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科学技術社会論の挑戦1 科学技術社会論とは何か

科学技術社会論の挑戦
科学技術社会論の挑戦1 科学技術社会論とは何か

A5判 208ページ
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-13-064311-5 C3340
奥付の初版発行年月:2020年04月 / 発売日:2020年04月下旬

内容紹介

科学技術社会論とは何だろうか.原発事故,気候工学,ゲノム編集など,最先端科学技術と社会との接点に発生する課題を扱い,日ごろあたりまえと思っている事柄の見え方を変えてしまう力をもつ.イノベーション論や科学技術政策との関係もふくめて問い直す.

著者プロフィール

藤垣 裕子(フジガキ ユウコ)

東京大学大学院総合文化研究科教授

小林 傳司(コバヤシ タダシ)

大阪大学COデザインセンター教授/JST社会技術研究開発センター上席フェロー

塚原 修一(ツカハラ シュウイチ)

関西国際大学教育学部客員教授

平田 光司(ヒラタ コウジ)

高エネルギー加速器研究機構特別教授

中島 秀人(ナカジマ ヒデト)

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第1章 科学技術の論じ方(小林傳司)
 1.「STSとは何か」という問い
 2.STSの固有性?
 3.メタ学の批評性
  3.1 科学哲学,科学社会学そしてクーン
  3.2 STSの場合
  3.3 科学の正統性という問い
 4.科学と民主主義
  4.1 民主主義に潜む緊張
  4.2 「科学の共和国」論
 5.社会の科学技術化
 6.STSが取り組むべき問題群の例示

第2章 ものの見方を変える(藤垣裕子)
 1.現実の見え方を変えるSTS
  1.1 その現実は所与か
  1.2 人工物は権力をもつか
  1.3 科学的とは何か
  1.4 科学は常に正しいか――固い科学観再考
  1.5 定量化と政治的圧力
 2.分野の分断を統合する力をもつSTS
 3.科学と社会の間を結ぶSTS――公共空間論
 4.壁を越える力をもつSTS――リベラルアーツにSTSが果たす役割
 
第3章 技術とは何か(柴田 清)
 1.技術論とは――労働手段体系説と意識的適用説
 2.技術の評価と制御の可能性――価値中立性
 3.技術に関する「決定論」と「社会構成論」
  3.1 技術決定論
  3.2 技術の社会構成論(SCOT)
  3.3 技術システムアプローチ(SA)
  3.4 アクターネットワーク理論(ANT)
  3.5 拡大された社会構成論
 4.技術に関わる学と業
  4.1 技術
  4.2 テクノロジー
  4.3 エンジニアリング
  4.4 工学
  4.5 技術などの担い手
  4.6 Engineeringと工学教育
  4.7 Engineeringの特性
 5.技術の評価
  5.1 非専門家による技術の評価
  5.2 レギュラトリーサイエンス
  5.3 ELSIと技術倫理
  5.4 技術の政治性
 6.まとめに代えて

第4章 イノベーション論――科学技術社会論との接点(綾部広則)
 1.イノベーション論と科学技術社会論
  1.1 STSとISの相互交流の現状
  1.2 相互交流から没交渉へ
 2.なぜSTSとISは没交渉となったのか
  2.1 科学批判を旨とするSTS
  2.2 ISの特徴
 3.STSとISの接点
  3.1 STSとISの接点①――イノベーション・プロセスにおける参加・関与
  3.2 STSとISの接点➁――ユーザー・イノベーションと市民科学
  3.3 STSとISの接点③――イノベーションと期待あるいはハイプ
 4.おわりに

第5章 科学技術政策との関係(小林信一)
 1.STSと科学技術政策
  1.1 科学技術政策とは何か
  1.2 科学技術政策の研究の変遷
  1.3 STSと科学技術政策研究との相互関係とその変遷
 2.STSハンドブックと科学技術政策研究
  2.1 ハンドブックのなかの科学技術政策的トピック
  2.2 「政策のための科学」とSTS
 3.科学技術政策研究に影響を与えているSTSの理論や概念
  3.1 境界画定作業
  3.2 境界オブジェクト,境界組織
  3.3 STSが提供するその他の概念等
 4.科学技術政策研究の課題とSTSからのアプローチへの期待
  4.1 科学技術と立法府
  4.2 21世紀の科学技術政策の変容
  4.3 イノベーションと格差
  4.4 科学技術政策,科学技術活動における数字の偏重
  4.5 軍事研究,デュアルユース技術開発とSTS
  4.6 科学の危機と科学と政治のコンフリクト

第6章 高等教育政策のなかの位置づけ(塚原修一)
 1.高等教育政策の概要
  1.1 高等教育政策の枠組み
  1.2 高等教育の種類と目的
  1.3 教育の機会均等
  1.4 学問の自由
  1.5 高等教育の質保証と振興
 2.高等教育政策の展開
  2.1 世界の歴史
  2.2 日本の歴史
  2.3 21世紀COEプログラム
  2.4 グッドプラクティス事業
  2.5 高等教育機関への政策の影響
 3.高等教育における科学技術分野
  3.1 日米欧の専門分野構成
  3.2 日本の専門分野構成
  3.3 科学技術の日米比較
  3.4 学部名称の多様性
  3.5 科学技術分野の日本の特色
 4.科学技術社会論の展開
  4.1 科学技術社会論の制度史
  4.2 科学技術社会論への政策の影響
  4.3 科学技術社会論の制度化

第7章 東アジアと欧州のSTS(塚原東吾)
 1.課題と問題の枠組み
  1.1 本章の課題
  1.2 3つの問いの枠組み
 2.文明論としての東アジアの科学・技術と社会
  2.1 ヨーロッパの近代科学技術のグローバル化
  2.2 科学と文化圏,ノイゲバウアーとニーダム
 3.東アジア「の」STS――ネットワークの形成
  3.1 いくつかの理論的問題――視点と言語
  3.2 冷戦の終結と東アジアSTSの制度化,ネットワークからジャーナルへ
  3.3 ネットワーク・アプローチの変容による並存の試み
  3.4 東アジアSTSの転換点――2007年
 4. 東アジアSTSジャーナル――そのポジショニング(位置付け)の宣言
  4.1 東アジアSTSジャーナルの概要
  4.2 傳のポジショニング・ペーパー――ラトゥールの実践的な超克
 5. 最近のSTSをめぐる議論――Law and Lin
 6. 結語の代えて


The Challenge of STS (Science and Technology Studies / Science, Technology and Society) Vol.1
What is this thing called STS ?
Yuko FUJIGAKI, Editor


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