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ギガビット時代のLANテキスト

ギガビット時代のLANテキスト

B5変 240ページ 並製
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-501-52810-2(4-501-52810-9) C3055
奥付の初版発行年月:1997年11月 / 発売日:1997年11月下旬

内容紹介

 現在、企業情報システム、イントラネットでは、LANを基本とするクライアント/サ−バ型のネットワ−ク形態を基本としている。今後 LANのネットワ−クは非常に重要な位置を占めるようになる。
 本書では、LANの原理の理解を目的としてLANを技術的な面からわかりやすく解説した。また、できるだけ最新の技術を網羅し、LAN全体の理解ができるよう配慮した。

前書きなど

 現在は,情報化社会である。インターネットの爆発的な普及に象徴されるように,企業や家庭を問わず情報がさまざまなメディアを通して発信されている。特に企業にとっては,情報が人,物,金と並んで意思決定上の重要な資源となっている。また,低成長時代にあって,企業の経営戦略の立案に必要な情報は,激烈な企業競争を勝ち抜くためにその質とともに,高速性が要求される。このため,通信ネットワークを使用したリアルタイムでの情報交換が必要となっている。いわゆる,ネットワークの時代である。
 このネットワークは,企業情報システムにおいて,従来のメインフレームによる集中型のネットワーク形態から,クライアント/サーバ型の分散型のネットワーク形態へ移行しつつある。インターネットの技術を利用した情報システムであるイントラネットも実用の段階に入っており,クライアント/サーバ型のネットワーク形態を基本としている。クライアント/サーバ型のネットワークは,LANがその基本となる。したがって,今後LANのネットワークは,非常に重要な位置を占め,ますます増加する。
 本書は,このような背景にのっとり,LANを技術的な面からわかりやすく解説するものである。実務的な使用の仕方ではなく,LANの原理の理解を目的として記述している。また,限られた紙面の中で,できるだけ最新のLANの技術を含んだLAN全体の理解ができるように配慮した。ただし,本書の読者は,初歩的な通信技術の知識を持っていることを前提としている。
 本書の構成内容は,次のとおりである。
 1章では,LANの定義,LANの発展の歴史およびLANの標準化組織や推進組織を中心に記述する。
 2章では,LANの種類と機能概要およびLANの伝送媒体を説明する。この段階でLAN全体の構成と機能が理解できることが目的である。
 3章では,LANの通信の全体の仕組みを説明する。LANの通信を行う上での構成要素であるネットワーク,通信機器および通信ソフトウエアなどの関連を示し,4章以降で記述するこれら構成要素個々の技術の理解を助ける。
 4章では,インターネットワーキングの技術を記述する。すなわち,LANのセグメント同士を接続してLANのネットワークを拡大する技術である。
 5章では,LANにおける業界標準通信プロトコルであるTCP/IPを中心とした通信プロトコルの機能概要を記述する。ここでは,LANのアドレス体系も記述する。
 6章では,LANの種類別の通信原理とネットワークの論理構成について記述する。
 7章では,LANのネットワーク管理の方法を記述する。LANのネットワーク管理に必要な機能と,TCP/IP使用時のネットワーク管理プロトコルであるSNMPを中心に記述する。
 8章では,LANの設計と運用に必要な信頼性の技術を記述する。
 9章では,イントラネット(インターネットの技術を利用した企業情報システム)のインフラとなるインターネットの技術概要を記述する。
 10章では,企業情報システムにおけるLANのネットワーク形態およびLAN-WAN接続形態を中心に説明する。
 最後に,11章で今後の技術動向と課題について記述する。
 LANの技術は範囲が広く,これら全部にわたる詳細な技術説明をすることは本書の目的ではない。本書では,基本的なLANの技術がLANの全体的な領域で理解できるようなアプローチをしている。本書がLANネットワーク構築のために,また,LANの技術的な観点での理解のために少しでも寄与できれば,編者の幸いとするところである。
 最後に,本書の出版に際し,多大のご協力をいただいた東京電機大学出版局の植村氏と編集でお骨折りを願った松崎氏に心からお礼申し上げる。


