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金素雲『朝鮮詩集』と金時鐘『再訳朝鮮詩集』抒情のアイデンティティ

抒情のアイデンティティ 金素雲『朝鮮詩集』と金時鐘『再訳朝鮮詩集』

四六判 306ページ
価格:6,160円 (消費税:560円)
ISBN978-4-13-086067-3 C3090
奥付の初版発行年月:2024年01月 / 発売日:2024年01月中旬

内容紹介

金素雲『朝鮮詩集』は、その美しい翻訳により、近代朝鮮文学の重要性を植民地宗主国の文壇に知らしめた。後に金時鐘は、その美文調の向こうに訳されるべき詩ごころを追求し『再訳』を試みる。気鋭の研究者が、原詩と二つの翻訳を子細に見比べ浮かび上がらせる、対峙する二者の共通する模索。

著者プロフィール

権 保慶(クォン ボギョン)

京都国立博物館アソシエイトフェロー

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 二つの『朝鮮詩集』

第1部 『朝鮮詩集』の翻訳/再訳背景――言語とアイデンティティ

第1章 『朝鮮詩集』の翻訳――金素雲における朝鮮語と日本語
第1節 朝鮮人のアイデンティティと朝鮮語
第2節 「朝鮮」詩集への思い

第2章 『朝鮮詩集』の再訳――金時鐘における朝鮮語と日本語
第1節 揺れるアイデンティティ
第2節 金時鐘における『朝鮮詩集』の意味と再訳
 
第2部 朝鮮的抒情と日本的抒情

第3章 金素雲における朝鮮的抒情と日本的抒情
第1節  「曲線」と「直線」――柳宗悦の朝鮮芸術論の受容
第2節 朝鮮民謡と「曲線」
第3節 朝鮮近代詩と「曲線」――『朝鮮詩集』の収録作品が示すもの

第4章 金時鐘における朝鮮的抒情と日本的抒情
第1節  「日本自然主義美学」批判――小野十三郎『詩論』(一九四七)との出会い
第2節 朝鮮近代詩批判(1)――第一詩集『地平線』(一九五五)における「朝鮮的なもの」
第3節 朝鮮近代詩批判(2)――尹東柱の詩を手がかり
第4節 朝鮮近代詩批判(3)――金芝河の民衆観と「醜」と諷刺
第5節 金時鐘における朝鮮的抒情

第3部 言語観と翻訳

第5章 金素雲の言語観と『朝鮮詩集』の翻訳
第1節 金素雲の言語観――朝鮮語と日本語の「典型律」
第2節 朝鮮語の「連鎖性」と「曲線」
第3節  「連鎖性」と朝鮮近代詩の日本語訳との関係

第6章 金時鐘の言語観と『朝鮮詩集』の再訳
第1節 金時鐘の言語観――「抒情の源流」としての「響き性(音韻性)」
第2節  「聴覚」の言語としての朝鮮語

第7章 金素雲と金時鐘の訳詩法
第1節 金素雲の訳詩法
第2節 金時鐘の訳詩法

終章 二つの『朝鮮詩集』の意味


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