理
4.1 金属表面処理業
4.2 電気めっき業
4.3 無電解めっき・化成皮膜処理業
4.4 電気・電子部品製造業
4.5 アルマイト処理業
4.6 鉄鋼業
4.7 釉薬、瓦製造業
4.8 石油精製業
4.9 有機工業製品製造業
4.10 無期工業製品製造業
4.11 火力発電所
4.12 自動車、機械部品製造業
4.13 乳製品製造業
4.14 水産加工業
4.15 清涼飲料製造業
4.16 ビール製造業
4.17 めん類製造業
4.18 弁当、惣菜製造業
4.19 豆腐製造業
4.20 漬物製造業
4.21 紙・パルプ製造業
4.22 皮革製造業
4.23 クリーニング業
4.24 ガソリンスタンド業
4.25 染色業
4.26 医薬品・農薬製造業
4.27 畜産業
4.28 温泉旅館業
4.29 産業廃棄物処理業
4.30 埋め立て処分場排水