目次

1章 LANとは
 1.1 情報通信ネットワークの現況
 1.2 LANの特徴と位置づけ
  1.2.1 LANの定義と特徴
  1.2.2 LANの位置づけ
 1.3 LAN発展の経緯
  1.3.1 LAN出現の背景
  1.3.2 LAN歴史的発展の経緯
 1.4 LANの組織と標準化の動向
  1.4.1 国外の標準化機関
  1.4.2 IEEE802委員会とその標準
2章 LANの種類と伝送媒体
2.1 LANのトポロジ
 2.2 LANの伝送媒体
  2.2.1 同軸ケーブル
  2.2.2 より対線ケーブル
  2.2.3 光ケーブル
  2.2.4 無線
 2.3 変調方式
 2.4 LANの種類と機能概要
  2.4.1 イーサネットLAN(IEEE802.3)
  2.4.2 高速イーサネットLAN(IEEE802.3u)
  2.4.3 トークン・バスLAN(IEEE802.4)
  2.4.4 トークン・リングLAN(IEEE802.5)
  2.4.5 MAN(IEEE802.6)
  2.4.6 IS-LAN(IEEE802.9)
  2.4.7 無線LAN(IEEE802.11)
  2.4.8 100VG-AnyLAN(IEEE802.12)
  2.4.9 FDDI-Ⅰ
  2.4.10 ATM LAN
3章 LANの通信の仕組み
3.1 屋内LANの通信の仕組み
  3.1.1 LAN通信の基本要素
  3.1.2 ソフトウエアの構成
  3.1.3 データの通信制御
  3.1.4 LANのアドレス
  3.1.5 LANデータ通信の全体の仕組み
 3.2 LAN-WAN接続の通信の仕組み
 3.3 ネットワークOS
  3.3.1 ネットワークOSとは
  3.3.2 ネットワークOSの機能
4章 LANのインターネットワーキング
4.1 LAN間機器の機能
  4.1.1 リピータ
  4.1.2 ブリッジ
  4.1.3 ルータ
 4.2 スイッチング機器の機能
  4.2.1 スイッチング・ハブ
  4.2.2 スイッチング・ルータ
 4.3 ハブによる仮想LAN
5章 LANのプロトコル
5.1 通信プロトコル
  5.1.1 LANプロトコルの種類と適用
  5.1.2 TCP/IPの概要
 5.2 TCP/IPのアドレッシング
  5.2.1 MACアドレス
  5.2.2 IPアドレスの割り当て
  5.2.3 アドレスの識別と変換
 5.3 IPv6アドレス
  5.3.1 IPv6の主な特徴
  5.3.2 IPアドレス体系
  5.3.3 IPv6のアドレスの種類
  5.3.4 IPv6アドレスの表記法
 5.4 LAN-WAN接続プロトコル
  5.4.1 回線形態によるプロトコル構成
  5.4.2 PPP/SLIPの概要
6章 代表的なLANの技術
6.1 イーサネット
  6.1.1 イーサネットの原理
  6.1.2 論理構成
 6.2 トークンリング(IEEE802.5)
  6.2.1 トークンリングの原理
  6.2.2 論理構成
 6.3 FDDI LAN
  6.3.1 FDDIの原理
  6.3.2 論理構成
  6.3.3 ステーション管理
  6.3.4 フレームの形式
 6.4 無線LAN(IEEE802.11)
  6.4.1 802.11無線LANの原理
  6.4.2 802.11の論理構成
  6.4.3 無線LANのTDMA方式
  6.4.4 モーバイルIP
 6.5 ATM LAN
  6.5.1 ATM LANの原理
  6.5.2 論理構成
  6.5.3 ATM LANの構築
 6.6 その他のLANのアクセス方式
  6.6.1 トークン・バス(IEEE802.4)のアクセス方式
  6.6.2 MANのアクセス方式
  6.6.3 IS-LAN(IEEE802.9)のアクセス方式
  6.6.4 100VG-AnyLAN(IEEE802.12)のアクセス方式
7章 LANのネットワーク管理
7.1 ネットワーク管理の機能
  7.1.1 ネットワーク管理システムとは
  7.1.2 管理機能
  7.1.3 LANネットワーク管理システムの論理構成
 7.2 SNMPによるネットワークの管理
  7.2.1 SNMPの特徴
  7.2.2 マネージャとエージェントの機能
  7.2.3 SNMPの管理対象としてのMIB
 7.3 ネットワーク管理システムの適用
  7.3.1 統合管理システム
  7.3.2 エリア管理システム
  7.3.3 LANトラヒック・モニタ装置(RMON)
  7.3.4 プロトコルアナライザ
  7.3.5 LAN通信機器(ルータ,ブリッジ,ハブ)
  7.3.6 LAN接続機器(ホスト,ワークステーション,パソコン)
8章 LANの信頼性
8.1 信頼性の計算方法
 8.2 信頼性向上についての考え方
 8.3 LAN間接続の信頼性向上
 8.4 エンド・システムの信頼性向上
 8.5 信頼性向上の総合評価
9章 インターネット
9.1 インターネットとは
  9.1.1 世界的な規模での通信インフラストラクチャー(通信基盤)
  9.1.2 自律分散ネットワーク
  9.1.3 システム導入・構築・運用・維持の容易性
  9.1.4 WWWを中心としたアプリケーション
 9.2 インターネットとの接続方法
  9.2.1 接続に必要なサーバ
  9.2.2 接続方法
 9.3 インターネットのセキュリティ
10章 企業情報システムにおけるLANの構成と使用形態
10.1 企業情報システムのネットワーク全体構成
 10.2 屋内LANの構成
  10.2.1 屋内LANの全体構成例
  10.2.2 屋内LANのネットワーク構成例
  10.2.3 配線システム
 10.3 LANの広域化
  10.3.1 WANとLANの回線特性
  10.3.2 LAN-WAN接続の接続形態
 10.4 LANのゲートウエイ接続
11章 新技術動向と今後の課題
11.1 LANの新技術動向
  11.1.1 iso(isochronous)イーサネット
  11.1.2 CATV
  11.1.3 ギガビット・イーサネット(IEEE802.3z)
  11.1.4 リアルタイム伝送
  11.1.5 ADSL
  11.1.6 HDSL
 11.2 LANの今後の課題
索引


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