大学出版部協会

 

PICメカキット工作

たのしくできる
PICメカキット工作

A5判 200ページ 並製
価格:2,420円 (消費税:220円)
ISBN978-4-501-54000-5(4-501-54000-1) C3055
奥付の初版発行年月:2005年10月 / 発売日:2005年10月中旬

内容紹介

市販の工作キットの改造方法を伝授

前書きなど

 我が国はロボット大国である.産業用ロボットをはじめ,2足歩行ロボット,各種ロボット競技大会での競技用ロボット,さらに人を楽しませる玩具ロボットなど多種多様のロボットが活躍している.
 だが,初学者が一人でロボットを作ろうとすると,製作費用をはじめ,ロボットの機構やマイコン制御・センサ回路など,難しい点が多々でてくると思われる.そこで,安価で簡単に作ることができないものだろうか,と考えて思いついたのが,市販の工作セットの改造である.
 本書のロボットは,株式会社タミヤから発売された「ロボクラフトシリーズ」の各種歩行タイプの工作セットと「楽しい工作シリーズ」のショベルドーザ工作基本セットを改造したものである.
 この改造ロボットは,工作セットの機構をそのまま利用することができ,PIC(ピック)と呼ばれるワンチップマイコンと各種センサ回路,DCモータドライブICなどを搭載した一種の玩具ロボットとも言える.
 本書の内容は,次のような特徴がある.
 1.ワンチップマイコンPIC16F84Aを使用する.PIC16F84Aは,フラッシュプログラムメモリ搭載なので,何度でも(1,000回程度)プログラムを即時消去し,簡単に書き換えができる.また,Z80系,H8などのマイコンと比べ安価で構造がコンパクトであり,リードピッチが2.54mmのDIP(Dual In−line Package)型なので手配線も容易である.
 2.タミヤの工作セットを改造するので,ロボット本体は安価で簡単に作ることができる.あとはPIC16F84A搭載の制御回路基板の製作と本体の穴あけ加工と組み立てをするだけである.制御回路基板は小さく,回路は手配線なので,ワンチップマイコンはPIC16F84Aが最適である.
 3.プログラムは,C言語,アセンブリ言語どちらを利用してもよいように併記する.アセンブリ言語は,マイクロチップ・テクノロジー社より無料提供されているMPLAB(エムピー・ラブ)というソフトウェアを使う.C言語は,米国のCCS社製のCコンパイラPCMを使用する.このCコンパイラは,MPLABと統合して使うことができ,豊富な組込み関数と,これらをサポートするプリプロセッサコマンドが用意されている.このため,わかりやすいプログラムをつくることができる.
 4.PICの初学者には,プログラムの仕組みの理解が難しいかと思われる.このため,C言語・アセンブリ言語ともに,フローチャートと全プログラムを記述し,プログラムを理解するための説明を併記する.さらに,「解説」や「プログラムで使用した命令」で詳しい説明をする.
 5.制御回路で使用するセンサ回路や各種の回路は,実測波形や実測値をもとに,「回路の動作」として詳しく図解する.センサは,音センサ・磁気センサ・超音波センサ・光センサ・赤外線リモコン受信モジュールなど,入手可能な一般的なものを使用し,その動作原理を説明する.
 6.各制御回路基板は,部品配置と裏面配線図を描く.裏面配線図は,回路図があれば不必要とも思われるが,回路図と併用すれば,経験上,初学者には喜んでもらえる.また,学校の実習などで一斉に製作した場合,指導者が配線ミスをチェックするのに有効である.
 7.ロボット本体の穴あけ加工と部品の固定を図解する.タミヤの組立て説明書とともに組み立てに役立つ.
 本書は,市販の工作セットを改造したロボットの作り方なので,ロボット工作に関心はあるが,ロボットの機構が難しいと考えて手をださなかった読者の方々に,製作意欲をもって頂けるのではないかと思っている.また,回路の仕組みや動作原理,プログラムの仕組みなどハード・ソフトのどちらもわかりやすく執筆した.この本が,読者の方々のロボット工作に貢献できれば幸いである.
 最後に,企画・出版に至るまで,終始多大な御尽力をいただいた東京電機大学出版局の吉田拓歩氏をはじめ,関係各位に心から御礼を申し上げる次第である.

2005年10月
著者しるす


目次

1.PIC16F84A
 1.1 PICとは
 1.2 PIC16F84Aの外観と各ピン機能
 1.3 PIC16F84Aの特徴
 1.4 PIC16F84Aの基本構造
 1.5 PICの命令
 1.6 プログラムメモリ
 1.7 ALU・Wレジスタとファイルレジスタ
 1.8 I/Oポート

2.メカ・ドッグの制御
 2.1 メカ・ドッグの制御回路
 2.2 基板の製作
 2.3 穴あけ加工と部品の固定
 2.4 メカ・ドッグ組み立ての注意
 2.5 メカ・ドッグの部品
 2.6 C言語によるメカ・ドッグ制御1
 2.7 アセンブリ言語によるメカ・ドッグ制御1
 2.8 C言語によるメカ・ドッグ制御2
 2.9 アセンブリ言語によるメカ・ドッグ制御2

3.メカ・ダチョウの制御
 3.1 メカ・ダチョウ制御回路
 3.2 基板の製作
 3.3 穴あけ加工と部品の固定
 3.4 メカ・ダチョウの部品
 3.5 C言語によるメカ・ダチョウ制御
 3.6 アセンブリ言語によるメカ・ダチョウ制御

4.ショベルドーザの制御
 4.1 ショベルドーザの制御回路
 4.2 基板の製作
 4.3 穴あけ加工と部品の固定
 4.4 ショベルドーザの部品
 4.5 C言語によるショベルドーザ制御
 4.6 アセンブリ言語によるショベルドーザ制御

5.インセクトの制御
 5.1 インセクトの制御回路
 5.2 基板の製作
 5.3 穴あけ加工と部品の固定
 5.4 インセクトの部品
 5.5 C言語によるインセクト制御
 5.6 アセンブリ言語によるインセクト制御

6.赤外線リモコンによるインセクトの制御
 6.1 赤外線リモコンの原理
 6.2 赤外線リモコン送信回路
 6.3 送信回路基板の製作
 6.4 送信回路の穴あけ加工と部品の固定
 6.5 赤外線リモコン・インセクトの制御
 6.6 受信回路基板の製作
 6.7 穴あけ加工と部品の固定
 6.8 赤外線リモコン送信回路と赤外線リモコン・インセクトの制御
 6.9 C言語による赤外線リモコン・インセクトの制御
 6.10 アセンブリ言語による赤外線リモコン・インセクトの制御

7.赤外線リモコンによるボクシングファイターの制御
 7.1 赤外線リモコン・ボクシングファイター
 7.2 赤外線リモコン・ボクシングファイターの受信回路
 7.3 受信回路基板の製作
 7.4 穴あけ加工と部品の固定
 7.5 赤外線リモコン・ボクシングファイターの制御
 7.6 C言語による赤外線リモコン・ボクシングファイターの制御
 7.7 アセンブリ言語による赤外線リモコン・ボクシングファイターの制御

参考文献
索 引


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